カーヴィング……しっかりと加重してスキーをたわませるとともに、スキーの縁についている金属製のエッジを雪面に食い込ませてエッジをずらさないで滑る技術、カーヴィングターン(* 回転弧の深さに関係なく、できるだけターンスピードを落とさずに滑るテクニック)
フォールラインをしっかりイメージする。規則的に膝に衝撃が伝わる。規則正しいことはリズムよく滑れている証拠だ。
うん! いい感じだ。滑り出す前の恐怖など微塵もない。
衝撃に膝が負けていない、程よくクッションする膝の柔軟性としっかり雪面を踏み込む強さが両立している。どんな機械やコンピュータを駆使してもこのサスペンション性能は生み出せない。
コブの裏側をストックが突いて行く……次のターンに入るタイミングが上手くとれているのが手からも伝わる。
「気持ち……いい」
思わず声が出る。すごい勢いで近づいてくる暖空と千晶。まともに焦点が合わない程だ。それでいて近くの景色はゆっくりと後ろへと流れて行く。感覚が逆転している。
暖空の口が大きく動いた。千晶が大声で何か騒いでいる。
あれ? どうしたんだろう?