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@ 17話

ー/ー





 美都が連れてきた新入生、篠崎という男は乗馬経験もなく、全くの素人であった。もちろん初心者だって入部大歓迎である。


 部長である舞羽がオリエンテーションとして厩舎を案内して回る。高等部はまだ授業中で、大学生の部員たちは他で仕事をしているのか、見当たらなかった


「あれ?」


 一つの馬房の前で舞羽は立ち止まる。馬房の中の馬が前肢で地面をかいているのに気付いた。


 これは『前がき』といって良くない癖である。何か欲しがっているときや、お腹が痛い・暑いなどの意思表示で、お手をするように前肢で地面をカリカリする。


 本当に何かを知らせる場合もあるし、そうではなく、むやみにやらせたままにしていると蹄を痛める。


 ここの厩舎はオガ粉の下がコンクリートになっている、何かの要求ではなく癖ならば、ゴムマットを引くなり対応が必要となる。


 


 


「ごめん、ちょっと待ってて」


 そう言うと、舞羽は篠崎から離れる。馬の緊張をほぐすための微笑みを浮かべながら首を傾げると、舞羽は馬との世界に入っていくように、その瞳を見つめた。


 初めて馬を間近に見た篠崎は、少し興奮していたのかもしれない。慣れない臭いが、その思考を鈍らせていたのかもしれない。


 いずれにせよ手持無沙汰になった篠崎は、馬の鳴き声につられたのか、色味の足らない狭い厩舎を嫌がるかのように、フラフラとその場を離れる。


 そしてブラシを掛けられている馬を見つけた。


 馬が気持ち良さそうにしているのが、篠崎でも分かる。ブラシ掛けしている人間は馬の陰なのか、背を向けているのか、なんにせよ想定外の事態に気付いていない。


 


 


「あっ! ダメ!」


 


 駆け寄ってきた舞羽が短く声を上げ、篠崎の腕を引いた瞬間であった……不用意に後ろへ入った人影に驚いた馬、シャルロットが、その後肢を蹴り上げた……。




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 美都が連れてきた新入生、篠崎という男は乗馬経験もなく、全くの素人であった。もちろん初心者だって入部大歓迎である。
 部長である舞羽がオリエンテーションとして厩舎を案内して回る。高等部はまだ授業中で、大学生の部員たちは他で仕事をしているのか、見当たらなかった
「あれ?」
 一つの馬房の前で舞羽は立ち止まる。馬房の中の馬が前肢で地面をかいているのに気付いた。
 これは『前がき』といって良くない癖である。何か欲しがっているときや、お腹が痛い・暑いなどの意思表示で、お手をするように前肢で地面をカリカリする。
 本当に何かを知らせる場合もあるし、そうではなく、むやみにやらせたままにしていると蹄を痛める。
 ここの厩舎はオガ粉の下がコンクリートになっている、何かの要求ではなく癖ならば、ゴムマットを引くなり対応が必要となる。
「ごめん、ちょっと待ってて」
 そう言うと、舞羽は篠崎から離れる。馬の緊張をほぐすための微笑みを浮かべながら首を傾げると、舞羽は馬との世界に入っていくように、その瞳を見つめた。
 初めて馬を間近に見た篠崎は、少し興奮していたのかもしれない。慣れない臭いが、その思考を鈍らせていたのかもしれない。
 いずれにせよ手持無沙汰になった篠崎は、馬の鳴き声につられたのか、色味の足らない狭い厩舎を嫌がるかのように、フラフラとその場を離れる。
 そしてブラシを掛けられている馬を見つけた。
 馬が気持ち良さそうにしているのが、篠崎でも分かる。ブラシ掛けしている人間は馬の陰なのか、背を向けているのか、なんにせよ想定外の事態に気付いていない。
「あっ! ダメ!」
 駆け寄ってきた舞羽が短く声を上げ、篠崎の腕を引いた瞬間であった……不用意に後ろへ入った人影に驚いた馬、シャルロットが、その後肢を蹴り上げた……。