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ー/ー「お仲間さんだね、いつかそっちから来ると思ってたよ」
すっげ拍子抜け。パンダの気配を追ってちょっと離れた崖のとこまで。そこにはかつて使われた倉庫だの防空壕とか言われてた大小さまざまな洞窟がいくつも開いてる場所があるんだ。
けど災害指定区域……ってよく分からんけど、危険な場所だってことで金網が張られて近寄れなくなっている。そんなヤバいところ。パンダは上手いこと金網が外れてるとこを見つけてて、そこから穴へと出入りしてたんだ。
中は結構ひんやりしてて、人間ならばスマホのライトでも使わないと進めないくらい真っ暗。まあ俺もジンもオオカミだしね。このくらい全然大丈夫なんだけど。
パンダはその奥で、近所の川で釣ったみたいな串に刺された大小さまざまな魚を焚き火で焼いていたんだ。
ジンいわく「奴にはバレてるだろうよ、俺たちの匂いからな」だって。つまり洞窟は風上。そこから吹いてくる風でもう俺たちが向かっているのは分かっているって。
「お前は一切手出しするな」
「なんでだよ?」
「あァ? まともにケンカもできないクソオオカミだろ?」
言われてムカっと来たけど正論だ。ジンは戦いのプロなのはすでにイノシシとの戦いで目の当たりにしたし。
けど……戦いはできれば避けたいよね。
焚き火の灯りに照らされたパンダとすぐに目があった。つーかあのでっかい白黒な毛だから、見てるのかどうかはイマイチ不明。でもパンダにはバレバレだった。「お仲間さん」なんて言われちゃったしね。
「大丈夫。私は手出しすることはないから安心しなさい」
声からして、おじいさんくらいの年齢かな? 優しい声と喋り口。
「珍しいな。ワーウルフ……それも種類がお互い違う同士か」
焚き火を挟んで俺とジン。向かいにはパンダ。腰を下ろしたはいいけどまだ警戒は解かない。もちろん緊張もね。
「俺はジン。そしてコイツがタケルだ……お前の名は?」
「期待させてすまんが、忘れてしまったわ」
ジンが軽く舌打ち。イラついてるな。
「ねえパンダのおじさん、いつ頃からその姿になっちゃったの?」
俺の声を聞いてちょっと驚いてた。「こりゃまた若い少年だな」って。
ほどよく焼け上がった魚を口に放り込み、ボリバリ骨ごと平らげちゃってた。
「……お前さんが生まれるよりはるか昔、だな」お腹空いてたのかな、立て続けに3匹引っこ抜いてガツガツ食べてた。
パンダのおじさんって相当な年齢なのかな?
「どのくらい前にここに来た?」と、ジンはまだまだ鋭い眼光を向けたままだ。
「数日も経ってはいないさ。たまたまここで気になる匂いを感じ取ったからな……それに蓄えもあるし、周りの連中もうまく姿をだまして見せているしな、今のところは誰も違和感を持っちゃいないさ」
だましてる……って、つまりはパンダに見えてないってこと? 俺はその不思議な点を聞いてみた。
「おや知らんのか? ザンのことを」
「……ザンだとォ!!!」
なぜそこでザンが? つーかその言葉に怒りを隠せなかったジンが立ち上がった。
「ああ、この姿で追われていた時にな。あいつに会ったんだ。いい奴でな。この薬をくれたんだ」
「……クスリ?」
パンダのおじさんがいうには、動物の姿でその薬を溶かした水につかれば、相手には人間の姿にしか見えなくなるんだって。
一回使えば永久に大丈夫。ってことでおじさんは薬の入ってた包みを見せてくれたんだけど……
うん、一度だけ使うだけなら、そりゃ残ってないよね。だから大きな笹の葉っぱで包まれたその中には、ちょっとだけ黄色っぽい粉がこびりついてるだけだった。
「ジンとか言ったね。あいつになにか恨みでもあるとかかな?」
ヤバいほど殺気立ってた。薬なんかに目もくれず、あいつはずっとパンダの方だけ鋭い目で見続けていたんだ。
「……教えろ、アイツは他になにか話してたか?」
だけどパンダは全然ビビることはなかった。ちょっと焦げつきかかっていた最後の魚を、大きな口でバリッと。
「それを知ってどうするん……ッ!」
速い!いい終わらないうちにジンの長い爪の突きがパンダの鼻先に向かってた! なにすんだよ!
