面接
ー/ー
「へぇ。それじゃ二年間、お父さんの介護をされてたんですか。たいへんでしたね」
面接で、焦点になったのはやはり、空白の二年間のことだった。
メールの署名には採用担当の木地と書かれていたが、彼は今日発熱で休んでいるそうで、なんと、企業のホームページに紹介されていた真戸部さんが面接をしてくれた。ひょろりとしたキュウリのような体型の人で、年は四十半ばだそうだ。瞳が縦に大きく、美形ではないが印象的な顔立ちの人だった。
「ほとんど、母がやっていたようなものなので、私はおもに病院への付き添いなどですが」
俺は、彼の問いに、ネットで見た書き込みなどを思い出しながら答えた。おそらく、同じように空白期間をごまかそうとする応募者は多いのだろう。面接官から見たら、一発で分かる嘘もあるのかもしれない。
「ぶっちゃけ、前の会社、どうでした?」
そこで真戸部氏は急に、くだけた雰囲気で尋ねてきた。鎌をかけようとしているのかもしれない。
「特に不満はありませんでしたが、家のことで迷惑をかけてはいけないという思いもあって」
「そう? あまり言いたくないですけど、前職の企業さん、SNSとかでけっこう評判悪いですよね。前も同じとこから転職で面接に来た方がいたのですが、パワハラでおやめになったとかで」
真戸部さんのぱっちりした目が、俺をじっと見ている。見透かされている。
数秒沈黙があったのち、俺は覚悟を決めた。
「実は、上司がきつい言い方をしたり、仕事を教えなかったりする人で」
「そうでしょう。具体的にはどんな感じでした?」
真戸部さんは興味津々といった様子で身を乗り出してきた。
結局、その日の面接では、長所や短所について訊かれることはなく、前職でのパワハラの話で終わった。予定時間より、三十分も長く話していた。もし入社することになったら、真戸部さんとは気が合うのではないかと思った。
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「ほとんど、母がやっていたようなものなので、私はおもに病院への付き添いなどですが」
俺は、彼の問いに、ネットで見た書き込みなどを思い出しながら答えた。おそらく、同じように空白期間をごまかそうとする応募者は多いのだろう。面接官から見たら、一発で分かる嘘もあるのかもしれない。
「ぶっちゃけ、前の会社、どうでした?」
そこで真戸部氏は急に、くだけた雰囲気で尋ねてきた。鎌をかけようとしているのかもしれない。
「特に不満はありませんでしたが、家のことで迷惑をかけてはいけないという思いもあって」
「そう? あまり言いたくないですけど、前職の企業さん、SNSとかでけっこう評判悪いですよね。前も同じとこから転職で面接に来た方がいたのですが、パワハラでおやめになったとかで」
真戸部さんのぱっちりした目が、俺をじっと見ている。見透かされている。
数秒沈黙があったのち、俺は覚悟を決めた。
「実は、上司がきつい言い方をしたり、仕事を教えなかったりする人で」
「そうでしょう。具体的にはどんな感じでした?」
真戸部さんは興味津々といった様子で身を乗り出してきた。
結局、その日の面接では、長所や短所について訊かれることはなく、前職でのパワハラの話で終わった。予定時間より、三十分も長く話していた。もし入社することになったら、真戸部さんとは気が合うのではないかと思った。