表示設定
表示設定
目次 目次




ー/ー



 俺と良宵(りょうしょう)は、同じ五つの時に、同じ孤児の身で(よい)一門(いちもん)に迎えられた。 ただ、俺が一日早く門をくぐった。それだけで、俺は兄弟子(あにでし)となった。

 出会った日の良宵は、夕陽に透けるように儚く、風に触れれば消えてしまいそうな光だった。 俺はその光に手を伸ばし、兄弟子として、傍に在れば自分も光になれると信じて微笑んだ。 良宵が微笑みを還してくれたその瞬間、俺は兄弟子として、あいつの孤独に寄り添えた気がした。

 良宵の喪失の闇を、この手で照らしたい。
 それが、俺が初めて抱けた願いでもあった。

 宵の闇に迷う良宵の背を、己が螢火でそっと温められると、そう思うことが、俺の希望だった。

 あの頃の俺は、光に憧れるどころか、誰かの夜を抱けると信じていた。

 ……だが、守りたかったその小さな光は、俺よりも遥か高みに在る光だった。

 気づいたときにはもう、良宵は俺の手の届かぬ場所にいた。



スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



 俺と良宵《りょうしょう》は、同じ五つの時に、同じ孤児の身で宵《よい》の一門《いちもん》に迎えられた。 ただ、俺が一日早く門をくぐった。それだけで、俺は兄弟子《あにでし》となった。
 出会った日の良宵は、夕陽に透けるように儚く、風に触れれば消えてしまいそうな光だった。 俺はその光に手を伸ばし、兄弟子として、傍に在れば自分も光になれると信じて微笑んだ。 良宵が微笑みを還してくれたその瞬間、俺は兄弟子として、あいつの孤独に寄り添えた気がした。
 良宵の喪失の闇を、この手で照らしたい。
 それが、俺が初めて抱けた願いでもあった。
 宵の闇に迷う良宵の背を、己が螢火でそっと温められると、そう思うことが、俺の希望だった。
 あの頃の俺は、光に憧れるどころか、誰かの夜を抱けると信じていた。
 ……だが、守りたかったその小さな光は、俺よりも遥か高みに在る光だった。
 気づいたときにはもう、良宵は俺の手の届かぬ場所にいた。