人は何度だって恋をする。振られたり、想いが届かなくって何度涙しても好きになる。その恋が叶わないと思っても諦めずぶつかって行ける勇気を出せる。努力して自分を磨き、想いを伝える。
僕が告白した彼女だって、
「かっこいい~。冴木君、こんなところ滑れるなんてすごいんだね」
なんていうもんだから、それだけで好きになったんだ。『かっこいい』が僕に向けられたと言葉だと勘違いをして。
そんなんで告白されたらいい迷惑だよね。――でもそのおかげで僕は変われたんだ。
恋と同じなんだ……体格がって言い訳するのは、もっと顔が良ければ、と言っているのと同じで、才能がないのだって性格と同じだ、生まれ持ったモノだけでできていない。『好き』になったのなら我武者羅に成就する方法に突き進めばいい。
『勝てるかも……』ちょっとしたその勘違いから奇跡は起きるものだから。
お守りを左の胸ポケットに入れる……これも『あの人』がやっているゲン担ぎの真似だ。憧れのあの人が尊敬する人は坂本龍馬だって言うから、僕は坂本龍馬が好きだ。好きな人が好きなものを好きになる。動機なんてそんなもんで良い。坂本龍馬のように倒れるのなら前のめりで行く覚悟だ。
コーク1080に挑戦だ。
僕は一回戦、第一エアでコーク1080(* 斜め三回ひねり)に成功した。大歓声が自信に変わる。この歓声は次に滑る相手へのプレッシャーを掛ける。無事に二回戦に進出できた。
千晶、勝負だ!
乗り越えたい壁がある。いつだって越えられない壁があった。千晶! 僕は君の背中を追っていた。僕の欲しいものは全て君が持っている。だから何度跳ね返されても君に勝つのを諦めない! 君を越さない限り僕は……!!
スタートが切られる。