って、俺が叫ぶヒマすらなかった。パンダのでっかいぶっとい指が、それこそ箸を持つみたいにジンの爪をつまみ持っていたんだ。
「やれやれ、血の気が多い奴だな」
ゆっくりとパンダは立ち上がった……めっちゃデケエ。つーか俺が小柄なだけかも知れないけど、この前遠目で見た時よりもっと大柄に感じるんだ。
「オオカミくん、済まないがこの分からず屋を指導しても、構わないかな?」
そう言ってパンダのおじさんは、俺に向かって小さな目で軽くウインクしたんだ。
思わず吹き出しそうになっちゃったけどね。
「いいよ」って。
すっげ拍子抜け。パンダの気配を追ってちょっと離れた崖のとこまで。そこにはかつて使われた倉庫だの防空壕とか言われてた大小さまざまな洞窟がいくつも開いてる場所があるんだ。
けど災害指定区域……ってよく分からんけど、危険な場所だってことで金網が張られて近寄れなくなっている。そんなヤバいところ。パンダは上手いこと金網が外れてるとこを見つけてて、そこから穴へと出入りしてたんだ。
中は結構ひんやりしてて、人間ならばスマホのライトでも使わないと進めないくらい真っ暗。まあ俺もジンもオオカミだしね。このくらい全然大丈夫なんだけど。
パンダはその奥で、近所の川で釣ったみたいな串に刺された大小さまざまな魚を焚き火で焼いていたんだ。
ジンいわく「奴にはバレてるだろうよ、俺たちの匂いからな」だって。つまり洞窟は風上。そこから吹いてくる風でもう俺たちが向かっているのは分かっているって。
「お前は一切手出しするな」
「なんでだよ?」
「あァ? まともにケンカもできないクソオオカミだろ?」
言われてムカっと来たけど正論だ。ジンは戦いのプロなのはすでにイノシシとの戦いで目の当たりにしたし。
けど……戦いはできれば避けたいよね。
焚き火の灯りに照らされたパンダとすぐに目があった。つーかあのでっかい白黒な毛だから、見てるのかどうかはイマイチ不明。でもパンダにはバレバレだった。「お仲間さん」なんて言われちゃったしね。
「大丈夫。私は手出しすることはないから安心しなさい」
声からして、おじいさんくらいの年齢かな? 優しい声と喋り口。
「珍しいな。ワーウルフ……それも種類がお互い違う同士か」
焚き火を挟んで俺とジン。向かいにはパンダ。腰を下ろしたはいいけどまだ警戒は解かない。もちろん緊張もね。
「俺はジン。そしてコイツがタケルだ……お前の名は?」
「期待させてすまんが、忘れてしまったわ」
ジンが軽く舌打ち。イラついてるな。
「ねえパンダのおじさん、いつ頃からその姿になっちゃったの?」
俺の声を聞いてちょっと驚いてた。「こりゃまた若い少年だな」って。
ほどよく焼け上がった魚を口に放り込み、ボリバリ骨ごと平らげちゃってた。
「……お前さんが生まれるよりはるか昔、だな」お腹空いてたのかな、立て続けに3匹引っこ抜いてガツガツ食べてた。
パンダのおじさんって相当な年齢なのかな?
「どのくらい前にここに来た?」と、ジンはまだまだ鋭い眼光を向けたままだ。
「数日も経ってはいないさ。たまたまここで気になる匂いを感じ取ったからな……それに蓄えもあるし、周りの連中もうまく姿をだまして見せているしな、今のところは誰も違和感を持っちゃいないさ」
だましてる……って、つまりはパンダに見えてないってこと? 俺はその不思議な点を聞いてみた。
「おや知らんのか? ザンのことを」
「……ザンだとォ!!!」
なぜそこでザンが? つーかその言葉に怒りを隠せなかったジンが立ち上がった。
「ああ、この姿で追われていた時にな。あいつに会ったんだ。いい奴でな。この薬をくれたんだ」
「……クスリ?」
パンダのおじさんがいうには、動物の姿でその薬を溶かした水につかれば、相手には人間の姿にしか見えなくなるんだって。
一回使えば永久に大丈夫。ってことでおじさんは薬の入ってた包みを見せてくれたんだけど……
うん、一度だけ使うだけなら、そりゃ残ってないよね。だから大きな笹の葉っぱで包まれたその中には、ちょっとだけ黄色っぽい粉がこびりついてるだけだった。
「ジンとか言ったね。あいつになにか恨みでもあるとかかな?」
ヤバいほど殺気立ってた。薬なんかに目もくれず、あいつはずっとパンダの方だけ鋭い目で見続けていたんだ。
「……教えろ、アイツは他になにか話してたか?」
だけどパンダは全然ビビることはなかった。ちょっと焦げつきかかっていた最後の魚を、大きな口でバリッと。
「それを知ってどうするん……ッ!」
速い!いい終わらないうちにジンの長い爪の突きがパンダの鼻先に向かってた! なにすんだよ!
って、俺が叫ぶヒマすらなかった。パンダのでっかいぶっとい指が、それこそ箸を持つみたいにジンの爪をつまみ持っていたんだ。
「やれやれ、血の気が多い奴だな」
ゆっくりとパンダは立ち上がった……めっちゃデケエ。つーか俺が小柄なだけかも知れないけど、この前遠目で見た時よりもっと大柄に感じるんだ。
「オオカミくん、済まないがこの分からず屋を指導しても、構わないかな?」
そう言ってパンダのおじさんは、俺に向かって小さな目で軽くウインクしたんだ。
思わず吹き出しそうになっちゃったけどね。
「いいよ」って。
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