「ねぇ、舞羽。何で高橋君と付き合わなかったの?」
「え~?! だって、高橋君、この間美都の悪口言ってたんだもん」
「それだけで振っちゃったの?」
「そうよ?!」
「……もったいない」
「やめときな、やめときなっ! 舞香もダメだからね、高橋君なんて」
舞羽はこれで二人目だ。中学に入って、やっと一年が経とうかというばかりなのに。
(私なんて、人生でまだ、誰にも告白なんてされたことないのに……顔のつくりは一緒だと思うんだけどな……)
鏡の中の自分を見つめる。前髪を上げてみたり、ウィンクしてみたり……鏡の向こうから微笑みかけてくるのは、舞羽とよく似た舞羽の劣化版に思えてくるのだった。
舞羽に初めて嫉妬したのかもしれない。
高橋君はサッカー部で、割と女子には人気がある方だ。舞香は美都に不満をぶつけてみる。舞香にとって美都は、舞羽以外で唯一なんでも遠慮なしに話せる相手だ。
「美都に聞いたんだ」
「そう……」
「高橋君、美都が弱い者いじめを注意したから、悪口言いふらしてたんだってね」
「舞香が変な虫に引っ掛からないように、美都と二人で審査してあげるから安心しなさい!」
なんでも話せる……そこには、隠し事なんて存在していなかった。