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ー/ージンの飼い主のおばちゃんが、いつもお世話になってるからってくれたそうめんを茹でながら、俺はあいつの言葉を思い出していた。
「俺、人間なのかオオカミなのかどっちなんだろう」
そういやジンって何故ワーウルフになれるんだかってのも聞いていなかった。追放された意味も。
ますます悩みは増えるばかりだ。
「タケル、お鍋吹いてますよ」
言われて大急ぎでコンロの火を切る。ヤバかった。
「大丈夫ですか、ずーっと上の空みたいで」
うん、と言おうとしたけど気が抜けちゃって「んあ」ってコタローに返しちゃった。あいつもかなり気にしてるみたいだ。
「月並みな答えかもしれないですが、タケルがオオカミであろうと人間であろうと、僕は味方です」
「もしお前に牙を剥いたとしても?」
「え……」なに言ってるんだ俺。即座にごめんって謝ったけど。
そうだ、まだコタローには話してなかったんだっけ。
「俺さ、3年前の記憶がないんだ……周りの人は自動車事故で奇跡的に俺だけ生きてたんだとは言われてて。その時に両親は死んだんだけど」
「辛いなら、言わなくてもいいですよ」
アイツは止めようとしたけど、それはダメだ。俺のありのままを今ここで、全部話しとかなきゃって。
「けど、どーやっても思い出せないんだよね。遺影とか見ても、この人が俺の両親? って妙な気持ちはいまだに抜けないし」
「でも、タケルにはお姉さんがいるじゃないですか」
ああ、そこも問題なんだよね。
「親戚とかもいなくてさ、施設に行くかどうかって学校で話し合ってた時に、突然役所から姉貴が引き取るって話になって」
姉貴とはいっても、それは俺が勝手にそう付けただけであって。
親父の以前の子供だって話はしているんだけど、そもそもうちの母さんは再婚だったの? ってとこからしてなんかおかしいんだ。再婚とかじゃない。けど記憶がすげえあいまいで。
けど姉貴はすごく優しい。
そう、3年前に初めて出会った時からそれは変わらなかった。
一緒に暮らそうね。って俺を抱きしめてくれた時には涙が止まらなかったもん。それに転校しなくてもいいように近くのアパートにしてくれて……って、俺は今までどこに住んでたんだろう?
姉貴は家事は壊滅的にダメだし仕事が忙しくて、今日みたく家に帰れないって日も結構ある。でもそれは俺が頑張ってカバーをしてる。
「だからタケルは家事が得意なんですね」
まあね。必然的に身についたスキルなんだけど。でも家庭科の調理実習の授業なんかじゃみんな俺に聞きに来るほどだし。しかしそれと体育以外の成績は全然ダメなんだけど。
「新しい思い出を作ればいいだけじゃないですか」なあんてコタローは優しく返してくれるけど、今回のジンの言葉がよけい胸の奥に突き刺さってくるんだ。
ー俺、本当は人間じゃなくてオオカミなのでは?ー
ってね。
「タケル、食事終わったら僕と修行しませんか?」
え、なんだよいきなり。まあとにかく茹で上がったそうめんを氷水で冷やして刻んだネギと……ってまだ汁作ってなかったあ! ってどわぁぁあ! 慌てて食器棚の角に思いっきり足の小指ぶつけたけどガマン!
コタローに心配されるのも苦手なんで胸の内で悲鳴をあげた。くっそ痛え……
「俺、人間なのかオオカミなのかどっちなんだろう」
そういやジンって何故ワーウルフになれるんだかってのも聞いていなかった。追放された意味も。
ますます悩みは増えるばかりだ。
「タケル、お鍋吹いてますよ」
言われて大急ぎでコンロの火を切る。ヤバかった。
「大丈夫ですか、ずーっと上の空みたいで」
うん、と言おうとしたけど気が抜けちゃって「んあ」ってコタローに返しちゃった。あいつもかなり気にしてるみたいだ。
「月並みな答えかもしれないですが、タケルがオオカミであろうと人間であろうと、僕は味方です」
「もしお前に牙を剥いたとしても?」
「え……」なに言ってるんだ俺。即座にごめんって謝ったけど。
そうだ、まだコタローには話してなかったんだっけ。
「俺さ、3年前の記憶がないんだ……周りの人は自動車事故で奇跡的に俺だけ生きてたんだとは言われてて。その時に両親は死んだんだけど」
「辛いなら、言わなくてもいいですよ」
アイツは止めようとしたけど、それはダメだ。俺のありのままを今ここで、全部話しとかなきゃって。
「けど、どーやっても思い出せないんだよね。遺影とか見ても、この人が俺の両親? って妙な気持ちはいまだに抜けないし」
「でも、タケルにはお姉さんがいるじゃないですか」
ああ、そこも問題なんだよね。
「親戚とかもいなくてさ、施設に行くかどうかって学校で話し合ってた時に、突然役所から姉貴が引き取るって話になって」
姉貴とはいっても、それは俺が勝手にそう付けただけであって。
親父の以前の子供だって話はしているんだけど、そもそもうちの母さんは再婚だったの? ってとこからしてなんかおかしいんだ。再婚とかじゃない。けど記憶がすげえあいまいで。
けど姉貴はすごく優しい。
そう、3年前に初めて出会った時からそれは変わらなかった。
一緒に暮らそうね。って俺を抱きしめてくれた時には涙が止まらなかったもん。それに転校しなくてもいいように近くのアパートにしてくれて……って、俺は今までどこに住んでたんだろう?
姉貴は家事は壊滅的にダメだし仕事が忙しくて、今日みたく家に帰れないって日も結構ある。でもそれは俺が頑張ってカバーをしてる。
「だからタケルは家事が得意なんですね」
まあね。必然的に身についたスキルなんだけど。でも家庭科の調理実習の授業なんかじゃみんな俺に聞きに来るほどだし。しかしそれと体育以外の成績は全然ダメなんだけど。
「新しい思い出を作ればいいだけじゃないですか」なあんてコタローは優しく返してくれるけど、今回のジンの言葉がよけい胸の奥に突き刺さってくるんだ。
ー俺、本当は人間じゃなくてオオカミなのでは?ー
ってね。
「タケル、食事終わったら僕と修行しませんか?」
え、なんだよいきなり。まあとにかく茹で上がったそうめんを氷水で冷やして刻んだネギと……ってまだ汁作ってなかったあ! ってどわぁぁあ! 慌てて食器棚の角に思いっきり足の小指ぶつけたけどガマン!
コタローに心配されるのも苦手なんで胸の内で悲鳴をあげた。くっそ痛え……
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