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灰吹から蛇が出るⅦ Out of the blue comes green.

ー/ー




「シェフ、アニョーってなんですか」

 ナイス紅緒。亘以外みんな知りたいと思ってるぞ。

「失礼、アニョーは子羊のことです。今日は良いフランス産のアニョーが手に入ったので」

 うぇ〜、女性には営業スマイルで応えるんだ。
 亘の変なツッコミのせいで、とあいつを見たらオレを見て笑ってやがる。

「崇直はラム肉、好物だったよね」

()()()()()()のラムチョップね」

 このやろう、覚えとけよ。

「ここだけの話なんですが」

 え? 何だシェフどうした。

 頬に手を当て内緒話のようにオレの横で話しかけてきたから、自然とみんな前かがみになって聞き耳をたてた。
 
「いつもはニュージーランド産のラムなんですよ、実は」

 おいおい、何だか密談っぽくなってきたぞ、イイのかこれで。

「フレンチビストロなのに、ね」

と、ここで意味有りげに微笑む。
 
「でもクセがなくて、その上いい肉なんですよこれが。しかも安い」

 ですよねー。オセアニア万歳ッス。

「大事なのは食材を上手く調理することですか」

 と合わせるように、紅緒も頬に手を当てシェフに言う。

「そうです、そうです」

 腕で勝負よね、とでも言うように紅緒が腕を見せた。
 それにシェフが大きく頷く。
 わぁ、それキラースマイルだ。紅緒じゃなきゃ惚れちゃうところだゾ。
 
「ナイショですが、豚は千葉県産なんですよ」

 そうなんだ、と全員がこれには静かに驚いた。
 国産豚、最高ッス。

「では、デザートをお持ちしますね」

 今度は爽やかな笑顔で、あなたモテるっしょ、いろいろ。

「川崎さん、あ、シェフね」

 と田中がシェフが去った方に目線を投げ話しだした。

「W大の法科出てるんだよ。俺らと同じように現役合格したくせに、司法修習生蹴って調理師学校へ行ったんだ 」

 それまた急な方向転換で。
 司法修習生より調理師免許って、すげーなぁ。自由度高過ぎじゃね。

「料理好きが高じたとかじゃないんだよね、理由が」

「W大って、べーの先輩じゃん」

「あたしは法科じゃないよ、わーちゃん」

「知ってる。文転したんだって?」

「うん。第一文学部。来年は日本語の先生だよ〜」

 爬虫類の話は尽きないくせに肝心な情報はからっきしだな。
 二人で小一時間、何してたんだ。

「変わった人だろ」

 あ? シェフ?

「うん」

「良い顔してたからね。あの笑顔は良いわぁ」
 
 おお、言うねぇ紅緒くん。
 他の男も眼中に入るようになったってことか。

「お客様は神様なんて言われてるけど、本来は対等なんだよ」

 亘くん、対等(フェアー)精神、好きだよな。
 そんなこと言って、うかうかしてると鳶に持っていかれっぞ。

「デザートのイル・フロッタント塩キャラメルソースとラベンダー香るクレームブリュレでございます」

 紅緒と田中がイルフロッタント(メレンゲのデザート)、オレと亘がクレームブリュレを選んだ。

「わーちゃん、それ一口ちょうだい。あたしのも取っていいよ〜」

 もう食べる気でスプーンを伸ばしながら、自分の皿を亘の方へ差し出す。

「べー、サンキュー」

 あーあ、爬虫類で仲戻っちまったよ。
 お互いシェアしながら、仲良くまー腹の立つ。
 くそう、田中のヘタレが。ヘビくらい掴めよ、男のくせによぉ。

「笠神、俺の一口食ってもいいぞ」

「要らんわ」

 直樹よ、お前の親友はお前の親友だったよ。
 天を見上げたら、ベロを出した直樹にからかわれている様な気がした。




みんなのリアクション


「シェフ、アニョーってなんですか」
 ナイス紅緒。亘以外みんな知りたいと思ってるぞ。
「失礼、アニョーは子羊のことです。今日は良いフランス産のアニョーが手に入ったので」
 うぇ〜、女性には営業スマイルで応えるんだ。
 亘の変なツッコミのせいで、とあいつを見たらオレを見て笑ってやがる。
「崇直はラム肉、好物だったよね」
「|オ《・》|セ《・》|ア《・》|ニ《・》|ア《・》|産《・》のラムチョップね」
 このやろう、覚えとけよ。
「ここだけの話なんですが」
 え? 何だシェフどうした。
 頬に手を当て内緒話のようにオレの横で話しかけてきたから、自然とみんな前かがみになって聞き耳をたてた。
「いつもはニュージーランド産のラムなんですよ、実は」
 おいおい、何だか密談っぽくなってきたぞ、イイのかこれで。
「フレンチビストロなのに、ね」
と、ここで意味有りげに微笑む。
「でもクセがなくて、その上いい肉なんですよこれが。しかも安い」
 ですよねー。オセアニア万歳ッス。
「大事なのは食材を上手く調理することですか」
 と合わせるように、紅緒も頬に手を当てシェフに言う。
「そうです、そうです」
 腕で勝負よね、とでも言うように紅緒が腕を見せた。
 それにシェフが大きく頷く。
 わぁ、それキラースマイルだ。紅緒じゃなきゃ惚れちゃうところだゾ。
「ナイショですが、豚は千葉県産なんですよ」
 そうなんだ、と全員がこれには静かに驚いた。
 国産豚、最高ッス。
「では、デザートをお持ちしますね」
 今度は爽やかな笑顔で、あなたモテるっしょ、いろいろ。
「川崎さん、あ、シェフね」
 と田中がシェフが去った方に目線を投げ話しだした。
「W大の法科出てるんだよ。俺らと同じように現役合格したくせに、司法修習生蹴って調理師学校へ行ったんだ 」
 それまた急な方向転換で。
 司法修習生より調理師免許って、すげーなぁ。自由度高過ぎじゃね。
「料理好きが高じたとかじゃないんだよね、理由が」
「W大って、べーの先輩じゃん」
「あたしは法科じゃないよ、わーちゃん」
「知ってる。文転したんだって?」
「うん。第一文学部。来年は日本語の先生だよ〜」
 爬虫類の話は尽きないくせに肝心な情報はからっきしだな。
 二人で小一時間、何してたんだ。
「変わった人だろ」
 あ? シェフ?
「うん」
「良い顔してたからね。あの笑顔は良いわぁ」
 おお、言うねぇ紅緒くん。
 他の男も眼中に入るようになったってことか。
「お客様は神様なんて言われてるけど、本来は対等なんだよ」
 亘くん、|対等《フェアー》精神、好きだよな。
 そんなこと言って、うかうかしてると鳶に持っていかれっぞ。
「デザートのイル・フロッタント塩キャラメルソースとラベンダー香るクレームブリュレでございます」
 紅緒と田中がイルフロッタント(メレンゲのデザート)、オレと亘がクレームブリュレを選んだ。
「わーちゃん、それ一口ちょうだい。あたしのも取っていいよ〜」
 もう食べる気でスプーンを伸ばしながら、自分の皿を亘の方へ差し出す。
「べー、サンキュー」
 あーあ、爬虫類で仲戻っちまったよ。
 お互いシェアしながら、仲良くまー腹の立つ。
 くそう、田中のヘタレが。ヘビくらい掴めよ、男のくせによぉ。
「笠神、俺の一口食ってもいいぞ」
「要らんわ」
 直樹よ、お前の親友はお前の親友だったよ。
 天を見上げたら、ベロを出した直樹にからかわれている様な気がした。