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第16話 軌道エレベータの攻防

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 不本意ながらプラムをチームに再び加えた俺たちは、息つく暇もなく、巨大な塔の入り口へと向かった。
 内部は、空港のターミナルのように広大だった。だが、その静寂を破るように、警報と共に無数の戦闘ドローンが姿を現した! 犬型や、電磁リフトファンで浮遊する球状のドローンが、通路の奥から波のように押し寄せてくる!

「くそっ! やはり待ち伏せか!」ガシュレーが叫ぶ。
「隊長、ここは俺たちに任せて先に進んでください! 奴らを食い止めます!」
「そうです! 早くメンテナンス用エレベータに向かってください!」
 ガシュレーの部下であるライカーとソーニャが、ドローンの群れとの間に立ちはだかった。

「こっちよ、ザッキー!」プラムが叫ぶ。彼女のガイドで俺たちはドローンの攻撃を掻い潜り、メンテナンス用エレベータへと走った。
 エレベータを待つ間もドローンは執拗に襲いかかってくる。だが、ジン、イリス、そしてガシュレーの三人が、的確な射撃でそれらを次々と撃ち落としていく。
「早くエレベータに入れ!」ジンは最後まで俺たちを庇うようにドローンを迎撃し、最後に自身もエレベータに飛び込んだ。

 上昇を始めたエレベータの中で、ガシュレーが悔しそうに呟いた。
「やはり、待ち伏せられていたか」
「そうだな。くそっ!」俺は悪態をついた。
「ザック、焦っても今は何もできないわ」イリスが、俺の肩にそっと手を置いた。「乗り換え地点まで、まだ40分以上ある。今は体を休めましょう」
 彼女はそう言うと、壁を背に座り込んだ。
「……取り乱してすまない。俺も少し休む」俺は壁を背に座り、目を閉じた。

 やがてエレベータが終点に着く。俺たちは待ち伏せを警戒し、扉が開くタイミングで銃を構えていたが、そこには誰もいなかった。静かな乗り換え用のステーションだ。
「で? どっちなんだ?」俺がプラムに聞くと、
「さぁ? 最初のエレベータでローウェルの野郎が裏切って私を撃ってきたから、私が知ってるルートはもう終わりよ」
 その言葉に、俺たちは呆れるしかなかった。ガシュレーが、プラムの顎に銃口を突きつける。
「仕方がない。土壇場で裏切られてはたまらん。ここで殺しておこう」

「……もう裏切らないから、許して……」プラムは大げさに泣き出した。
「ただ連れてってもらいたかっただけなの……ローウェルに一泡吹かせたくて……」

 その、茶番とも言えるやり取りを見て、俺は呆れていた。だが、ふと、背後にぞわりとした嫌な予感が走り、叫んだ。
「伏せろ!」
 俺はイリスを庇うように、横っ飛びに飛んで、彼女に重なるように倒れた。
 ──タンッ!
 俺たちが先ほどまで立っていた場所を、銃弾が通り過ぎる。

「……ふん、ずいぶんと勘のいい奴がいるもんだ……」
 闇の中から、ねっとりとした声が響いた。
「その声は! ブラックアウトか?!」ジンが叫ぶ。
「ジン? そうか、貴様も居るのか。あんまり小さくて気づかなかったよ。以前はその女(イリス)ともども、煮え湯を飲まされたからな。ちょうどいい、ここを貴様らの墓場にしてやるよ」
 俺は声の方向を見たが、そこは通路の照明が完全に落ちており、まるで底なしの深淵のように、ただ純粋な暗闇が広がっているだけだった。自分たちの荒い息遣いと、金属の床に響く足音だけがやけに大きく聞こえる。ひやりとした、湿った空気が肌を撫でた。
「どうなってるんだ?」
 ジンが、俺の疑問に答える。
「奴はブラックアウト。原理は知らないが、EMP能力を持っていてね。奴の周りの電子機器は誤動作するから、こんな通路では厄介な相手だよ。奴は俺が相手をする」
「とはいっても、どうする? 奴の来た方向が、エレベータのある場所だろう?」
 俺の嘆きに、ガシュレーが答えた。
「お前とエイダを守るのが、今の俺達の第一目標だ。俺が盾になるから、後ろからついて来い」
「分かった」俺は頷く。
「いくぞ!」ガシュレーが叫んだ。

