4
ー/ージンを失神させてしばらくした後。
「え、マジそれ?」おおよそ先生の口調とは思えない返事。
「マジだよ。あの人パンダじゃなかった」
そう話すと、スマホの先でどっとベッドに倒れ込むような音が。あー、なんとなく分かる。落胆してるかなこれは。
「ンで、そのパンダじゃなかった人の正体はなんだったの?」
「えっと、やっぱり目の周りが真っ黒で茶色っぽい毛してて、でもって……」
「耳の色はどんなだった?」
って、ちらっと元パンダのおじさんの姿を確認。実はこの時正体を明かしてくれてたんだ。「ずっとパンダだと思ってたか?」なんてケタケタ笑いながらね。もちろん俺だってそうとしか思ってなかったもん。
「耳の周りは白っぽい。ってことはタヌキかな?」
でも先生の答えは違ってた。最終的にしっぽの先まで見てって。いやあれ完全にタヌキだろ、図鑑でも見たことあるし。
「違うわ、アライグマよ」
「え」としか返せなかった。
「まあ、間違えるのもしょうがないかな。カラーリングはとっても似通ってるしね」
ということで、アライグマはグレーな毛並みに白いふちどりの耳。でもって白黒しま模様のしっぽなんだとか。
「タヌキはもっと茶色いわ。それにしっぽはそれほど長くないしね」
うん、再確認してみたらかなり長かった。つまりパンダのおじさんの正体は……
「Were raccoon」
「ワーラクーン?」
「そう、ワーアライグマ。だからそいつは私のターゲットじゃないのよ、ありがとね」
スマホ切られた。おまけに害をなすタイプじゃないからってことで、先生も行かないって……オイそんなのアリかよ!
⭐︎⭐︎⭐︎
「おじさん、なんでパンダの姿に化けてたの?」
率直な質問。相変わらずジンは気絶したまんまだから放っておいて。まずはそれを聞いてみなくちゃ。
「分かるだろう? あんな姿してたら真っ先に人間に害獣として通報されて、速攻で捕獲だ」
いやなんかそれ違くね? 普通パンダの方が捕まりやすいんじゃ?
でも、おじさんの方が一枚上手……じゃなくて、ザンの方が予想の斜め上の思考だったんだ。
「例の薬な。あれは毛染めさ。パンダのカラーリングにすれば大丈夫だと、アイツは教えてくれたんだ」
ちょ
……全然わかんねーんだけど?
「もちろん私も最初は戸惑ったさ。だけどアイツが言うには、あえてパンダとして人前に出れば、みんなは着ぐるみだと思って逆に親切に接してくれる……とな」
逆転の発想とでもいうのかな。こんな巨大アライグマがこの街中をのっしのっしと歩いてたら……
そう。ネコといいアライグマといい、そしてネズミや、ちょっとレアなハクビシンとか。近所のゴミ捨て場を漁ったり、屋根裏に住み着いたりとかしてかなり迷惑な存在。つまり害獣ってワケだ。かわいい、なあんて引き取ることもないしね。
だからこそパンダだったんだ。アライグマと違ってパンダは……うん、ゴミ漁ったりする姿は見たことがないけど、たぶんそんなことはしないと思う。それに動物園ではいつも人気者だし。
だからパンダのカラーリングで居続ければ、周りの人も変に思ったりしないってワケだ。バイトも出来ちゃうだろうし。
そういっておじさんは、残った薬を近くの川で溶いて、じゃばじゃばと浴びていた。
不思議、あっという間にまたパンダの姿に戻っちゃった。
……っと、さっきはどうしてアライグマになったのかってことだけど。
ジンは、一撃だけおじさんの顔面をかすっていたんだ。俺にも分からなかったけど。
そう、おじさんの顔の右半分の色が剥げ落ちてて。グレーの毛が見えてたから、俺も頭の中が混乱しちゃって。
「ありゃ、せっかく染めた毛が台無しになっちまったな」
どーなってんの? 色落ちするパンダなんているのかよ? ってすっげ焦ったし。
それが、ついさっきのこと。
「ところでタケル。ジンの奴をさっき一撃で倒してたが……」
ぎくっ!
「なかなか戦いのセンスあるんじゃないのか?」
いや違うって! あれは……その。
「こいつの足はな、猛烈に臭えんだ。俺も失神しちまうくらいの威力なんだぞ」
「わーっ! わーっ! やめてええええ!!」
知らないうちにジンの目が覚めてたし。お願い! そんなこと大きな声で言わないでよ!
「いつだったか、イタチが襲って来たときにもこいつは顔面に蹴りを喰らわせて臭いでショック死させたっけな」
「ちがーう! イタチ死んでないし! つーかもうやめて!」
「タケル……お前さんそんなに臭い足しとるのか?」
パンダ……じゃなくてアライグマのおじさんも呆気に取られた顔して俺のこと見てるし。やめて恥ずかしいいいいいい!
「足臭オオカミって超カッコいいあだ名もついたしな。こいつにとっての必殺技とでも言えばいいのか、なあタケル?」
「やぁぁぁめろぉぉぉぉぉぉぉお!」
……ちなみに、しばらくの間ジンの嗅覚は戻ることがなくって。
あいつ、それまで口きいてくれなかった。
ハア……最悪じゃねーか!
