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歓迎と書写~一文字の扉がひらくとき~

ー/ー



 「はぁぁ・・・っ、"。"の場所間違えてる・・・・・」
 五年生の陽斗はため息をついた。


作文・日記は苦手。ノートの文字はまばらで、書いているのに、自分の文字が、読めないこともある。
 「なんで僕は書くのが苦手なんだろう?」
そんな素朴なギモンの気持ちで、ノートの余白を無意識に綴っていた。




 ある日の国語の時間、先生が一枚の紙を配った。そこには、短い物語が印刷されていた。


 「今日はこの話を書き写してみましょう」
書き写しなんて、意味ある? 面倒くさい、と思っていた。周りのクラスメイトは集中して書き始めていた。


鉛筆の、"トントントン・トトトトット"という、音は、輪唱のように教室一杯に響き渡っていた。


 仕方ない気持ちで書き写しを始めると、いろいろ発見した。
"、"は気持ちが変わるところで、"。"考えがまとまった合図。
ただの記号だと思っていた陽斗は、その句読点が言葉の呼吸に感じていた。


週に一話書き写し。ゆっくり、ていねいにを意識を向ける。陽斗の文字は整うようになってきた。


 「読みやすくなったね」
見回りしていた先生が陽斗にささやいた。心にしみた。他人の目からも、変化が、分かることに、自信の芽が生まれたのだった。


家でも、前回の話をもう一度書写を繰り返した。
うれしかったこと、の作文を書いて、母が言った。
 「、や。の位置、いいね。見やすいから読みやすい、文字も知らないうちに整っているわね」


その一言は、陽斗の心を照らしていた。


 書くことはまだ、ちょっぴり苦手。でも、「できない」が「できるかも」に変わった。


今日も陽斗は物語の世界に入っていく。
一文字ずつ、自分の中に扉をひらきながら・・・・・








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 「はぁぁ・・・っ、"。"の場所間違えてる・・・・・」
 五年生の陽斗はため息をついた。
作文・日記は苦手。ノートの文字はまばらで、書いているのに、自分の文字が、読めないこともある。
 「なんで僕は書くのが苦手なんだろう?」
そんな素朴なギモンの気持ちで、ノートの余白を無意識に綴っていた。
 ある日の国語の時間、先生が一枚の紙を配った。そこには、短い物語が印刷されていた。
 「今日はこの話を書き写してみましょう」
書き写しなんて、意味ある? 面倒くさい、と思っていた。周りのクラスメイトは集中して書き始めていた。
鉛筆の、"トントントン・トトトトット"という、音は、輪唱のように教室一杯に響き渡っていた。
 仕方ない気持ちで書き写しを始めると、いろいろ発見した。
"、"は気持ちが変わるところで、"。"考えがまとまった合図。
ただの記号だと思っていた陽斗は、その句読点が言葉の呼吸に感じていた。
週に一話書き写し。ゆっくり、ていねいにを意識を向ける。陽斗の文字は整うようになってきた。
 「読みやすくなったね」
見回りしていた先生が陽斗にささやいた。心にしみた。他人の目からも、変化が、分かることに、自信の芽が生まれたのだった。
家でも、前回の話をもう一度書写を繰り返した。
うれしかったこと、の作文を書いて、母が言った。
 「、や。の位置、いいね。見やすいから読みやすい、文字も知らないうちに整っているわね」
その一言は、陽斗の心を照らしていた。
 書くことはまだ、ちょっぴり苦手。でも、「できない」が「できるかも」に変わった。
今日も陽斗は物語の世界に入っていく。
一文字ずつ、自分の中に扉をひらきながら・・・・・