10話 エレとゼロの救助活動
ー/ー「しゃぁーーー! ……じゃなくて、ぐん……ぐんみゅ? の寮に乗り込むにゃーーー! 」
エレが起きて早々そう言い出した。
僕は二人の側にいながら仕事していたから寝ていないけど、エレは宣言通り今さっきまで昼寝をしていた。
エレは未来視を制御できず、寝ている間に夢の中で未来視が発動する事がある。それの影響なんだろうけど、エレはどこの宮を言っているんだろうか。
「……エレが……俺のエレが……」
ゼロは何言ってんだろう。珍しく寝ぼけてんのかな。
「エレ、どこの軍部? 」
「……えっと、フュリーナって……フュリねぇって人がいるところ」
名指しか。という事は補助魔法師を狙う輩が侵入したのかな。エレがすぐにでも行けるように魔法具を用意しているあたり、時間はなさそう。
転移魔法で寮に行くとしても、エレとゼロは連れて行くべきではない。分かってはいるんだけど……連れて行かないとだよなぁ。
「早く行くのー。主宮まで転移魔法で行ったら早いの」
主宮だけは転移魔法使えるのか。だからゼロが知らない間に主様に会う事や都に行く事ができていたのか。
そんな事せずとも、僕が寮まで転移魔法使うけど。
「……エレ、ゼロ、僕が寮まで転移魔法使うから、フュリーナを外に連れ出して。君にしか頼めないんだ」
エレとゼロを連れて行くべきではないと分かっていても、連れて行くしかない。それは、寮が女子寮だからという単純な理由。
流石に僕はいけない。ゼロなら常に双子姫としてエレとお揃いのワンピースを着ているから女の子にしか見えない。
僕は外で待っていてエレとゼロにフュリーナを外へ出してもらうなんて簡単ではない。フュリーナは真面目で、都の宮の寮にある仕事以外夜間外出禁止を守っているだろうから。
ちなみに主宮の寮にもあるけど、もちろん僕は仕事なくても無視していたよ。むしろ夜の仕事ない時間だけがエレとゼロに構ってあげられる時間で、なんなら一緒に寝てあげられる時間だったから。堂々と二人の部屋に行ってた。
寮から連れ出せたとしても問題はある。外に連れ出す前に襲われるかもしれない。その点はゼロがある程度どうにかしてくれるだろうけど、二人を守ってその上で外へ行かなければならない。それができるかどうか。
僕が心配しているのを気づいたのか、ゼロが僕の手を握った。
「俺とエレ、前にゼムとフィル来た時に心配だからって理由でめちゃくちゃ加護かけられた。だから、加護がある今なら攻撃完全無効」
「そうなの。エレとゼロは無敵なの」
心配性は一人じゃなかったという事か。心配性というより過保護と言った方が良いかもしれない。
これならフュリーナを連れ出せるか以外は心配毎はないかな。
「転移魔法なの」
「うん」
エレに急かされながらも転移魔法を使った。
**********
現在こんなに寝ていたら夜寝れなくなるではなく、もう寝る時間になってなんで起きるのと言いたくなるような時間。夜は夜の顔を見せる都だけど、今は見回りがまともにこないからか静まり返っている。
エレとゼロは、女子寮に向かってくれて今は一人。
「……フォル、こんな時間に」
静まり返った都で声をかけられて振り向くと見知った顔があった。
「フィルこそどうしてこんな時間に? また魔法具を売ってたの? 」
「そう」
僕の兄で魔法具技師ミーティルシアとして活動するフィル。見回りのない夜に出歩いていても心配する必要がない相手。
「待ってくださいよー」
「リーグまで。夜間は外出禁止でしょ? 」
フィルを追いかけてか走ってくるリーグ。
「見回りですよ。途中でその方とお会いして見回りで注意すべき事を教えてもらっていたんです。魔法具技師の方らしいですが、知り合いなんですか? 」
「うん。養子に出される前の兄」
ここでそれを言って、誰の目も考えずフィルの弟としていられるなら言わないという選択肢はない。
養子だという事すら知らないリーグは理解ができていなさそう。理解するまで待ってあげる気は一切ない。
そんな事に気を使うくらいなら別のとこに使う。例えば、この状況でしかできなさそうな事とか。
今の状況を知ってもらって、距離縮め作戦。エレとゼロが無事にフュリーナを連れ出すのが条件になってくるけど。
恋人まで進展して特殊寮へ入ってくれないかな。
