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@ 16話

ー/ー



 新しい生活となる高校は誰も知り合いなんていない。華やかな高校生活なんて大それたことは夢見ていない。それでも『スキー部』という自分の居場所が用意されている期待があった。中学校より少しだけ楽しい生活が送れれば良いな、って思った。




「お疲れさまでした~」


 中学生二年生のときに何とか許可を取り、知り合いのところで新聞配達を朝5:00~7:00までで働かせてもらい、そのまま学校に行って朝練。放課後も日が暮れてもトレーニングに明け暮れた。毎朝5㎞走る。腹筋や臀筋群(* お尻周りの筋肉)のトレーニングをして授業へ。夏は1時限目が終わるくらいまで汗が引かない。そんなことも手伝って、汗臭い僕は周囲との距離を取る。
 放課後も日が暮れてもトレーニングに明け暮れた。






 高校インターハイでは『アルペン』『クロスカントリー』『ジャンプ』の三種目で、『フリースタイル』はない。
 それでも週末毎に雪を求めて一人で遠征するのには限界があった。スキー部として雪山を目指せるメリットがあった。何より体のできていないうちは、顧問や他の部員たちとのトレーニング・コーチングは有難い。




「ただいま~」


 クタクタになって風呂ご飯を済ます。部屋の天井に上村愛子の大きなポスター。ベットに寝転がると彼女の姿を見ながらすぐに眠りに落ちる。週末は働いて稼いだ僅かなお金をもって夜行バスに乗る。


 いつも夜空の星を線で結んだ暖空の笑顔を見ながら、お祖母ちゃんの家へ。






 千晶と暖空の二人はすでW杯に挑戦している。フリースタイルスキーモーグルは極端に戦場が少ない。競技人口が少ないこともあるし、もちろん才能もあったに違いないが、以前は小学六年で全日本を制した選手もいるほどに。
 アルペンを選んでいたのなら、全国大会も有り、学校という単位でも注目を浴び、スポンサーが付けば遠征もしやすくなったり、道具ももらえたりもするのだが……。


 公認競技大会に出てポイントを稼ぎ、より大きな大会への出場権を集めて行く……。僕みたいな無名の貧乏学生にはそれは大変なことだ。


 中学生からジュニアのナショナルチームに入っていた千晶と暖空はコーチも着いて一か月単位での海外遠征なども経験し、もはや雲の上の存在だった。


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 新しい生活となる高校は誰も知り合いなんていない。華やかな高校生活なんて大それたことは夢見ていない。それでも『スキー部』という自分の居場所が用意されている期待があった。中学校より少しだけ楽しい生活が送れれば良いな、って思った。
「お疲れさまでした~」
 中学生二年生のときに何とか許可を取り、知り合いのところで新聞配達を朝5:00~7:00までで働かせてもらい、そのまま学校に行って朝練。放課後も日が暮れてもトレーニングに明け暮れた。毎朝5㎞走る。腹筋や臀筋群(* お尻周りの筋肉)のトレーニングをして授業へ。夏は1時限目が終わるくらいまで汗が引かない。そんなことも手伝って、汗臭い僕は周囲との距離を取る。
 放課後も日が暮れてもトレーニングに明け暮れた。
 高校インターハイでは『アルペン』『クロスカントリー』『ジャンプ』の三種目で、『フリースタイル』はない。
 それでも週末毎に雪を求めて一人で遠征するのには限界があった。スキー部として雪山を目指せるメリットがあった。何より体のできていないうちは、顧問や他の部員たちとのトレーニング・コーチングは有難い。
「ただいま~」
 クタクタになって風呂ご飯を済ます。部屋の天井に上村愛子の大きなポスター。ベットに寝転がると彼女の姿を見ながらすぐに眠りに落ちる。週末は働いて稼いだ僅かなお金をもって夜行バスに乗る。
 いつも夜空の星を線で結んだ暖空の笑顔を見ながら、お祖母ちゃんの家へ。
 千晶と暖空の二人はすでW杯に挑戦している。フリースタイルスキーモーグルは極端に戦場が少ない。競技人口が少ないこともあるし、もちろん才能もあったに違いないが、以前は小学六年で全日本を制した選手もいるほどに。
 アルペンを選んでいたのなら、全国大会も有り、学校という単位でも注目を浴び、スポンサーが付けば遠征もしやすくなったり、道具ももらえたりもするのだが……。
 公認競技大会に出てポイントを稼ぎ、より大きな大会への出場権を集めて行く……。僕みたいな無名の貧乏学生にはそれは大変なことだ。
 中学生からジュニアのナショナルチームに入っていた千晶と暖空はコーチも着いて一か月単位での海外遠征なども経験し、もはや雲の上の存在だった。