三日目、僕の出番だ。回転に比べて大回転は旗門の間隔が広いから、ロングターンがベースとなる。下見でそのライン取りのイメージを作る。
二本滑った合計タイムで順位が決まるのがアルペン。アルペンレーサーたちは単純にスピード、速くゴールしたものが勝つ、というシンプルさが魅力だ。
僕はスタートを切る。赤、青……と旗門を交互に通り抜けていく。クローチングして風の抵抗を逃れるように切り裂いていく。白い世界の中に浮かぶ赤と青……常に2.3個先の旗門を見つめていて、空を楽しむ余裕なんてない。
それなのに僕は昨日の茶色く濁ったコーヒー色の雪を思い出していた。暖空の心にもシミを残したであろう、あのアメリカンのような薄っぺらい千晶の言葉。
結果は二本とも1分15秒台のタイム。やっぱり競技スキーは甘くない、話しにならない結果だ。女子にも及ばない。そんな自分が恥ずかしくもなった。少しだけ千晶の言っていることが分かった。
四日目はリレーだ。男子は10㎞×4人のクロスカントリーだ。優勝ラインが大体1;50分ほどで走り切る。つまり一人当たり30分弱の換算だ。
交互滑走・推進滑走・開脚登行などのクラシカルという決められた走法の大会で、クロスカントリーど素人丸出しの滑りをする弱小チームの僕らは、走法技術はもちろん僕に至っては、中継地点で次走者の身体に触れることで責任を受け渡されることが不安で、リレーにもたつく大失態。チームも完走するのがやっとこさ。ゴールにたどり着くのが精一杯。最後の一年生アンカーがフラフラでフィニッシュすると周囲には失笑が起きる程だった。
僕らは何も言えなかった。一生懸命頑張った自分に胸を張れない僕……只々嘲笑を我慢する以外何もできない僕……。