@ 17話
ー/ー
「南中から来ました冴木空澄です。趣味は……特にありません、よろしくお願いします」
高校での自己紹介では、趣味・特技で『モーグル』とは言えなかった。恥ずかしかったんだと思う。
赤いトレーナーを着た女子モーグル代表選手の上村愛子選手が『モーグルって知ってます?』と語りかけた30秒のCMを思い出す。
今思えば自分の大好きなものに『恥ずかしい』ことなんかないのに。暖空ならニコッと笑って『飛ぶのが大好きです』って言ったんだろうな。
僕は言えなかった……。
同中がいない僕は、『一緒にご飯を食べよう』たったその一言が言えず一人だった。
千晶ならズカズカと輪に入っていき、『俺も混ぜてくれよ』って言いそうだ。
体育祭で親睦を深めるクラスメイト。応援合戦など声を枯らして盛り上がるみんなから、グランドの土煙に紛れて隠れる様にやり過ごすと、周囲との温度差は広がったように感じる。授業の体育レベルでは運動能力の割合が比較的大きいと思われる短距離走と違って、努力と根性が物を言うマラソン大会では、バスケ部、野球部、サッカー部に次いで4位に入った。
「すげぇじゃん」
その時ばかりは少しばかり声を掛けられたが、体育祭のようにみんなで分かち合うことのできない個人種目のマラソン大会は、所詮僕だけの自己満足にすぎなかった。
文化祭の頃になるとカップルなんかもでき、男女の交流が盛んにクラスの雰囲気が色めきだす。
青春の代名詞ともいえる『恋』……。僕は恋に憧れた。周囲の楽し気な甘い香りに誘われて。
僕はいつも一人でモーグルの動画ばっかり見ていた。そんな僕に話しかけてくれた女子がいる。クラスのスクールカーストでも上位のグループに属している子で、容姿は断然、暖空の方がタイプで僕が言うのもなんだが、中の中。それでも僕の机は花壇のように華やいだ。
ただ話しかけてくれたことにときめいたんだ。
「何見てるの?」
って。僕が動画を見せてモーグルをやってることを話すと、
「かっこいい~。冴木君、こんなところ滑れるなんてすごいんだね」
その動画には、海外で活躍している千晶が映っていた。
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赤いトレーナーを着た女子モーグル代表選手の上村愛子選手が『モーグルって知ってます?』と語りかけた30秒のCMを思い出す。
今思えば自分の大好きなものに『恥ずかしい』ことなんかないのに。暖空ならニコッと笑って『飛ぶのが大好きです』って言ったんだろうな。
僕は言えなかった……。
同中がいない僕は、『一緒にご飯を食べよう』たったその一言が言えず一人だった。
千晶ならズカズカと輪に入っていき、『俺も混ぜてくれよ』って言いそうだ。
体育祭で親睦を深めるクラスメイト。応援合戦など声を枯らして盛り上がるみんなから、グランドの土煙に紛れて隠れる様にやり過ごすと、周囲との温度差は広がったように感じる。授業の体育レベルでは運動能力の割合が比較的大きいと思われる短距離走と違って、努力と根性が物を言うマラソン大会では、バスケ部、野球部、サッカー部に次いで4位に入った。
「すげぇじゃん」
その時ばかりは少しばかり声を掛けられたが、体育祭のようにみんなで分かち合うことのできない個人種目のマラソン大会は、所詮僕だけの自己満足にすぎなかった。
文化祭の頃になるとカップルなんかもでき、男女の交流が盛んにクラスの雰囲気が色めきだす。
青春の代名詞ともいえる『恋』……。僕は恋に憧れた。周囲の楽し気な甘い香りに誘われて。
僕はいつも一人でモーグルの動画ばっかり見ていた。そんな僕に話しかけてくれた女子がいる。クラスのスクールカーストでも上位のグループに属している子で、容姿は断然、暖空の方がタイプで僕が言うのもなんだが、中の中。それでも僕の机は花壇のように華やいだ。
ただ話しかけてくれたことにときめいたんだ。
「何見てるの?」
って。僕が動画を見せてモーグルをやってることを話すと、
「かっこいい~。冴木君、こんなところ滑れるなんてすごいんだね」
その動画には、海外で活躍している千晶が映っていた。