@11話
ー/ー
「恋実……司法取引をしようじゃないか」
「司法……取引?」
恋実は『ごくり』とつばを飲み込む。少し朝食べたカレーうどんの味がした気がする。
「そう……今、我が的山高校は『靴下は無地のもの。色は派手ではないものに限る』と校則で謳ってある」
「確かにその通りだわ」
「これを俺の手で学校側に校則を変えさせることができるとしたら?」
小学校の頃、グループに班分けされた時のように合わせられた四つの机を挟んで対峙する二人……。
しばし無言で心の対話を行う恋実。
「できる訳……ないわ」
絞り出した恋実の声は低く、屈辱にまみれていた。
心の対話では『不可能だ』と言い聞かせているものの、恭吾の自信たっぷりに見つめ返す瞳の奥の光が怪しく圧し掛かってくる、それが恋実の正義を曲げさせる。
再びカレー味の唾を飲み込んだ。
「くくくっ……どうかな?」
再び、今度はわざと恋実に見せるように生徒手帳を掲げる恭吾。
くたびれながらも神々しい、あたかも桜の代紋が入っているかのような手帳が、印籠のように恋実の頭上から圧力をかけてくる。
『まさか』の言葉が恋実の顔にまぎれもなく書かれている。
「その『まさか』だよ……ここには校長の情報だってある。校長だけ記されていないわけがなかろう!!」
正に雷打たれたような衝撃、それは恋実のニューロン(脳の神経細胞)の情報伝達するために神経線維を伝わるインパルス(電気信号)を短絡(ショート)させた。
もはや思考回路停止状態の恋実。
「今回は恋実様のために『保管用』のシリアルナンバー入りのソックス……『観賞用』のソックス……そして『着衣用』のソックスの3点ご用意させて頂きましたが? いかが?」
催眠術にでもかかったように無言でソックスを手にする恋実……今度は恭吾も素直に、そして笑顔で手放した。それは双方『承諾』を意味する。
「これで君は俺を『司法』と認めざるを得なくなった……いとをかし」
こうして二人は手を組んだ。
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「そう……今、我が的山高校は『靴下は無地のもの。色は派手ではないものに限る』と校則で謳ってある」
「確かにその通りだわ」
「これを俺の手で学校側に校則を変えさせることができるとしたら?」
小学校の頃、グループに班分けされた時のように合わせられた四つの机を挟んで対峙する二人……。
しばし無言で心の対話を行う恋実。
「できる訳……ないわ」
絞り出した恋実の声は低く、屈辱にまみれていた。
心の対話では『不可能だ』と言い聞かせているものの、恭吾の自信たっぷりに見つめ返す瞳の奥の光が怪しく圧し掛かってくる、それが恋実の正義を曲げさせる。
再びカレー味の唾を飲み込んだ。
「くくくっ……どうかな?」
再び、今度はわざと恋実に見せるように生徒手帳を掲げる恭吾。
くたびれながらも神々しい、あたかも桜の代紋が入っているかのような手帳が、印籠のように恋実の頭上から圧力をかけてくる。
『まさか』の言葉が恋実の顔にまぎれもなく書かれている。
「その『まさか』だよ……ここには校長の情報だってある。校長だけ記されていないわけがなかろう!!」
正に雷打たれたような衝撃、それは恋実のニューロン(脳の神経細胞)の情報伝達するために神経線維を伝わるインパルス(電気信号)を短絡(ショート)させた。
もはや思考回路停止状態の恋実。
「今回は恋実様のために『保管用』のシリアルナンバー入りのソックス……『観賞用』のソックス……そして『着衣用』のソックスの3点ご用意させて頂きましたが? いかが?」
催眠術にでもかかったように無言でソックスを手にする恋実……今度は恭吾も素直に、そして笑顔で手放した。それは双方『承諾』を意味する。
「これで君は俺を『司法』と認めざるを得なくなった……いとをかし」
こうして二人は手を組んだ。