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12.パジャマな制服

ー/ー



 ヘトヘトになってリビングに行くと、シノさんはキッチンでシチューを煮ていた。

「シノさん、一応片付いたけど、まだ行李使う気なら、季節毎に衣替えしないとダメだよ」
「じゃ、季節になったら、またヨロ」
「部屋が広いんだから、家具買いなよ! やっすいチェストを一つ買えば、衣替えの必要無くなるよ!」

 俺がそこで、シノさんに苦情の陳述をしていたら、それとは別に(だれ)かの怒号のような声が聞こえた。

「なんじゃい?」
「さあ? なんか、エレベーターホールの(ほう)からじゃない? 見に()って来るよ」
「俺も行く」

 俺達は階段を降りた。
 どうやら三階の踊り場で、コグマが大声を出しているようだ。

「酷いじゃないですかっ! 僕は聖一サンとステディな間柄じゃないんですか?! なのになんで、イベントに行くのに僕を誘ってくれないんです!」

 ()ってみるとそこには、コグマと白砂サンと敬一クンが居た。
 敬一クンは困った顔をしており、白砂サンは落ち着き払った様子で立っている。

「君は、前回イベントに誘った時に、()った先でずっとつまらなそうにしていた。それに君の休みは平日だが、イベントの開催日は週末だ。君の迷惑にならぬよう、遠慮したのだ」
「だって僕と()った時は、変なパジャマみたいな衣装だったのに、今日は猫耳コスなんて! 全然違うじゃないですか!」
「あの衣装はパジャマでは無い。スタートレックオリジナルシリーズの、宇宙艦隊の制服だ。結局、君は着用してくれなかったから、用意したカーク船長の衣装は無駄になったが。そもそも君は、ああいったイベントの暗黙のルールを理解しようとしないだろう。私が会場で(だれ)かと話をする度に、あからさまに邪魔をして、会話を打ち切らせたりする」
「それはアイツらが、いやらしい目線で聖一サンを見るからです! 失礼にも、聖一サンにベタベタ触ろうとするし! 僕は恋人として、当然のコトをしただけですよ!」
「彼等は、私のヴァルカンメイクを誉めてくれて、ちょっと造りを見せて欲しいと言っただけだ。皆、互いのコスプレを楽しみ、情報交換や出来栄えの話をしていた。そもそも世間の大半は、異性愛者だ。滅多なことでは、君が危惧しているような事態にはならない」

 俺達が階段を降りる足音に気付いた敬一クンが、こちらを見上げてくる。

「ああ、多聞さん、兄さん……。今、来てもらおうと思ってました」
「どしたん?」
「商店街のところで小熊さんと一緒になったんです。何をしてきたのか訊かれたので、コスプレイベントで、猫の格好をしてきたって話をしたら、こんなことに……」
「あ〜そう……。とりあえず、ココじゃコグマのデカ声が割増されてやかましいから、上に行こうや」

 シノさんの提案に、コグマは少し不満そうな顔をしたがそれでも渋々付いてきて、俺達はペントハウスに移動した。


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 ヘトヘトになってリビングに行くと、シノさんはキッチンでシチューを煮ていた。
「シノさん、一応片付いたけど、まだ行李使う気なら、季節毎に衣替えしないとダメだよ」
「じゃ、季節になったら、またヨロ」
「部屋が広いんだから、家具買いなよ! やっすいチェストを一つ買えば、衣替えの必要無くなるよ!」
 俺がそこで、シノさんに苦情の陳述をしていたら、それとは別に|誰《だれ》かの怒号のような声が聞こえた。
「なんじゃい?」
「さあ? なんか、エレベーターホールの|方《ほう》からじゃない? 見に|行《い》って来るよ」
「俺も行く」
 俺達は階段を降りた。
 どうやら三階の踊り場で、コグマが大声を出しているようだ。
「酷いじゃないですかっ! 僕は聖一サンとステディな間柄じゃないんですか?! なのになんで、イベントに行くのに僕を誘ってくれないんです!」
 |行《い》ってみるとそこには、コグマと白砂サンと敬一クンが居た。
 敬一クンは困った顔をしており、白砂サンは落ち着き払った様子で立っている。
「君は、前回イベントに誘った時に、|行《い》った先でずっとつまらなそうにしていた。それに君の休みは平日だが、イベントの開催日は週末だ。君の迷惑にならぬよう、遠慮したのだ」
「だって僕と|行《い》った時は、変なパジャマみたいな衣装だったのに、今日は猫耳コスなんて! 全然違うじゃないですか!」
「あの衣装はパジャマでは無い。スタートレックオリジナルシリーズの、宇宙艦隊の制服だ。結局、君は着用してくれなかったから、用意したカーク船長の衣装は無駄になったが。そもそも君は、ああいったイベントの暗黙のルールを理解しようとしないだろう。私が会場で|誰《だれ》かと話をする度に、あからさまに邪魔をして、会話を打ち切らせたりする」
「それはアイツらが、いやらしい目線で聖一サンを見るからです! 失礼にも、聖一サンにベタベタ触ろうとするし! 僕は恋人として、当然のコトをしただけですよ!」
「彼等は、私のヴァルカンメイクを誉めてくれて、ちょっと造りを見せて欲しいと言っただけだ。皆、互いのコスプレを楽しみ、情報交換や出来栄えの話をしていた。そもそも世間の大半は、異性愛者だ。滅多なことでは、君が危惧しているような事態にはならない」
 俺達が階段を降りる足音に気付いた敬一クンが、こちらを見上げてくる。
「ああ、多聞さん、兄さん……。今、来てもらおうと思ってました」
「どしたん?」
「商店街のところで小熊さんと一緒になったんです。何をしてきたのか訊かれたので、コスプレイベントで、猫の格好をしてきたって話をしたら、こんなことに……」
「あ〜そう……。とりあえず、ココじゃコグマのデカ声が割増されてやかましいから、上に行こうや」
 シノさんの提案に、コグマは少し不満そうな顔をしたがそれでも渋々付いてきて、俺達はペントハウスに移動した。