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第7話 グスタフとの対決!「カレーライス」が王宮を救う -2

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「私は、病に効く栄養満点の料理を作りたいのです。この異世界では見たことのないものですが、きっと皆さんの力になります!」

花子は毅然と言い放った。

グスタフは鼻で笑ったが、花子が召喚したカレールーを見た途端、その表情は驚愕に変わった。
手のひらに乗る、四角い茶色の塊。グスタフはそれを怪訝な目で凝視する。

彼の料理人としての知識と経験が、目の前のものに全く対応できないでいる。
それは、彼がこれまで見てきたどの食材とも、どの調味料とも異なっていた。

「な、なんだこの奇妙な固まりは!? 得体の知れぬものを使うなど、料理人の風上にも置けぬ! 貴様、まさか毒でも盛るつもりか!」

グスタフは激しく非難した。彼の声には、怒りだけでなく、未知のものへの警戒と、わずかな恐怖が混じっていた。

「これは、故郷の秘伝の調味料です。これを使えば、皆が元気になる料理が作れます!」

花子はグスタフの反発を押し切り、厨房の片隅で調理を開始した。

まずは、異世界の肉を大きめに切り分ける。
ドスン、ドスンと、まな板に肉が叩きつけられる音が響く。
玉ねぎやジャガイモに似た野菜も、ゴロゴロとした大きさに切っていく。

花子の手つきは、迷いなく、そして力強い。
まるで、長年この作業を繰り返してきたかのように、無駄がない。
彼女の動きの一つ一つに、確かな自信が宿っている。

熱せられた大鍋に、僅かな油をひき、肉と野菜を豪快に投入する。
ジュワアアァ……!と、肉が焼ける香ばしい音と、野菜の甘い香りが立ち上る。

肉の表面に焼き色がつき、野菜がしんなりしてきたところで、水を加え、煮立たせる。
アクを丁寧にすくい取りながら、煮込むことしばし。
鍋からは、肉と野菜のシンプルな出汁の香りが立ち上る。

しかし、まだこの時点では、グスタフが慣れ親しんだ料理と大差ない。

そして、いよいよ。
通販で召喚したカレールーの塊を投入した。

茶色い塊が熱いスープの中でゆっくりと溶け出し、みるみるうちに琥珀色のスープが、とろみのある深い茶色へと変わっていく。

鍋の中の液体が、まるで生き物のように姿を変えていく。
その変化は、まるで錬金術のようだ。

スパイシーで、しかしどこか甘く、食欲をそそる独特の香りが、瞬く間に厨房中に充満した。
それは、薬草の重苦しい匂いをかき消し、人々の胃袋を刺激する、抗いがたい誘惑の香りだった。
鼻腔をくすぐるその香りは、嗅いだことのない複雑な香辛料のハーモニーを奏でている。

「な、なんだこの香りは……!? 嗅いだことのない……しかし、妙に食欲をそそられる……!」

グスタフは、最初は嫌悪感を露わにしていたが、その香りに抗えず、無意識のうちに花子の鍋に引き寄せられていた。

彼の鼻が、くんくんと香りを追う。
プライドと好奇心が、彼の心の中で激しくせめぎ合っているのが見て取れた。

彼の顔には、驚きと困惑、そしてわずかな期待が入り混じった複雑な表情が浮かんでいる。

(この香りは……一体、何なのだ? 私の知るどの香辛料とも違う。だが、この食欲を刺激する感覚は……)

彼の長年の経験が、この未知の香りに、ただならぬ可能性を感じ取っていた。

完成した「カレーライス」は、温かいご飯の上に、とろりとしたルーがたっぷりとかけられたものだった。

深みのある茶色に、時折見える肉と野菜の彩り。
湯気が立ち上り、食欲を一層掻き立てる。

その見た目だけでも、王宮の味気ない食事とは一線を画していた。
花子は、簡易な器に盛り付けられたカレーを、病に伏せる王宮の者たちのもとへと運んだ。

部屋中に、食欲をそそる香りが広がる。
最初は訝しげな顔をしていた彼らも、一口食べると、その表情は驚きに変わる。
彼らの目が、大きく見開かれる。

「う、うまい……! 何だ、これは……! この辛さ、そしてこの甘み……!」

「体が温まる……! 食欲がわいてくる! ああ、こんなに美味しいものがこの世にあったなんて……!」

「苦くない! むしろ、もっと食べたい!」

カレーのスパイスと旨味が、弱った体に活力を与え、みるみるうちに彼らの顔に生気が戻っていく。
高熱で苦しんでいた者たちも、少しずつだがカレーを口にし、安らかな寝息を立て始めた。

