ああ、今日も食べすぎてしまった。
私は満腹になり、膨れあがったお腹をさすった。
私の妻は美人でしかも料理が上手い。
なのでついつい食べ過ぎてしまう。
そんな生活を送っていると会社の健康診断にひっかかってしまった。
私は生活習慣の改善に取り組むために医師の指導を受けることにした。
「いやあ、妻の料理が上手いものでついつい食べすぎてしまうのですよね」
私は目の前の医師に言った。
「なにをおっしゃっているのですか。あなたの奥さんは三年前になくなっているではないですか……」
医師は言った。
「はははっ、先生馬鹿なことをいってはいけませんよ。私の家で妻はピンピンしてますよ」
私は悪い冗談を言う医師にそう言った。
「高橋さん、そろそろ現実を受け止められたらどうですか? よろしければカウンセリングの先生を紹介しましょうか?」
まだ医師はしつこく言う。
まったく話にならない。
私は医師の言うことを聞き流し、病院をあとにする。
帰宅途中、急に胸が苦しくなり、近くの公園のベンチで休んだ。
「あら、あなた帰りが遅いから迎えに来ましたよ」
それは我が妻の声だった。
妻は私に優しく声をかける。
肩に手をあて、妻は私を優しく抱きしめる。
久しぶりに妻とこうしたような気がする。
「さあ、あなた帰りましょう。晩ごはんはあなたの好きな唐揚げを作ったのですよ」
妻は私にそう言った。
「健康診断でひっかかったんだよな……」
高血圧で血糖値が高い。心筋梗塞や脳溢血なんかが怖い。
「うふふっ、もうあなたはそういうのは気にしなくていいのですよ」
妻は綺麗な笑みを浮かべた。
愛する妻がそういうなら、まあいいか。
私は妻の手料理を思い浮かべながら、帰路についた。