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交差点

ー/ー



どこかの外国、たぶんカナダかアメリカだと思う。だってあたりの人はみな外人で、街の風景がそうだったから。


私は沢山の車が行き交う大きな交差点で大勢の人にまぎれて立っている。
信号が青になるとみんな道を渡り始めた。道には横断歩道の目印である白線は無かったと思う。それがどうしてなのかは今でもわからない。私は道を渡る集団の先頭にいて向こう側を目指して歩いた。


道のちょうど真ん中あたりまで来た時だった。とても大きな、いかにも外国らしいトラックが物凄い勢いで私のいる方へと曲がってきた。
すると、幼い少年が一人、集団の中から私の前へ駆け出してきた。
別に私を庇おうとしたわけじゃない。顔は前を向いていたし、少年はただ走って道を渡ろうとしただけだったんだ。
少年はトラックに気がつくと振り返って私を見た。
艶のある黄金の髪を靡かせて、淀みが全く無い透き通った水色の瞳をまん丸に見開いて、可愛らしい小さな口をポカンと開けたまるで天使のようなその少年は私の顔を不思議そうに見つめていた。

次の瞬間、少年はトラックの下敷きとなった。辺りの人々はこの出来事を全く気にする様子もなく道を渡り続けている。
私は近くの人に


「なんとかしなくちゃ!」


と声をかけた。
するとその人は


「あぁ、しょうがないよ」


とだけ言い残して行ってしまった。私は人が行き交い続けるその場に立ち尽くした。

ふと気がつくと私はまた同じ交差点に大勢の人にまぎれて立っている。
信号が青になって歩き出すとさっきと同じことが起こった。
私はまた茫然と道に立ち尽くす。

そして、いつしか私は再び同じ交差点で、何も知らずにまた信号が青になるのをただ待っている。


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どこかの外国、たぶんカナダかアメリカだと思う。だってあたりの人はみな外人で、街の風景がそうだったから。
私は沢山の車が行き交う大きな交差点で大勢の人にまぎれて立っている。
信号が青になるとみんな道を渡り始めた。道には横断歩道の目印である白線は無かったと思う。それがどうしてなのかは今でもわからない。私は道を渡る集団の先頭にいて向こう側を目指して歩いた。
道のちょうど真ん中あたりまで来た時だった。とても大きな、いかにも外国らしいトラックが物凄い勢いで私のいる方へと曲がってきた。
すると、幼い少年が一人、集団の中から私の前へ駆け出してきた。
別に私を庇おうとしたわけじゃない。顔は前を向いていたし、少年はただ走って道を渡ろうとしただけだったんだ。
少年はトラックに気がつくと振り返って私を見た。
艶のある黄金の髪を靡かせて、淀みが全く無い透き通った水色の瞳をまん丸に見開いて、可愛らしい小さな口をポカンと開けたまるで天使のようなその少年は私の顔を不思議そうに見つめていた。
次の瞬間、少年はトラックの下敷きとなった。辺りの人々はこの出来事を全く気にする様子もなく道を渡り続けている。
私は近くの人に
「なんとかしなくちゃ!」
と声をかけた。
するとその人は
「あぁ、しょうがないよ」
とだけ言い残して行ってしまった。私は人が行き交い続けるその場に立ち尽くした。
ふと気がつくと私はまた同じ交差点に大勢の人にまぎれて立っている。
信号が青になって歩き出すとさっきと同じことが起こった。
私はまた茫然と道に立ち尽くす。
そして、いつしか私は再び同じ交差点で、何も知らずにまた信号が青になるのをただ待っている。