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そうめん食べてしばらく休んだ後はコタロー直々の修行レクチャー。うん、食べたあとすぐの運動はお腹壊すからね。
場所はいつもの人気のない契約者ゼロの駐車場だ。
んで、コタローはというと……俺が貸したタブレットにずっと真剣に目を通してる。一応パスワード共有しておいたから俺の恥ずかしい日記とかも見れちゃってるんだけどね。いやそんなに恥ずかしくはないけど。

「以前教えた神速歩法、見せてもらえますか」
駐車場の砂利道をさっさと慣らしながら、さて修行開始……なんだけど、さっき思い切りぶつけた左の足の小指がめっちゃ痛え。けど我慢!
まずは3メートル、次は5メートルと、距離を徐々に遠くしながら……と。やべえ、痛みがだんだんひどくなってきた。けどコタローには悟られたくないし。
「今夜はこれまでにしましょう」ってあいつは半ば諦めたかのように俺にあっさりと。
「ちょっと待てって。まだ全然時間経ってねーし!」
いえ、そうじゃなくて。とあいつは俺の前でしゃがんで……そう。
「やっぱり。すごい小指が腫れてる」
俺も恐る恐る見てみると小指がヤバいほど真っ赤……を通り越してなんか青くなってた。
いくらケガの回復が早いとはいえ、痛いものは痛いんだよな……
「ちょっとみせてください」ってコタローが俺の足を手に取ろうとした。
いやちょっとやめろタイム! 痛いけど大したことないから!
「血がにじんでる……爪がちょっと割れちゃってますね……いま手当てしますから」
「だだ大丈夫、そんなことくらい自分でやれるし!」
「僕も修行や稽古の時はいろいろケガが絶えないんです、包帯とか絆創膏はカバンに常備してるんですよ」
「いや、そうじゃなくって」
「大丈夫ですよ、動かないでくださいね」
「ちょ、コタロー……」
コタローは俺の足を自分の膝に乗せ、細く切った包帯を器用に、くるくると俺の足の小指に巻いてくれた。
おまえ……なんでこんなに優しく手当してくれるんだよ。
今の俺の足はヤバいくらい汗臭くなっちゃってるのに。
だからこんなこと、ひとりでやれるってのに。
「あ、ありがとう……つーか俺の足、すげえ臭かったろ?」
「ええ、かなり……けど臭いからって理由で手当しないのは友達として失礼です」ってコタローは笑顔で答えてくれたんだ。

ふと、涙がいきなりポロポロあふれ出てきちゃった。
なんなんだよ俺、別に悲しいとかそーゆーんじゃないのに! けど……
「ごめん、コタロー……」その言葉だけで精一杯だった。とにかく、そう。謝りたかった。
「さっきは……ごめん、変なこと言っちゃって」
小指が痛いより、申し訳なさで胸がいっぱいになった。
こんな俺なのに、コタローはすぐに手当してくれて。
「お前に牙を剥くだなんて、コタローにそんなことを」
「大丈夫ですって、ジンあんなこといっぱい言われちゃったら、例え僕だって胸が辛くなります」
ギュッと、あいつは俺を抱きしめてくれた。
やめてよ、服が涙と鼻水で汚れちゃう。でも……今はコタローの優しさに頼るので精一杯だった。
⭐︎⭐︎⭐︎
「あれから僕なりに調べてたんです。タケルの過去の記録見ながら」
とにかく顔を洗わなきゃって洗面器に顔を突っ込んでる時にそんなこと言ったんだ。結構タブレット使いこなせられるようになってきてるし。
「タケルはワーウルフ化の能力に覚醒して以来、人間の時にも五感が人並み以上になりました。それと回復する力も。それは分かりますよね?」
もちろん。嗅覚とか聴覚とかね。あとコンビニ強盗に頭ぶん殴られても全然平気だったし、頑丈さもアップしてるみたい。

「それなんですけれど、タケル……先ほどケガした小指、どうなってますか?」
どーなってって……確かにコタローが手当してくれたのはイイんだけど、相変わらず腫れも引かずに痛いまんまだ。

それを聞いて「やっぱり」と。あいつ真剣な顔でうなづいた。なんなんだいったい?

