結果を待っていた真一はしびれを切らして天恵にメッセージを送る。もし月下家のことが上手くいったのなら、真一はこの後、天恵を誘おうと考えていた。クリスマスに何もできなかったから……。
ただそれは真一の都合だけを考えた場合である。月下家が上手くいったのなら、家族揃って年越しを考えるのが普通だ。だからこれは真一にとって、断られたとしても正当な言い訳で慰めることができるので、傷は浅くて済む。
おかげで上手くいったことを報告するメッセージが真一の元に届いたのは、まだ大晦日恒例の歌合戦が始まったばかりのことだった。
『一緒に歳籠りしないか?』送信ボタンを押す真一の指は震えていた。
「年籠り?! ってなによ?」
インターネットで調べたのなら、それは除夜詣とある。大晦日の夜から元旦の朝まで神社や寺院に籠もって過ごす、とある。さすがに一夜を過ごすのはハードルが高い。ダメもとで両親に聞いてみる。
「パズルの男の子ね?」
「男と朝までって……ダメに決まってるだろう!」
「……やっぱり……」
唇に当てられていた指は悲しく離され床を指す。
「あら? 私は良いんじゃないって思ったけど?」
「灯、どうして?!」
「住職のところだったら、私から良く頼んでおくわ?!」
「……それなら……仕方ない」
「やった!」
「天恵ちゃんには一晩掛けて感謝をささげ、新年の安全や招福を祈願してきてもらわなきゃ、ね」
「住職さんに、温かい場所、お願いしてね」
そんなこんなで許しが出た。
天気予報は大幅に変わっていて、雨は止み、急速に天気は回復に向かい、朝方は晴れるが霧に注意、大変冷え込むでしょう。とのことだ。
天恵が気合を入れて支度すると、神社へ向かう。気温の割に寒さが沁みる。くっついてみて体温を分けてもらいたくなる気持ちは、逆に体温をあげようと矛盾を興す。
そんな天恵の気持ちを一気に覚ます真一の一言。
「住職。一番寒い部屋に案内願います」
真一の意図が分からない。天恵が真一を責める。
「どうしてよッ!」
「知らないのかい? 年籠りは寝てしまうと白髪やしわが増えると言われているんだよ。天恵は温かいとすぐ眠くなるだろ?」