「リーグ、双子姫からフュリーナが狙われているって教えてもらったんだ。今双子姫がそれを伝えに行って外に連れ出そうとしてくれているけど、フュリーナが聞いてくれるかどうか」
困っているっぽく言ってみる。その方が問題意識が高まるだろうから。
連絡すると言ってくれるのが望ましい事。ここに残ると言ってくれるのを前提として。
「……フュリーナは真面目で決まり事は必ず守ろうとしますが、いざという時に柔軟な対応をできる人です。きっと双子姫様の話を聞いて最善と思う答えを出しているでしょう」
信頼関係すごいな。でも、帰る気はないみたい。これなら少し進展はあり得そう。
フィルの方も僕に付き合おうと思っているのか帰ろうとしない。
信頼しているとはいっても心配なのは変わらないのかな。リーグがフュリーナのいる女子寮の方を見ている。
これならリーグがエレとゼロがフュリーナを連れてきたに気づくだろうから、僕は目を離していて良いかな。この間にどうしてもやっておきたい事があったんだ。
そのために連絡魔法具を取り出して主様にメッセージを送る。この時間だと会議があるだろうから、通話の方はできないからメッセージで。
内容は今回の件。寮にいる間は護衛がいない。護衛が男しかいないから、フュリーナには夜までつける事ができないんだ。
今回の一件はそれが原因で起こったと言って良いだろう。それについての対策するように要求する。
メッセージを送るとすぐに見てくれたみたいで返信が来た。短く了解だけだけど。
「しゃぁーーーーー! きっとこれならフィル気づくの」
「喉痛めんなよ」
エレの威嚇だ。そんな事しなくても常に音魔法で声を拾っているから気づけるんだけど。でも、それを知らずに威嚇で気づかせようとするエレの行動が愛らしいからそこは黙っとく。
三人が視界に入る場所までくると、エレが立ち止まった。
「……エレ、とってもしゃぁなの。フュリねぇ怖がらせたお仕置きなのーー! 」
エレが後ろから魔法を撃ちながら追いかけてくる連中を花の形をした氷の中に閉じ込めた。氷魔法は相性が良いからこのくらいはできるんだろうけど、ここまで目立つ魔法を使う必要は絶対にない。
目撃されていた時の事を考えているんだろうか。まぁ、防御魔法とか使わないだけマシかもしれないけど。
エレが魔法を使っている中で、リーグはフュリーナの元へ走って向かっていたみたい。フュリーナになんともないか聞いている。
もう大丈夫だって安心させて抱きしめるくらいしてやれとも思うけど、二人の速度があるだろうから。
「……ぎゅぅぅ」
エレが僕のとこまで来て抱きついた。
「お疲れ様。良く頑張ったね」
そう言って額にキスをするのが、エレを労う方法。昔からずっと変わっていない。
「ふぇぇぇぇん。エレ暗いの怖いのにがんばったの。みんな来ちゃうから泣かなかったの。えらいの」
この言葉とキスはエレにとって一種のおまじないでもあるのかな。安心できる相手がいるとしても解けない緊張を一瞬で解くおまじない。
ゼロまで僕の方に来て甘えようとしている。どうやって甘えるか考えている状態なのか、僕を見ている。
ぴゅるるん
こんな時に連絡がくる。フィルに連絡魔法具渡して代わりにでてもらう。
「……ギュー、夜間遅くに何? 」
『ぅん? その声、フィルかぁ? エルグによこしたメッセージだ。まずは、防いでくれた事に感謝と当主代理様が言ってんだと。それと、今件を重く受け止め、フュリーナ嬢ちゃんとエレ。ギュリエンにおける二大補助魔法師のためにこちらから人員をよこすと』
それは助かるな。エレの方はくる人によっては嫌がるかもしれないけど。あの人達がそれを知らずに人をよこすわけないから心配する事はないか。
エレが安心できる相手なんて限られていれるから誰をよこすのか気になるのは別として。
「……エレの方はおれも協力する。前の侍女の件は、気づくのが遅くなって、悲しませたから」
『あれはこちらの不手際でもあんだろ。本家からなんて言って本物の印を持っていれば、邪険に扱えん』
似ているじゃなくて、本物の印? なんで……
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「しゃぁーーー! ……じゃなくて、ぐん……ぐんみゅ? の寮に乗り込むにゃーーー! 」
エレが起きて早々そう言い出した。
