10.シノさんのお誘い
ー/ー「でも、なんで敬一クンなの? 遊びに行くならコグマ誘えばいいのに」
パイを食べながら何気なく訊くと、二人が出掛けるまではいつもと同じような態度だったシノさんが、珍しく溜息混じりで眉をひそめるではないか。
「それな〜」
「なんなの、それ?」
「セイちゃんさぁ、やっぱコグマとはダメかもな〜」
「ダメって?」
「オツキアイ、続かね〜かも」
「そうなの? でも、コグマは白砂サンにベタボレじゃん!」
「アイツさぁ〜、見掛け倒しのビビリじゃん! なのにスッゲェ自信家で、ジコチューなんだよな!」
「ジコチューって……。シノさんから言われたくないセリフだよね」
「ん? 今、なんか言ったか?」
「とんでもございません。先をどうぞ」
「セイちゃんさぁ、おもちと大福を見にアマミーんトコに通ってるじゃろ? そんでお供のコグマが、かなり困ってるンよ」
「ああソレ、俺も聞いたよ。子供とか動物あんまり好きじゃないから、辟易してるって愚痴られた」
「ちゃうわい、困ってるのはセイちゃんの方だ」
「ええ? そうなの?」
「そうじゃろが! コグマは猫がイヤなら、セイちゃんには一人で見に行ってって、言えばイイだけのハナシじゃんか!」
「そりゃそーかもしんないケド、ステディなオツキアイをしている相手と、休みの日に遊びたいのは、さほどワガママな要望とは思えないんだけど……?」
俺はごく真っ当な意見を言ったつもりなのだが、天上天下唯我独尊のシノさんに通じる訳も無い。
「俺は最初から、コグマのよーなフワフワの電ボは、いじって遊ぶだけならともかく、素敵なカレシにはなれんと思っていたんだ」
「だって、初デートでやらかした時に、わざわざ仲を取り持ってやったの、シノさんだよねぇ?」
「そりゃ、セイちゃんがオツキアイしたいってゆーてたからなぁ」
「友人として、アレは良くないってアドバイスしなかったの?」
「俺は他人のプライベートに干渉しない性質なんだ」
「でもウォッチするのは好きだよね」
「それはどーいう意味じゃい?」
「いや、別に。ってゆーか、何がどう致命的にオツキアイが解消されそうな原因なんだよ?」
「セイちゃんは多趣味のヒトじゃから、オタクイベントとか、映画とか、コグマをコマメに誘ってたんだよ。でも声を掛けると着いて来るけど、イベも猫もあんまりつまんなそうにされるから、段々誘うのが心苦しくなってきちゃったんだって。そんで、今回のコスイベはどうしたらいいかって相談されたから、たまにはコグマのコトは置いといて、趣味をエンジョイしてきた方がいいべって、俺が言ったんさ!」
「趣味をエンジョイ……は解るケド。でも、なんで敬一クンなの?」
「セイちゃんと話してる時、ケイちゃんも話聞いてて、コスプレもオタイベも初耳で未体験だっつーから、何事も体験じゃ、連れてってもらいなって、俺が薦めた」
「それで敬一クン、あの猫コス衣装着たの? 勇気あるねぇ!」
「兄さんの言うコト、何でも素直にきく良い子じゃもん」
「確かにそうね……。あ、でも俺も、シノさんの猫耳コスには、チョッとキョーミあるかも」
「そんじゃ、一緒にコスイベ行ってみる?」
「衣装合わせの時に呼んでよ」
「呼ぶに決まってんじゃろ。オマエみたいな規格外の体型、採寸しなきゃ着られる衣装があるとは思えん」
「ええっ? 行くだけなら良いけど、俺はコスプレすんのなんか嫌だよ!」
「いーじゃん、みんな誘って揃いの猫コスして、ウチでパーチーしようぜ!」
「ご遠慮しますぅ! 揃いの衣装で値踏みされるのは、店のフロアだけで充分だよ」
思わず言っちゃってから、しまったと思ってシノさんを見ると、意地の悪い顔でニヤニヤ笑っている。
「へえ〜、オマエ、気にしてたんだ〜」
「あんなイケメンキャンパスチームとお揃いの服装して、気にするなってほーが無理でしょ!」
「いやいや。タモンレンタロウくんも、そう捨てたもんじゃないよ〜?」
「なんだよそれ。変な慰めされると、余計傷つくからやめてよね」
「慰めてなんかいねーよ。オマエのソムリエ姿、俺は結構気に入ってンだ。チョイ痩せ過ぎ感あるけど、タッパあるからああいう服が映えるぜ。ベストとエプロンが合体したあんなエプロンがあるって知ってたら、最初からアレを着せてたのにな〜」
イジイジとフォークでパイを突いていた俺は、チラッとシノさんを見る。
「今日は、久しぶりにケイちゃんがお出掛けしてんだぜ。二人でシッポリしたくねェ?」
「え…………」
サッと立ち上がると、シノさんは俺に向かって来い来いをしながら、スルスル〜っと廊下に出て行く。
話の流れから、色っぽいお誘いかナ〜なんて思いつつも、でもそんな急なお誘い、心の準備が……とか考えつつ、俺はシノさんに招かれるままシノさんの後をついて行った。
