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@13話

ー/ー



 1月8日。いきなり今日から学校は、素知らぬ顔して社会の一員の列に入り込む。


 世界情勢は刻々と動いており、『happy new year』が終われば、休んでいた人らはその流れに合わせ、助走をつけて『時代』と『社会』が連結された列車に飛び付き乗り込んでいく。




 多分学校では直接教えてくれなくとも、そういう『世間』ってやつを長い学校生活で体験しているんだと、恋実はしみじみ感じる。
 何故なら明日1月9日、いきなり冬休みの課題を踏まえた小テストが催されるからだ。




 長期休みの後、中々休み前の心身に戻らないのは、休み中の生活習慣の乱れと休み明けのスイッチの入れ方の問題がほとんどかと思われる。


 切り替えスイッチが下手な部類の恋実が、今回始業式の翌日から倦怠感をあまり感じなかったのは、間違いなく『事件』と恭吾のおかげだったと言える。刺激は若者に活力を与えてくれる。




 恋実は朝一番に恭吾から連絡先を聞かれた。そんなことでさえ非日常だ。




 あれほどの情報を持っていながら自分の連絡先を知らないのは意外で、別に知っていて欲しかったわけではないが、恋実の女心として複雑な気持ちは残った。


 実は女子の連絡先だけは恭吾のその手帳には一つとして記されていない。そしてそのことを恋実が知る由もない。




 昼休み、早速恭吾から連絡があった。しかしそれはスマートフォンにではない。なぜなら電波が届かないからだ。
 ではなぜ連絡先交換をしたのだろうか? それは女子の連絡先をゲットしたい、ただ恭吾の願望以外他ならない。
 人生で初めてその登録欄に母親以外の女性名が記憶された。




 その夜恭吾は『華咲恋実』と登録された画面を何度も見てはニヤニヤするのだった。






 そんなこともあって実質連絡のやり取りは、昇降口から階段を上がった2F正面にある連絡用ホワイトボードに記載する方法を取った。
 恭吾が言うには隠語を使って例え犯人が見ても分からないようにするとのことだった。






【華咲さん 放課後ガサ入れ】


 そう記されていた……恋実はすぐにそれを消した。


 C組が一番階段寄りに配置されていて、まだ人目に触れていなかったのが幸いであった。


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 1月8日。いきなり今日から学校は、素知らぬ顔して社会の一員の列に入り込む。
 世界情勢は刻々と動いており、『happy new year』が終われば、休んでいた人らはその流れに合わせ、助走をつけて『時代』と『社会』が連結された列車に飛び付き乗り込んでいく。
 多分学校では直接教えてくれなくとも、そういう『世間』ってやつを長い学校生活で体験しているんだと、恋実はしみじみ感じる。
 何故なら明日1月9日、いきなり冬休みの課題を踏まえた小テストが催されるからだ。
 長期休みの後、中々休み前の心身に戻らないのは、休み中の生活習慣の乱れと休み明けのスイッチの入れ方の問題がほとんどかと思われる。
 切り替えスイッチが下手な部類の恋実が、今回始業式の翌日から倦怠感をあまり感じなかったのは、間違いなく『事件』と恭吾のおかげだったと言える。刺激は若者に活力を与えてくれる。
 恋実は朝一番に恭吾から連絡先を聞かれた。そんなことでさえ非日常だ。
 あれほどの情報を持っていながら自分の連絡先を知らないのは意外で、別に知っていて欲しかったわけではないが、恋実の女心として複雑な気持ちは残った。
 実は女子の連絡先だけは恭吾のその手帳には一つとして記されていない。そしてそのことを恋実が知る由もない。
 昼休み、早速恭吾から連絡があった。しかしそれはスマートフォンにではない。なぜなら電波が届かないからだ。
 ではなぜ連絡先交換をしたのだろうか? それは女子の連絡先をゲットしたい、ただ恭吾の願望以外他ならない。
 人生で初めてその登録欄に母親以外の女性名が記憶された。
 その夜恭吾は『華咲恋実』と登録された画面を何度も見てはニヤニヤするのだった。
 そんなこともあって実質連絡のやり取りは、昇降口から階段を上がった2F正面にある連絡用ホワイトボードに記載する方法を取った。
 恭吾が言うには隠語を使って例え犯人が見ても分からないようにするとのことだった。
【華咲さん 放課後ガサ入れ】
 そう記されていた……恋実はすぐにそれを消した。
 C組が一番階段寄りに配置されていて、まだ人目に触れていなかったのが幸いであった。