その光景を目の当たりにしたグスタフは、呆然と立ち尽くしていた。

彼の長年の料理人としての経験とプライドが、目の前の「奇跡」によって打ち砕かれたのだ。
彼の絶対的な自信が、ガラガラと音を立てて崩れていく。

「まさか……料理で、これほどの力が……」

グスタフの顔から、怒りの色は消え失せ、代わりに深い困惑と、そして微かな探究心が浮かんでいた。
彼の脳裏には、これまでの自分の料理と、花子の料理がもたらした結果が、鮮明なコントラストとなって浮かび上がっていた。
彼の料理人としての世界が、音を立てて崩れ、そして新しい扉が開かれようとしていた。

(私は、一体何を学んできたのだ……? この娘は、私の常識を、私の全てを覆した……!)

ヴィクトリアもまた、花子の「聖女」としての真価を、改めて確信する。
彼女の顔には、安堵と、そして尊敬の念が浮かんでいた。

(やはり、聖女フローラ殿の力は、魔力とは違う。しかし、これほどまでに人々を救う力は、まさに聖女と呼ぶにふさわしい……)

王宮の体調不良は、花子のカレーライスによって、あっという間に収束した。

花子の評判は、王宮中に、そして王の耳にも、確かなものとして届いた。
「食の聖女」という新たな呼び名が、王宮の隅々まで囁かれ始めた。

王は花子を称え、彼女の功績を王宮中に布告した。

花子の存在は、もはや「魔力ゼロの落ちこぼれ聖女」ではなく、この世界に新たな光をもたらす「真の聖女」として、人々の心に深く刻まれていくのだった。



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「私は、病に効く栄養満点の料理を作りたいのです。この異世界では見たことのないものですが、きっと皆さんの力になります!」
花子は毅然と言い放った。
グスタフは鼻で笑ったが、花子が召喚したカレールーを見た途端、その表情は驚愕に変わった。
手のひらに乗る、四角い茶色の塊。グスタフはそれを怪訝な目で凝視する。
彼の料理人としての知識と経験が、目の前のものに全く対応できないでいる。
それは、彼がこれまで見てきたどの食材とも、どの調味料とも異なっていた。
「な、なんだこの奇妙な固まりは!? 得体の知れぬものを使うなど、料理人の風上にも置けぬ! 貴様、まさか毒でも盛るつもりか!」
グスタフは激しく非難した。彼の声には、怒りだけでなく、未知のものへの警戒と、わずかな恐怖が混じっていた。
「これは、故郷の秘伝の調味料です。これを使えば、皆が元気になる料理が作れます!」
花子はグスタフの反発を押し切り、厨房の片隅で調理を開始した。
まずは、異世界の肉を大きめに切り分ける。
ドスン、ドスンと、まな板に肉が叩きつけられる音が響く。
玉ねぎやジャガイモに似た野菜も、ゴロゴロとした大きさに切っていく。
花子の手つきは、迷いなく、そして力強い。
まるで、長年この作業を繰り返してきたかのように、無駄がない。
彼女の動きの一つ一つに、確かな自信が宿っている。
熱せられた大鍋に、僅かな油をひき、肉と野菜を豪快に投入する。
ジュワアアァ……!と、肉が焼ける香ばしい音と、野菜の甘い香りが立ち上る。
肉の表面に焼き色がつき、野菜がしんなりしてきたところで、水を加え、煮立たせる。
アクを丁寧にすくい取りながら、煮込むことしばし。
鍋からは、肉と野菜のシンプルな出汁の香りが立ち上る。
しかし、まだこの時点では、グスタフが慣れ親しんだ料理と大差ない。
そして、いよいよ。
通販で召喚したカレールーの塊を投入した。
茶色い塊が熱いスープの中でゆっくりと溶け出し、みるみるうちに琥珀色のスープが、とろみのある深い茶色へと変わっていく。
