@12話 捜査
ー/ー
「ではまず状況を整理しよう……恋実は何を知っている?」
恭吾は満足したように深く椅子に座り込む。
「わ、私は……優香ちゃんが『手を握られた』としか知らない。誰かが話しているのを聞いただけ……」
「ふむ……持っている情報は俺と同じか……」
恭吾は当てが外れたように指を組む。
「鳴海君も噂を耳にしただけ?」
「あぁ……。二人はもはや運命共同体だ、パートナーだ。恭吾で良いよ」
組まれた手と髪の毛の隙間、下方から覗き込まれるように見上げられた恋実は、一つ鼓動が大きく揺れたのを感じる。上目遣いは何も女子だけの特権ではないようだ。
「いつ噂を耳にした?」
「帰りのHRが終わってこっちへ向かう途中に」
「ひょっとして男三人組?」
「あ、うん多分……廊下ですれ違った時……」
(C組の恋実は下駄箱と反対側の生徒会室へ向かう時……俺が耳にした時と同じって訳か)
二人が噂を聞いた出所が同じなのは、それほど時間が経過してないことを意味するはずだ。
「誰だか顔を見たかい?」
「あ、ゴメン……気にしてなかったから……違うクラスの人だとは思うけど……」
その言葉に恭吾は敏感に反応した。机に音を立てて組んでいた手を着いた。
「何? これがどれほど重大な事件か認識が甘かった訳か……危機管理能力に欠けているようだね、恋実は」
(A組の人間だというのは分かっている……B・C組の奴らは下駄箱へ向かうのにA組の前を通らない)
その迫力に思わず謝ってしまいそうになる。
『ぐううぅぅ~』と、すんでのところで唸るような音が生徒会室を震わす……恋実のお腹の中には一匹の獣が住んでいる……そう、一匹の狼が……腹ペコの狼が……恋実は……踏みとどまった。
(危ないところだった……お腹空いた……私には全然危機なんかじゃないんだから、もう)
「今日は一先ず、帰りましょ」
「仕方が……あるまい」
恭吾も恋実の中の獣に恐怖したようにすんなりと提案を受け入れた。
(今日は部活動はない……三人組を帰宅部に絞ることはできない)
今のところ捜査は何も進展していない……。
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恭吾は満足したように深く椅子に座り込む。
「わ、私は……優香ちゃんが『手を握られた』としか知らない。誰かが話しているのを聞いただけ……」
「ふむ……持っている情報は俺と同じか……」
恭吾は当てが外れたように指を組む。
「鳴海君も噂を耳にしただけ?」
「あぁ……。二人はもはや運命共同体だ、パートナーだ。恭吾で良いよ」
組まれた手と髪の毛の隙間、下方から覗き込まれるように見上げられた恋実は、一つ鼓動が大きく揺れたのを感じる。上目遣いは何も女子だけの特権ではないようだ。
「いつ噂を耳にした?」
「帰りのHRが終わってこっちへ向かう途中に」
「ひょっとして男三人組?」
「あ、うん多分……廊下ですれ違った時……」
(C組の恋実は下駄箱と反対側の生徒会室へ向かう時……俺が耳にした時と同じって訳か)
二人が噂を聞いた出所が同じなのは、それほど時間が経過してないことを意味するはずだ。
「誰だか顔を見たかい?」
「あ、ゴメン……気にしてなかったから……違うクラスの人だとは思うけど……」
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「何? これがどれほど重大な事件か認識が甘かった訳か……危機管理能力に欠けているようだね、恋実は」
(A組の人間だというのは分かっている……B・C組の奴らは下駄箱へ向かうのにA組の前を通らない)
その迫力に思わず謝ってしまいそうになる。
『ぐううぅぅ~』と、すんでのところで唸るような音が生徒会室を震わす……恋実のお腹の中には一匹の獣が住んでいる……そう、一匹の狼が……腹ペコの狼が……恋実は……踏みとどまった。
(危ないところだった……お腹空いた……私には全然危機なんかじゃないんだから、もう)
「今日は一先ず、帰りましょ」
「仕方が……あるまい」
恭吾も恋実の中の獣に恐怖したようにすんなりと提案を受け入れた。
(今日は部活動はない……三人組を帰宅部に絞ることはできない)
今のところ捜査は何も進展していない……。