「タケルは、相手から受けた攻撃や傷に関しては、それこそ驚異的な回復をみせるんですが……自分の過失で被ってしまったケガにはあまり効果を出さないんです」


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そうめん食べてしばらく休んだ後はコタロー直々の修行レクチャー。うん、食べたあとすぐの運動はお腹壊すからね。
場所はいつもの人気のない契約者ゼロの駐車場だ。
んで、コタローはというと……俺が貸したタブレットにずっと真剣に目を通してる。一応パスワード共有しておいたから俺の恥ずかしい日記とかも見れちゃってるんだけどね。いやそんなに恥ずかしくはないけど。
「以前教えた神速歩法、見せてもらえますか」
駐車場の砂利道をさっさと慣らしながら、さて修行開始……なんだけど、さっき思い切りぶつけた左の足の小指がめっちゃ痛え。けど我慢!
まずは3メートル、次は5メートルと、距離を徐々に遠くしながら……と。やべえ、痛みがだんだんひどくなってきた。けどコタローには悟られたくないし。
「今夜はこれまでにしましょう」ってあいつは半ば諦めたかのように俺にあっさりと。
「ちょっと待てって。まだ全然時間経ってねーし!」
いえ、そうじゃなくて。とあいつは俺の前でしゃがんで……そう。
「やっぱり。すごい小指が腫れてる」
俺も恐る恐る見てみると小指がヤバいほど真っ赤……を通り越してなんか青くなってた。
いくらケガの回復が早いとはいえ、痛いものは痛いんだよな……
「ちょっとみせてください」ってコタローが俺の足を手に取ろうとした。
いやちょっとやめろタイム! 痛いけど大したことないから!
「血がにじんでる……爪がちょっと割れちゃってますね……いま手当てしますから」
「だだ大丈夫、そんなことくらい自分でやれるし!」
「僕も修行や稽古の時はいろいろケガが絶えないんです、包帯とか絆創膏はカバンに常備してるんですよ」
「いや、そうじゃなくって」
「大丈夫ですよ、動かないでくださいね」
「ちょ、コタロー……」
コタローは俺の足を自分の膝に乗せ、細く切った包帯を器用に、くるくると俺の足の小指に巻いてくれた。
おまえ……なんでこんなに優しく手当してくれるんだよ。
今の俺の足はヤバいくらい汗臭くなっちゃってるのに。
だからこんなこと、ひとりでやれるってのに。
「あ、ありがとう……つーか俺の足、すげえ臭かったろ?」
「ええ、かなり……けど臭いからって理由で手当しないのは友達として失礼です」ってコタローは笑顔で答えてくれたんだ。
ふと、涙がいきなりポロポロあふれ出てきちゃった。
なんなんだよ俺、別に悲しいとかそーゆーんじゃないのに! けど……
「ごめん、コタロー……」その言葉だけで精一杯だった。とにかく、そう。謝りたかった。
「さっきは……ごめん、変なこと言っちゃって」
小指が痛いより、申し訳なさで胸がいっぱいになった。
こんな俺なのに、コタローはすぐに手当してくれて。
「お前に牙を剥くだなんて、コタローにそんなことを」
「大丈夫ですって、ジンあんなこといっぱい言われちゃったら、例え僕だって胸が辛くなります」
ギュッと、あいつは俺を抱きしめてくれた。
やめてよ、服が涙と鼻水で汚れちゃう。でも……今はコタローの優しさに頼るので精一杯だった。
⭐︎⭐︎⭐︎
「あれから僕なりに調べてたんです。タケルの過去の記録見ながら」
とにかく顔を洗わなきゃって洗面器に顔を突っ込んでる時にそんなこと言ったんだ。結構タブレット使いこなせられるようになってきてるし。
「タケルはワーウルフ化の能力に覚醒して以来、人間の時にも五感が人並み以上になりました。それと回復する力も。それは分かりますよね?」
もちろん。嗅覚とか聴覚とかね。あとコンビニ強盗に頭ぶん殴られても全然平気だったし、頑丈さもアップしてるみたい。
「それなんですけれど、タケル……先ほどケガした小指、どうなってますか?」
どーなってって……確かにコタローが手当してくれたのはイイんだけど、相変わらず腫れも引かずに痛いまんまだ。
それを聞いて「やっぱり」と。あいつ真剣な顔でうなづいた。なんなんだいったい?
「タケルは、相手から受けた攻撃や傷に関しては、それこそ驚異的な回復をみせるんですが……自分の過失で被ってしまったケガにはあまり効果を出さないんです」