 ガシュレー、俺、イリス、プラムの順に走る。ジンは後ろから援護射撃をする。
 黒い空間に足を踏み入れた時、先頭を走っていたガシュレーが、突然体勢を崩して転んだ!
「あーはっはっは、お前、その足、サイボーグだろう? 馬鹿か、ジンの話を聞いてなかったのか?」
 ブラックアウトが闇の中から現れ、ガシュレーの足にナイフを突き立てた。彼の義足がEMPで一時的に機能不全に陥ったのだ!
「馬鹿は……お前だ!!!」
 ジンの怒りに満ちた叫びと共に、その小柄な身体からは想像もつかないほどの速度でブラックアウトに肉薄し、渾身の力を込めた拳をその顔面に叩き込んだ! 衝撃で周囲の空気が震えるのが分かる。

 ブラックアウトは、くの字に折れ曲がりながら、まるで砲弾のように20メートルほど吹っ飛び、通路の奥の壁に激しく叩きつけられて、ぐったりと動かなくなった。
「今のうちに、急ごう」
 ジンが言うと、俺とプラムがガシュレーの肩を担ぎ、次のメンテナンス用エレベータまで進んだ。
 次のエレベータが、到着した時だった。

「ジン! てめぇ、よくもやってくれたな!」
 ブラックアウトの叫びが、通路の奥から聞こえる。
「まずい! 奴が来ればエレベータを止められる。俺が囮になるから、みんなは先に行ってくれ!」ジンは、俺たちをエレベータに押し込んだ。
「ジンくん! 無茶はしないでね!」イリスが叫ぶ。
「イリス姉ぇこそ!」
 ジンはそう言うと、ブラックアウトの声がした方に向かい、走り去っていった。
「俺もここまでだ。この足では足手まといにしかならない。置いていけ」
 ガシュレーもまた、エレベーターの壁に寄りかかりながら、悔しそうに、しかしきっぱりと言った。その額には、痛みと無念の汗が滲んでいる。

「分かった」俺は短く頷いた。「帰りに必ず拾ってやる」 イリスも、唇を噛み締め、何も言えずに頷いている。
「ああ、頼む」ガシュレーは、力なく笑って見せた。

 エレベーターのドアが、俺たちの間に壁を作るように、無情に閉まる。俺とイリスとプラム、そしてリュックの中のエイダを乗せて、エレベーターは静かに、そして重々しく上昇を始めた。