パイを食べながら何気なく訊くと、二人が出掛けるまではいつもと同じような態度だったシノさんが、珍しく溜息混じりで眉をひそめるではないか。
「それな〜」
「なんなの、それ?」
「セイちゃんさぁ、やっぱコグマとはダメかもな〜」
「ダメって?」
「オツキアイ、続かね〜かも」
「そうなの? でも、コグマは白砂サンにベタボレじゃん!」
「アイツさぁ〜、見掛け倒しのビビリじゃん! なのにスッゲェ自信家で、ジコチューなんだよな!」
「ジコチューって……。シノさんから言われたくないセリフだよね」
「ん? 今、なんか言ったか?」
「とんでもございません。先をどうぞ」
「セイちゃんさぁ、おもちと大福を見にアマミーんトコに通ってるじゃろ? そんでお供のコグマが、かなり困ってるンよ」
「ああソレ、俺も聞いたよ。子供とか動物あんまり好きじゃないから、辟易してるって愚痴られた」
「ちゃうわい、困ってるのはセイちゃんの方だ」
「ええ? そうなの?」
「そうじゃろが! コグマは猫がイヤなら、セイちゃんには一人で見に行ってって、言えばイイだけのハナシじゃんか!」
「そりゃそーかもしんないケド、ステディなオツキアイをしている相手と、休みの日に遊びたいのは、さほどワガママな要望とは思えないんだけど……?」
俺はごく真っ当な意見を言ったつもりなのだが、天上天下唯我独尊のシノさんに通じる訳も無い。
「俺は最初から、コグマのよーなフワフワの電ボは、いじって遊ぶだけならともかく、素敵なカレシにはなれんと思っていたんだ」
「だって、初デートでやらかした時に、わざわざ仲を取り持ってやったの、シノさんだよねぇ?」
「そりゃ、セイちゃんがオツキアイしたいってゆーてたからなぁ」
「友人として、アレは良くないってアドバイスしなかったの?」
「俺は他人のプライベートに干渉しない性質なんだ」
「でもウォッチするのは好きだよね」
「それはどーいう意味じゃい?」
「いや、別に。ってゆーか、何がどう致命的にオツキアイが解消されそうな原因なんだよ?」
「セイちゃんは多趣味のヒトじゃから、オタクイベントとか、映画とか、コグマをコマメに誘ってたんだよ。でも声を掛けると着いて来るけど、イベも猫もあんまりつまんなそうにされるから、段々誘うのが心苦しくなってきちゃったんだって。そんで、今回のコスイベはどうしたらいいかって相談されたから、たまにはコグマのコトは置いといて、趣味をエンジョイしてきた方がいいべって、俺が言ったんさ!」
「趣味をエンジョイ……は解るケド。でも、なんで敬一クンなの?」
「セイちゃんと話してる時、ケイちゃんも話聞いてて、コスプレもオタイベも初耳で未体験だっつーから、何事も体験じゃ、連れてってもらいなって、俺が薦めた」
「それで敬一クン、あの猫コス衣装着たの? 勇気あるねぇ!」
「兄さんの言うコト、何でも素直にきく良い子じゃもん」
「確かにそうね……。あ、でも俺も、シノさんの猫耳コスには、チョッとキョーミあるかも」
「そんじゃ、一緒にコスイベ行ってみる?」
「衣装合わせの時に呼んでよ」
「呼ぶに決まってんじゃろ。オマエみたいな規格外の体型、採寸しなきゃ着られる衣装があるとは思えん」
「ええっ? 行くだけなら良いけど、俺はコスプレすんのなんか嫌だよ!」
「いーじゃん、みんな誘って揃いの猫コスして、ウチでパーチーしようぜ!」
「ご遠慮しますぅ! 揃いの衣装で値踏みされるのは、店のフロアだけで充分だよ」
思わず言っちゃってから、しまったと思ってシノさんを見ると、意地の悪い顔でニヤニヤ笑っている。
「へえ〜、オマエ、気にしてたんだ〜」
「あんなイケメンキャンパスチームとお揃いの服装して、気にするなってほーが無理でしょ!」
「いやいや。タモンレンタロウくんも、そう捨てたもんじゃないよ〜?」
「なんだよそれ。変な慰めされると、余計傷つくからやめてよね」
「慰めてなんかいねーよ。オマエのソムリエ姿、俺は結構気に入ってンだ。チョイ痩せ過ぎ感あるけど、タッパあるからああいう服が映えるぜ。ベストとエプロンが合体したあんなエプロンがあるって知ってたら、最初からアレを着せてたのにな〜」
イジイジとフォークでパイを突いていた俺は、チラッとシノさんを見る。
「今日は、久しぶりにケイちゃんがお出掛けしてんだぜ。二人でシッポリしたくねェ?」
「え…………」
サッと立ち上がると、シノさんは俺に向かって来い来いをしながら、スルスル〜っと廊下に出て行く。
話の流れから、色っぽいお誘いかナ〜なんて思いつつも、でもそんな急なお誘い、心の準備が……とか考えつつ、俺はシノさんに招かれるままシノさんの後をついて行った。
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