鍋の中の液体が、まるで生き物のように姿を変えていく。
その変化は、まるで錬金術のようだ。
スパイシーで、しかしどこか甘く、食欲をそそる独特の香りが、瞬く間に厨房中に充満した。
それは、薬草の重苦しい匂いをかき消し、人々の胃袋を刺激する、抗いがたい誘惑の香りだった。
鼻腔をくすぐるその香りは、嗅いだことのない複雑な香辛料のハーモニーを奏でている。
「な、なんだこの香りは……!? 嗅いだことのない……しかし、妙に食欲をそそられる……!」
グスタフは、最初は嫌悪感を露わにしていたが、その香りに抗えず、無意識のうちに花子の鍋に引き寄せられていた。
彼の鼻が、くんくんと香りを追う。
プライドと好奇心が、彼の心の中で激しくせめぎ合っているのが見て取れた。
彼の顔には、驚きと困惑、そしてわずかな期待が入り混じった複雑な表情が浮かんでいる。
(この香りは……一体、何なのだ? 私の知るどの香辛料とも違う。だが、この食欲を刺激する感覚は……)
彼の長年の経験が、この未知の香りに、ただならぬ可能性を感じ取っていた。
完成した「カレーライス」は、温かいご飯の上に、とろりとしたルーがたっぷりとかけられたものだった。
深みのある茶色に、時折見える肉と野菜の彩り。
湯気が立ち上り、食欲を一層掻き立てる。
その見た目だけでも、王宮の味気ない食事とは一線を画していた。
花子は、簡易な器に盛り付けられたカレーを、病に伏せる王宮の者たちのもとへと運んだ。
部屋中に、食欲をそそる香りが広がる。
最初は訝しげな顔をしていた彼らも、一口食べると、その表情は驚きに変わる。
彼らの目が、大きく見開かれる。
「う、うまい……! 何だ、これは……! この辛さ、そしてこの甘み……!」
「体が温まる……! 食欲がわいてくる! ああ、こんなに美味しいものがこの世にあったなんて……!」
「苦くない! むしろ、もっと食べたい!」
カレーのスパイスと旨味が、弱った体に活力を与え、みるみるうちに彼らの顔に生気が戻っていく。
高熱で苦しんでいた者たちも、少しずつだがカレーを口にし、安らかな寝息を立て始めた。
その光景を目の当たりにしたグスタフは、呆然と立ち尽くしていた。
彼の長年の料理人としての経験とプライドが、目の前の「奇跡」によって打ち砕かれたのだ。
彼の絶対的な自信が、ガラガラと音を立てて崩れていく。
「まさか……料理で、これほどの力が……」
グスタフの顔から、怒りの色は消え失せ、代わりに深い困惑と、そして微かな探究心が浮かんでいた。
彼の脳裏には、これまでの自分の料理と、花子の料理がもたらした結果が、鮮明なコントラストとなって浮かび上がっていた。
彼の料理人としての世界が、音を立てて崩れ、そして新しい扉が開かれようとしていた。
(私は、一体何を学んできたのだ……? この娘は、私の常識を、私の全てを覆した……!)
ヴィクトリアもまた、花子の「聖女」としての真価を、改めて確信する。
彼女の顔には、安堵と、そして尊敬の念が浮かんでいた。
(やはり、聖女フローラ殿の力は、魔力とは違う。しかし、これほどまでに人々を救う力は、まさに聖女と呼ぶにふさわしい……)
王宮の体調不良は、花子のカレーライスによって、あっという間に収束した。
花子の評判は、王宮中に、そして王の耳にも、確かなものとして届いた。
「食の聖女」という新たな呼び名が、王宮の隅々まで囁かれ始めた。
王は花子を称え、彼女の功績を王宮中に布告した。
花子の存在は、もはや「魔力ゼロの落ちこぼれ聖女」ではなく、この世界に新たな光をもたらす「真の聖女」として、人々の心に深く刻まれていくのだった。