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恋愛は銘々稼ぎⅤ Love knows no common rule.

ー/ー



「驚きすぎ、田中」

 振り返ろうとする田中の頭を、また掴んで前を向かせる。
 そうだ、もらった缶酎ハイ、これじゃ無駄になるな。
 
「せっかくの酒だ、持って帰るか。な、山分けしようぜ」

「あ、うん。そうだ、今なら川崎さんも誘えるよ。そろそろ閉店だし」

「いいね。じゃオレ、レジ袋取ってくるから川崎さんへ連絡頼むわ」

 とPHSを田中に渡した。

 そうと決まれば、だ。
 オレと田中は再び電車で池袋へ戻ることにした。

「亘くん、べーちゃんが好きだったんだ」

「初恋ってやっかいだよな。9歳か10歳の頃からだから、半端ねーくらいこじらせてたんだよ」

 見てるのが痛々しいくらい、アホやってたよな。

「うわぁ、そりゃキツイな。何せ直樹とべーちゃんはアレだ、本当に仲良しだったから」
 
「だよな。喧嘩してても仲良いってのが分かるくらい、あいつら仲良かったから」

 勝手に死んじまうから。
  
 電車が池袋駅に着く。
 さすがに上りの車内は空いてるが、この時間でも構内は人が多いな。

「亘くんって義理堅いというか、直樹が死んで5年も我慢してたんだね。一途だねぇ、って。おい」

 中央改札を出たところで、田中が肩を掴んできた。

「何だよ」

「高校の頃、亘くんって、しょっちゅう女変えてなかったっけ? 何か腹立つ食らいモテてた記憶が」
 
 さすがに覚えてましたか。
 あいつの悪評(アホさ)は、そこまで有名でしたか。
 やれやれ、しばらく紅緒は大変だな。

「いろいろ、こじらせてたんだよ」

 アホだから、あいつは。
 と、そこにPHS(ピッチ)に受信が入る。
 誰だろう。
 ごめんと田中に合図を送り、内ポケットからPHSを出す。

「もしもし……」

「あ、もしもし、笠神くん? 川崎です。今、どこまで来てる?」
  
 え? 川崎さんだ。
 
「川崎さん? はい、今池袋の改札出て東口に向かう所です」

「あのさ、急で悪いんだけど良かったら家で飲まない? 中板だからすぐなんだ」

「あ、ちょっと待ってください」

 とPHSを押さえ、田中に伝える。

「先生のマンション! 行く行く」

 田中への土産のつもりだったんだが。
 酒持ってきて正解だったな。

「はい、いいですね。田中も、喜んでます」

「じゃ、悪いけど中板まで来てくれるかな? 駅からマンションまですぐなんだ」

「はい。分かりました」

 一旦PHSを切り、田中に伝える。

「マンションまで来てくれって」
 
「最近引っ越したんだよ。だから、俺も初めてだ、行くの」
 
 中板の駅に着き、再び川崎さんへ電話をかけ誘導してもらいながら、歩くこと数分。
 無事、目的のマンションに着いた。
 5階建てのエレベーターのないマンション。

「最上階の真ん中、503号室……はい、もう大丈夫です」

 そこでまた、PHSを切った。
 田中と二人、階段を上る。
 知らないうちに、二人とも階段を駆け上がっていた。
 顔を見合わせ、自然と笑顔になる。
 息を整えて、部屋のインターフォンを鳴らそうと指を伸ばしたら。

「いらっしゃい、よく来たね」

 ドアが開き、川崎さんがお店とは違う笑顔で出迎えてくれた。




みんなのリアクション

「驚きすぎ、田中」
 振り返ろうとする田中の頭を、また掴んで前を向かせる。
 そうだ、もらった缶酎ハイ、これじゃ無駄になるな。
「せっかくの酒だ、持って帰るか。な、山分けしようぜ」
「あ、うん。そうだ、今なら川崎さんも誘えるよ。そろそろ閉店だし」
「いいね。じゃオレ、レジ袋取ってくるから川崎さんへ連絡頼むわ」
 とPHSを田中に渡した。
 そうと決まれば、だ。
 オレと田中は再び電車で池袋へ戻ることにした。
「亘くん、べーちゃんが好きだったんだ」
「初恋ってやっかいだよな。9歳か10歳の頃からだから、半端ねーくらいこじらせてたんだよ」
 見てるのが痛々しいくらい、アホやってたよな。
「うわぁ、そりゃキツイな。何せ直樹とべーちゃんはアレだ、本当に仲良しだったから」
「だよな。喧嘩してても仲良いってのが分かるくらい、あいつら仲良かったから」
 勝手に死んじまうから。
 電車が池袋駅に着く。
 さすがに上りの車内は空いてるが、この時間でも構内は人が多いな。
「亘くんって義理堅いというか、直樹が死んで5年も我慢してたんだね。一途だねぇ、って。おい」
 中央改札を出たところで、田中が肩を掴んできた。
「何だよ」
「高校の頃、亘くんって、しょっちゅう女変えてなかったっけ? 何か腹立つ食らいモテてた記憶が」
 さすがに覚えてましたか。
 あいつの|悪評《アホさ》は、そこまで有名でしたか。
 やれやれ、しばらく紅緒は大変だな。
「いろいろ、こじらせてたんだよ」
 アホだから、あいつは。
 と、そこに|PHS《ピッチ》に受信が入る。
 誰だろう。
 ごめんと田中に合図を送り、内ポケットからPHSを出す。
「もしもし……」
「あ、もしもし、笠神くん? 川崎です。今、どこまで来てる?」
 え? 川崎さんだ。
「川崎さん? はい、今池袋の改札出て東口に向かう所です」
「あのさ、急で悪いんだけど良かったら家で飲まない? 中板だからすぐなんだ」
「あ、ちょっと待ってください」
 とPHSを押さえ、田中に伝える。
「先生のマンション! 行く行く」
 田中への土産のつもりだったんだが。
 酒持ってきて正解だったな。
「はい、いいですね。田中も、喜んでます」
「じゃ、悪いけど中板まで来てくれるかな? 駅からマンションまですぐなんだ」
「はい。分かりました」
 一旦PHSを切り、田中に伝える。
「マンションまで来てくれって」
「最近引っ越したんだよ。だから、俺も初めてだ、行くの」
 中板の駅に着き、再び川崎さんへ電話をかけ誘導してもらいながら、歩くこと数分。
 無事、目的のマンションに着いた。
 5階建てのエレベーターのないマンション。
「最上階の真ん中、503号室……はい、もう大丈夫です」
 そこでまた、PHSを切った。
 田中と二人、階段を上る。
 知らないうちに、二人とも階段を駆け上がっていた。
 顔を見合わせ、自然と笑顔になる。
 息を整えて、部屋のインターフォンを鳴らそうと指を伸ばしたら。
「いらっしゃい、よく来たね」
 ドアが開き、川崎さんがお店とは違う笑顔で出迎えてくれた。