「はいはい……で?」
「で? じゃないだろ……これでモンテスキューが唱えた『法の精神』に乗っ取った三権分立が成立するんじゃないか」
冷静さを取り戻した恭吾は再び席に着く。
「そうじゃなくって、何で私が『あなたを助けた女性』になるのよ」
「そりゃ『立法機関』はこれ以上、役に立たないからさ。我々が手を組めば『司法』と『行政』の2つの権力が集まる」
「……分立してないじゃない……法の精神はどこに行ったの?」
「我々で悪を裁こうじゃないか?」
「誰があなたを『司法』と認めたの?」
「立法機関が立てた『不純異性交遊』を立証しようじゃないか!!」
「人の話聞いてないでしょ」
この短時間で何度目だろう? 恋実が発した言葉より、同時に吐き出した空気の方が重かったのは……。
「三国志の『天下三分の計』みたいでカッコいいな。三権分立の計を略せば『三分の計』だ」
そんなことは露ほど感ぜず酔いしれる恭吾。
「はいはい……この話はこのへ……」
恭吾が天下三分の計にうっとりしている辺りから、呆れ顔で目を背けていた恋実が、その視線を戻したところで恋実の言葉は続きを発することを止められた。
「そ、それは……」
「お気づきかい? 恋実さん……」
恭吾は勝ち誇っている。その手には限定販売の『ニャンピース』ソックスが握られていた。しかも3足。
「どうして……鳴海君が、それを?」
「これがシリアルナンバー付きの超レアソックスと一目で判るのはさすがと言っておこう。一つは本物のシリアルナンバー付き。もう1足はレアモノではあるがシリアルナンバーは入っていない。そして最後の1足通常版」