13.とうとう揉め出した
ー/ー
「だって僕、メゾンの皆の公認で、聖一サンと付き合ってるんですよ!」
リビングに戻ると、シノさんと敬一クンと白砂サンはグリーンの応接セット風ソファに今朝と同じ配置で座ったので、俺はなんとなく敬一クンの隣に腰を下ろしたが、コグマは座りもせずに先刻の続きを言い募り始めた。
「今回のイベントに誘わなかったことが、君をそんなに不愉快にさせるとは思っていなかった。そのことは申しわけないと反省する。だが、付き合っているからといって、全ての行楽を一緒にする必要は無かろう」
やっぱり落ち着き払って、白砂サンはアタッシュケースを自分の足元に置いた。
「オタクなイベントに誘ってもらえなかったら、それじゃあ僕は一体いつ誘ってもらえるんですか?」
「君が楽しめそうな、観光旅行やスポーツ観戦などだろう」
「そんなコト言って! 聖一サンは旅行なんて滅多に行かないし、スポーツ全般、好きじゃないでしょう!」
「オリンピックぐらいは見る」
「それじゃあ4年に1回しか、一緒に出掛けられないじゃないですか!」
「オリンピックは夏季と冬季があるから、2年に一度だが?」
「僕が言いたいのは、極端に機会が無いってコトですよ!」
「あ〜、もう、うるせぇなぁ」
うんざりしたような感じで、二人の会話に割って入ったのはシノさんだった。
「おとなしく聞いてりゃ勝手なコトをグチグチと。前回は寝間着でイヤだったけど、今回は猫コスだったのにってか? それじゃあオマエは、この格好でセイちゃんと一緒にコスイベ行けンのか?」
シノさんは手元を確かめもせずに、隣りに座っている敬一クンのTシャツをめくり上げた。
シャツの下からはスポーツ誌のグラビアから抜け出てきたような、日焼けした褐色の肌も眩ゆい引き締まった腹筋と胸筋が現れて、骨の上に皮1枚しかないマッチ棒人間のコンプレックスを、ブスブスと突き刺してくれた。
「筋肉なら僕だって自信ありますよっ!」
そこでコグマは、自分もバッとシャツを脱いだ。
するとマッチョの見本のような逆三角形の体型の、バッチリ割れた腹筋やら逞しい胸筋やら、ムッキムキに盛り上がった三角筋やら僧帽筋やらがデデーンと現れたのだが、こちらはその御大層な筋肉が俺のコンプレックスを刺すより先に、体表を覆う体毛の方に目が行ってしまった。
コグマは日本人なのに、まるでアングロサクソンそのままみたいな隔世遺伝の超ガイジンなので、体毛も髪と同じく金髪だった。
金髪なんて肌色に馴染んで、体毛も目立ちにくいような気がしていたが、こんだけ密集してると金髪だろうがなんだろうが関係なくなるってことを、俺は初めて知った。
胸毛はもちろん、へその位置がワカラナイほどの腹毛にもたまげたが、なにより驚いたのは、腕にも肩にもビッシリ毛が生えてたことだ。
毛が密集してないのなんて、掌と足の裏だけなんじゃなかろうか。
「はあ? なんじゃ筋肉って?」
コグマを睨みつけていたシノさんは、いきなりシャツを脱いだコグマの反応の方に、目が点々になっている。
「あの、兄さん……。コスプレ衣装のシャツだったら、Tシャツの襟からはみ出るので、帰りは脱いでしまいました」
「うい? ありゃりゃ、裸!」
自分の手元と言うか、振り返って敬一クンを見たシノさんは、そこでようやく自分が、敬一クンの胸と腹を丸剥きにしていることに気付いたようだ。
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「だって僕、メゾンの皆の公認で、聖一サンと付き合ってるんですよ!」
リビングに戻ると、シノさんと敬一クンと白砂サンはグリーンの応接セット|風《ふう》ソファに今朝と同じ配置で座ったので、俺はなんとなく敬一クンの隣に腰を下ろしたが、コグマは座りもせずに先刻の続きを言い募り始めた。
「今回のイベントに誘わなかったことが、君をそんなに不愉快にさせるとは思っていなかった。そのことは申しわけないと反省する。だが、付き合っているからといって、全ての行楽を一緒にする必要は無かろう」
やっぱり落ち着き払って、白砂サンはアタッシュケースを自分の足元に置いた。
「オタクなイベントに誘ってもらえなかったら、それじゃあ僕は一体いつ誘ってもらえるんですか?」
「君が楽しめそうな、観光旅行やスポーツ観戦などだろう」
「そんなコト言って! 聖一サンは旅行なんて滅多に行かないし、スポーツ全般、好きじゃないでしょう!」
「オリンピックぐらいは見る」
「それじゃあ4年に1回しか、一緒に出掛けられないじゃないですか!」
「オリンピックは夏季と冬季があるから、2年に一度だが?」
「僕が言いたいのは、極端に機会が無いってコトですよ!」
「あ〜、もう、うるせぇなぁ」
うんざりしたような感じで、二人の会話に割って|入《ハイ》ったのはシノさんだった。
「おとなしく聞いてりゃ勝手なコトをグチグチと。前回は寝間着でイヤだったけど、今回は猫コスだったのにってか? それじゃあオマエは、この格好でセイちゃんと一緒にコスイベ行けンのか?」
シノさんは手元を確かめもせずに、隣りに座っている敬一クンのTシャツをめくり上げた。
シャツの下からはスポーツ誌のグラビアから抜け出てきたような、日焼けした褐色の肌も眩ゆい引き締まった腹筋と胸筋が現れて、骨の上に皮1枚しかないマッチ棒人間のコンプレックスを、ブスブスと突き刺してくれた。
「筋肉なら僕だって自信ありますよっ!」
そこでコグマは、自分もバッとシャツを脱いだ。
するとマッチョの見本のような逆三角形の体型の、バッチリ割れた腹筋やら逞しい胸筋やら、ムッキムキに盛り上がった三角筋やら僧帽筋やらがデデーンと現れたのだが、こちらはその御大層な筋肉が俺のコンプレックスを刺すより先に、体表を覆う体毛の|方《ほう》に目が|行《い》ってしまった。
コグマは日本人なのに、まるでアングロサクソンそのままみたいな隔世遺伝の超ガイジンなので、体毛も髪と同じく金髪だった。
金髪なんて肌色に馴染んで、体毛も目立ちにくいような気がしていたが、こんだけ密集してると金髪だろうがなんだろうが関係なくなるってことを、俺は初めて知った。
胸毛はもちろん、へその位置がワカラナイほどの腹毛にもたまげたが、なにより驚いたのは、腕にも肩にもビッシリ毛が生えてたことだ。
毛が密集してないのなんて、|掌《てのひら》と足の裏だけなんじゃなかろうか。
「はあ? なんじゃ筋肉って?」
コグマを睨みつけていたシノさんは、いきなりシャツを脱いだコグマの反応の|方《ほう》に、目が点々になっている。
「あの、兄さん……。コスプレ衣装のシャツだったら、Tシャツの襟からはみ出るので、帰りは脱いでしまいました」
「うい? ありゃりゃ、裸!」
自分の手元と言うか、振り返って敬一クンを見たシノさんは、そこでようやく自分が、敬一クンの胸と腹を丸剥きにしていることに気付いたようだ。