「え、マジそれ?」おおよそ先生の口調とは思えない返事。
「マジだよ。あの人パンダじゃなかった」
そう話すと、スマホの先でどっとベッドに倒れ込むような音が。あー、なんとなく分かる。落胆してるかなこれは。
「ンで、そのパンダじゃなかった人の正体はなんだったの?」
「えっと、やっぱり目の周りが真っ黒で茶色っぽい毛してて、でもって……」
「耳の色はどんなだった?」
って、ちらっと元パンダのおじさんの姿を確認。実はこの時正体を明かしてくれてたんだ。「ずっとパンダだと思ってたか?」なんてケタケタ笑いながらね。もちろん俺だってそうとしか思ってなかったもん。
「耳の周りは白っぽい。ってことはタヌキかな?」
でも先生の答えは違ってた。最終的にしっぽの先まで見てって。いやあれ完全にタヌキだろ、図鑑でも見たことあるし。
「違うわ、アライグマよ」
「え」としか返せなかった。
「まあ、間違えるのもしょうがないかな。カラーリングはとっても似通ってるしね」
ということで、アライグマはグレーな毛並みに白いふちどりの耳。でもって白黒しま模様のしっぽなんだとか。
「タヌキはもっと茶色いわ。それにしっぽはそれほど長くないしね」
うん、再確認してみたらかなり長かった。つまりパンダのおじさんの正体は……
「Were raccoon」
「ワーラクーン?」
「そう、ワーアライグマ。だからそいつは私のターゲットじゃないのよ、ありがとね」
スマホ切られた。おまけに害をなすタイプじゃないからってことで、先生も行かないって……オイそんなのアリかよ!
⭐︎⭐︎⭐︎
「おじさん、なんでパンダの姿に化けてたの?」
率直な質問。相変わらずジンは気絶したまんまだから放っておいて。まずはそれを聞いてみなくちゃ。
「分かるだろう? あんな姿してたら真っ先に人間に害獣として通報されて、速攻で捕獲だ」
いやなんかそれ違くね? 普通パンダの方が捕まりやすいんじゃ?
でも、おじさんの方が一枚上手……じゃなくて、ザンの方が予想の斜め上の思考だったんだ。
「例の薬な。あれは毛染めさ。パンダのカラーリングにすれば大丈夫だと、アイツは教えてくれたんだ」
ちょ
……全然わかんねーんだけど?
「もちろん私も最初は戸惑ったさ。だけどアイツが言うには、あえてパンダとして人前に出れば、みんなは着ぐるみだと思って逆に親切に接してくれる……とな」
逆転の発想とでもいうのかな。こんな巨大アライグマがこの街中をのっしのっしと歩いてたら……
そう。ネコといいアライグマといい、そしてネズミや、ちょっとレアなハクビシンとか。近所のゴミ捨て場を漁ったり、屋根裏に住み着いたりとかしてかなり迷惑な存在。つまり害獣ってワケだ。かわいい、なあんて引き取ることもないしね。
だからこそパンダだったんだ。アライグマと違ってパンダは……うん、ゴミ漁ったりする姿は見たことがないけど、たぶんそんなことはしないと思う。それに動物園ではいつも人気者だし。
だからパンダのカラーリングで居続ければ、周りの人も変に思ったりしないってワケだ。バイトも出来ちゃうだろうし。
そういっておじさんは、残った薬を近くの川で溶いて、じゃばじゃばと浴びていた。
不思議、あっという間にまたパンダの姿に戻っちゃった。
……っと、さっきはどうしてアライグマになったのかってことだけど。
ジンは、一撃だけおじさんの顔面をかすっていたんだ。俺にも分からなかったけど。
そう、おじさんの顔の右半分の色が剥げ落ちてて。グレーの毛が見えてたから、俺も頭の中が混乱しちゃって。
「ありゃ、せっかく染めた毛が台無しになっちまったな」
どーなってんの? 色落ちするパンダなんているのかよ? ってすっげ焦ったし。
それが、ついさっきのこと。
「ところでタケル。ジンの奴をさっき一撃で倒してたが……」
ぎくっ!
「なかなか戦いのセンスあるんじゃないのか?」
いや違うって! あれは……その。
「こいつの足はな、猛烈に臭えんだ。俺も失神しちまうくらいの威力なんだぞ」
「わーっ! わーっ! やめてええええ!!」
知らないうちにジンの目が覚めてたし。お願い! そんなこと大きな声で言わないでよ!
「いつだったか、イタチが襲って来たときにもこいつは顔面に蹴りを喰らわせて臭いでショック死させたっけな」
「ちがーう! イタチ死んでないし! つーかもうやめて!」
「タケル……お前さんそんなに臭い足しとるのか?」
パンダ……じゃなくてアライグマのおじさんも呆気に取られた顔して俺のこと見てるし。やめて恥ずかしいいいいいい!
「足臭オオカミって超カッコいいあだ名もついたしな。こいつにとっての必殺技とでも言えばいいのか、なあタケル?」
「やぁぁぁめろぉぉぉぉぉぉぉお!」
……ちなみに、しばらくの間ジンの嗅覚は戻ることがなくって。
あいつ、それまで口きいてくれなかった。
ハア……最悪じゃねーか!
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
おすすめ作品を読み込み中です…
作者の他の作品
この作者の他作品はありません。
この作品と似た作品
似た傾向の作品は見つかりませんでした。
この作品を読んだ人が読んでいる作品
読者の傾向からおすすめできる作品がありませんでした。
おすすめ作品は現在準備中です。
おすすめ作品の取得に失敗しました。時間をおいて再度お試しください。