2008年4月
僕は県内のスキー部のある高校に進学していた。結局中学三年間は学業も私生活もそこそこ、キラキラの思い出なんか何一つない学校生活……彼女なんてもっての外で、友達さえもできず、卒業イベントにも声も掛からない、そんな引きこもりの生活では、やっぱり僕は常に暗い色の方に属していた。
僕らの中学校はホワイトスクールでスキーだった。スキー教室では僕は教える側に着いた。
初めてスキーをする生徒たちがボーゲンで降りてくるのを下で監督していた。
「キャッ、キャー、止まらない」
「もっと足を“ハ”の字にして! お尻の筋力に力を入れて!」
僕が必死に叫ぶも彼女のスピードは落ちない。僕より下は他の人たちが滑っている。
「キャッ!」
彼女は僕とぶつかってやっと止まった。僕は彼女を抱きとめていた。
「だ、大丈夫?」「あ、ありがと。ご、ごめんね」
そう言いながらゴーグルを上げる彼女は僕の目にとてもかわいく映り込む。このゴーグルを外す瞬間が何ともたまらなく期待感を上げる。ゲレンデマジック! 艶の失われたレンタルウェアでさえもゲレンデの魔法は女子をオシャレに飾る。彼女の髪が僕の顔ヘ当たるその距離に、僕の心は雪崩を起こした。
「いつまでくっついてんだョ」
そう囃し立てられて僕は慌てて彼女を離した。しかし良いことばかりではない、その夜僕はその女の子の彼氏に殴られた。
昨年、地元に降った大雪は、交通機関などに大きく影響を及ぼして、都心圏内の雪への弱さをニュースは連日伝えていたけれど、ここと何にも変わらない同じ雪なんだな、って僕の血が点々と色を付けた真っ白な雪を見つめながら思った。