僕は二人の側にいながら仕事していたから寝ていないけど、エレは宣言通り今さっきまで昼寝をしていた。
エレは未来視を制御できず、寝ている間に夢の中で未来視が発動する事がある。それの影響なんだろうけど、エレはどこの宮を言っているんだろうか。
「……エレが……俺のエレが……」
ゼロは何言ってんだろう。珍しく寝ぼけてんのかな。
「エレ、どこの軍部? 」
「……えっと、フュリーナって……フュリねぇって人がいるところ」
名指しか。という事は補助魔法師を狙う輩が侵入したのかな。エレがすぐにでも行けるように魔法具を用意しているあたり、時間はなさそう。
転移魔法で寮に行くとしても、エレとゼロは連れて行くべきではない。分かってはいるんだけど……連れて行かないとだよなぁ。
「早く行くのー。主宮まで転移魔法で行ったら早いの」
主宮だけは転移魔法使えるのか。だからゼロが知らない間に主様に会う事や都に行く事ができていたのか。
そんな事せずとも、僕が寮まで転移魔法使うけど。
「……エレ、ゼロ、僕が寮まで転移魔法使うから、フュリーナを外に連れ出して。君にしか頼めないんだ」
エレとゼロを連れて行くべきではないと分かっていても、連れて行くしかない。それは、寮が女子寮だからという単純な理由。
流石に僕はいけない。ゼロなら常に双子姫としてエレとお揃いのワンピースを着ているから女の子にしか見えない。
流石に僕はいけない。ゼロなら常に双子姫としてエレとお揃いのワンピースを着ているから女の子にしか見えない。
僕は外で待っていてエレとゼロにフュリーナを外へ出してもらうなんて簡単ではない。フュリーナは真面目で、都の宮の寮にある仕事以外夜間外出禁止を守っているだろうから。
ちなみに主宮の寮にもあるけど、もちろん僕は仕事なくても無視していたよ。むしろ夜の仕事ない時間だけがエレとゼロに構ってあげられる時間で、なんなら一緒に寝てあげられる時間だったから。堂々と二人の部屋に行ってた。
寮から連れ出せたとしても問題はある。外に連れ出す前に襲われるかもしれない。その点はゼロがある程度どうにかしてくれるだろうけど、二人を守ってその上で外へ行かなければならない。それができるかどうか。
僕が心配しているのを気づいたのか、ゼロが僕の手を握った。
「俺とエレ、前にゼムとフィル来た時に心配だからって理由でめちゃくちゃ加護かけられた。だから、加護がある今なら攻撃完全無効」
「そうなの。エレとゼロは無敵なの」
心配性は一人じゃなかったという事か。心配性というより過保護と言った方が良いかもしれない。
これならフュリーナを連れ出せるか以外は心配毎はないかな。
「転移魔法なの」
「うん」
エレに急かされながらも転移魔法を使った。
**********
現在こんなに寝ていたら夜寝れなくなるではなく、もう寝る時間になってなんで起きるのと言いたくなるような時間。夜は夜の顔を見せる都だけど、今は見回りがまともにこないからか静まり返っている。
エレとゼロは、女子寮に向かってくれて今は一人。
「……フォル、こんな時間に」
静まり返った都で声をかけられて振り向くと見知った顔があった。
「フィルこそどうしてこんな時間に? また魔法具を売ってたの? 」
「そう」
僕の兄で魔法具技師ミーティルシアとして活動するフィル。見回りのない夜に出歩いていても心配する必要がない相手。
「待ってくださいよー」
「リーグまで。夜間は外出禁止でしょ? 」
フィルを追いかけてか走ってくるリーグ。
「見回りですよ。途中でその方とお会いして見回りで注意すべき事を教えてもらっていたんです。魔法具技師の方らしいですが、知り合いなんですか? 」
「うん。養子に出される前の兄」
ここでそれを言って、誰の目も考えずフィルの弟としていられるなら言わないという選択肢はない。
養子だという事すら知らないリーグは理解ができていなさそう。理解するまで待ってあげる気は一切ない。
そんな事に気を使うくらいなら別のとこに使う。例えば、この状況でしかできなさそうな事とか。
今の状況を知ってもらって、距離縮め作戦。エレとゼロが無事にフュリーナを連れ出すのが条件になってくるけど。
恋人まで進展して特殊寮へ入ってくれないかな。