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 不本意ながらプラムをチームに再び加えた俺たちは、息つく暇もなく、巨大な塔の入り口へと向かった。
 内部は、空港のターミナルのように広大だった。だが、その静寂を破るように、警報と共に無数の戦闘ドローンが姿を現した! 犬型や、電磁リフトファンで浮遊する球状のドローンが、通路の奥から波のように押し寄せてくる!
「くそっ! やはり待ち伏せか!」ガシュレーが叫ぶ。
「隊長、ここは俺たちに任せて先に進んでください! 奴らを食い止めます!」
「そうです! 早くメンテナンス用エレベータに向かってください!」
 ガシュレーの部下であるライカーとソーニャが、ドローンの群れとの間に立ちはだかった。
「こっちよ、ザッキー!」プラムが叫ぶ。彼女のガイドで俺たちはドローンの攻撃を掻い潜り、メンテナンス用エレベータへと走った。
 エレベータを待つ間もドローンは執拗に襲いかかってくる。だが、ジン、イリス、そしてガシュレーの三人が、的確な射撃でそれらを次々と撃ち落としていく。
「早くエレベータに入れ!」ジンは最後まで俺たちを庇うようにドローンを迎撃し、最後に自身もエレベータに飛び込んだ。
 上昇を始めたエレベータの中で、ガシュレーが悔しそうに呟いた。
「やはり、待ち伏せられていたか」
「そうだな。くそっ!」俺は悪態をついた。
「ザック、焦っても今は何もできないわ」イリスが、俺の肩にそっと手を置いた。「乗り換え地点まで、まだ40分以上ある。今は体を休めましょう」
 彼女はそう言うと、壁を背に座り込んだ。
「……取り乱してすまない。俺も少し休む」俺は壁を背に座り、目を閉じた。
 やがてエレベータが終点に着く。俺たちは待ち伏せを警戒し、扉が開くタイミングで銃を構えていたが、そこには誰もいなかった。静かな乗り換え用のステーションだ。
「で? どっちなんだ?」俺がプラムに聞くと、
「さぁ? 最初のエレベータでローウェルの野郎が裏切って私を撃ってきたから、私が知ってるルートはもう終わりよ」
 その言葉に、俺たちは呆れるしかなかった。ガシュレーが、プラムの顎に銃口を突きつける。
「仕方がない。土壇場で裏切られてはたまらん。ここで殺しておこう」
「……もう裏切らないから、許して……」プラムは大げさに泣き出した。
「ただ連れてってもらいたかっただけなの……ローウェルに一泡吹かせたくて……」
 その、茶番とも言えるやり取りを見て、俺は呆れていた。だが、ふと、背後にぞわりとした嫌な予感が走り、叫んだ。
「伏せろ!」
 俺はイリスを庇うように、横っ飛びに飛んで、彼女に重なるように倒れた。
 ──タンッ!
 俺たちが先ほどまで立っていた場所を、銃弾が通り過ぎる。
「……ふん、ずいぶんと勘のいい奴がいるもんだ……」
 闇の中から、ねっとりとした声が響いた。
「その声は! ブラックアウトか?!」ジンが叫ぶ。
「ジン? そうか、貴様も居るのか。あんまり小さくて気づかなかったよ。以前はその女(イリス)ともども、煮え湯を飲まされたからな。ちょうどいい、ここを貴様らの墓場にしてやるよ」
 俺は声の方向を見たが、そこは通路の照明が完全に落ちており、まるで底なしの深淵のように、ただ純粋な暗闇が広がっているだけだった。自分たちの荒い息遣いと、金属の床に響く足音だけがやけに大きく聞こえる。ひやりとした、湿った空気が肌を撫でた。
「どうなってるんだ?」
 ジンが、俺の疑問に答える。
「奴はブラックアウト。原理は知らないが、EMP能力を持っていてね。奴の周りの電子機器は誤動作するから、こんな通路では厄介な相手だよ。奴は俺が相手をする」
「とはいっても、どうする? 奴の来た方向が、エレベータのある場所だろう?」
 俺の嘆きに、ガシュレーが答えた。
「お前とエイダを守るのが、今の俺達の第一目標だ。俺が盾になるから、後ろからついて来い」
「分かった」俺は頷く。
「いくぞ!」ガシュレーが叫んだ。
 ガシュレー、俺、イリス、プラムの順に走る。ジンは後ろから援護射撃をする。
 黒い空間に足を踏み入れた時、先頭を走っていたガシュレーが、突然体勢を崩して転んだ!
「あーはっはっは、お前、その足、サイボーグだろう? 馬鹿か、ジンの話を聞いてなかったのか?」
 ブラックアウトが闇の中から現れ、ガシュレーの足にナイフを突き立てた。彼の義足がEMPで一時的に機能不全に陥ったのだ!
「馬鹿は……お前だ!!!」
 ジンの怒りに満ちた叫びと共に、その小柄な身体からは想像もつかないほどの速度でブラックアウトに肉薄し、渾身の力を込めた拳をその顔面に叩き込んだ! 衝撃で周囲の空気が震えるのが分かる。
 ブラックアウトは、くの字に折れ曲がりながら、まるで砲弾のように20メートルほど吹っ飛び、通路の奥の壁に激しく叩きつけられて、ぐったりと動かなくなった。
「今のうちに、急ごう」
 ジンが言うと、俺とプラムがガシュレーの肩を担ぎ、次のメンテナンス用エレベータまで進んだ。
 次のエレベータが、到着した時だった。
「ジン! てめぇ、よくもやってくれたな!」
 ブラックアウトの叫びが、通路の奥から聞こえる。
「まずい! 奴が来ればエレベータを止められる。俺が囮になるから、みんなは先に行ってくれ!」ジンは、俺たちをエレベータに押し込んだ。
「ジンくん! 無茶はしないでね!」イリスが叫ぶ。
「イリス姉ぇこそ!」
 ジンはそう言うと、ブラックアウトの声がした方に向かい、走り去っていった。
「俺もここまでだ。この足では足手まといにしかならない。置いていけ」
 ガシュレーもまた、エレベーターの壁に寄りかかりながら、悔しそうに、しかしきっぱりと言った。その額には、痛みと無念の汗が滲んでいる。
「分かった」俺は短く頷いた。「帰りに必ず拾ってやる」 イリスも、唇を噛み締め、何も言えずに頷いている。
「ああ、頼む」ガシュレーは、力なく笑って見せた。
 エレベーターのドアが、俺たちの間に壁を作るように、無情に閉まる。俺とイリスとプラム、そしてリュックの中のエイダを乗せて、エレベーターは静かに、そして重々しく上昇を始めた。