「リーグ、双子姫からフュリーナが狙われているって教えてもらったんだ。今双子姫がそれを伝えに行って外に連れ出そうとしてくれているけど、フュリーナが聞いてくれるかどうか」
困っているっぽく言ってみる。その方が問題意識が高まるだろうから。
連絡すると言ってくれるのが望ましい事。ここに残ると言ってくれるのを前提として。
連絡すると言ってくれるのが望ましい事。ここに残ると言ってくれるのを前提として。
「……フュリーナは真面目で決まり事は必ず守ろうとしますが、いざという時に柔軟な対応をできる人です。きっと双子姫様の話を聞いて最善と思う答えを出しているでしょう」
信頼関係すごいな。でも、帰る気はないみたい。これなら少し進展はあり得そう。
フィルの方も僕に付き合おうと思っているのか帰ろうとしない。
信頼しているとはいっても心配なのは変わらないのかな。リーグがフュリーナのいる女子寮の方を見ている。
これならリーグがエレとゼロがフュリーナを連れてきたに気づくだろうから、僕は目を離していて良いかな。この間にどうしてもやっておきたい事があったんだ。
そのために連絡魔法具を取り出して主様にメッセージを送る。この時間だと会議があるだろうから、通話の方はできないからメッセージで。
内容は今回の件。寮にいる間は護衛がいない。護衛が男しかいないから、フュリーナには夜までつける事ができないんだ。
今回の一件はそれが原因で起こったと言って良いだろう。それについての対策するように要求する。
内容は今回の件。寮にいる間は護衛がいない。護衛が男しかいないから、フュリーナには夜までつける事ができないんだ。
今回の一件はそれが原因で起こったと言って良いだろう。それについての対策するように要求する。
メッセージを送るとすぐに見てくれたみたいで返信が来た。短く了解だけだけど。
「しゃぁーーーーー! きっとこれならフィル気づくの」
「喉痛めんなよ」
エレの威嚇だ。そんな事しなくても常に音魔法で声を拾っているから気づけるんだけど。でも、それを知らずに威嚇で気づかせようとするエレの行動が愛らしいからそこは黙っとく。
三人が視界に入る場所までくると、エレが立ち止まった。
「……エレ、とってもしゃぁなの。フュリねぇ怖がらせたお仕置きなのーー! 」
エレが後ろから魔法を撃ちながら追いかけてくる連中を花の形をした氷の中に閉じ込めた。氷魔法は相性が良いからこのくらいはできるんだろうけど、ここまで目立つ魔法を使う必要は絶対にない。
目撃されていた時の事を考えているんだろうか。まぁ、防御魔法とか使わないだけマシかもしれないけど。
エレが魔法を使っている中で、リーグはフュリーナの元へ走って向かっていたみたい。フュリーナになんともないか聞いている。
もう大丈夫だって安心させて抱きしめるくらいしてやれとも思うけど、二人の速度があるだろうから。
「……ぎゅぅぅ」
エレが僕のとこまで来て抱きついた。
「お疲れ様。良く頑張ったね」
そう言って額にキスをするのが、エレを労う方法。昔からずっと変わっていない。
「ふぇぇぇぇん。エレ暗いの怖いのにがんばったの。みんな来ちゃうから泣かなかったの。えらいの」
この言葉とキスはエレにとって一種のおまじないでもあるのかな。安心できる相手がいるとしても解けない緊張を一瞬で解くおまじない。
ゼロまで僕の方に来て甘えようとしている。どうやって甘えるか考えている状態なのか、僕を見ている。
ぴゅるるん
こんな時に連絡がくる。フィルに連絡魔法具渡して代わりにでてもらう。
「……ギュー、夜間遅くに何? 」
『ぅん? その声、フィルかぁ? エルグによこしたメッセージだ。まずは、防いでくれた事に感謝と当主代理様が言ってんだと。それと、今件を重く受け止め、フュリーナ嬢ちゃんとエレ。ギュリエンにおける二大補助魔法師のためにこちらから人員をよこすと』
それは助かるな。エレの方はくる人によっては嫌がるかもしれないけど。あの人達がそれを知らずに人をよこすわけないから心配する事はないか。
エレが安心できる相手なんて限られていれるから誰をよこすのか気になるのは別として。
「……エレの方はおれも協力する。前の侍女の件は、気づくのが遅くなって、悲しませたから」
『あれはこちらの不手際でもあんだろ。本家からなんて言って本物の印を持っていれば、邪険に扱えん』
似ているじゃなくて、本物の印? なんで……