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第十話 復讐

ー/ー



 突然広場で、男が炎を纏った龍へと変貌した。
「サラマンダー…」
 ルカが瞳に憎悪の炎を灯し、サラマンダーを睨みつける。
 私たちに向けられた刺客はどうやら一人だけではなかったらしい。
「キャアアァァァ!!!!」
「怪物だ!討伐者に通報を!!」
「だすげてぇ〜!」
 怯えて逃げるもの、冷静に討伐者本部へと通報するもの、炎に焼かれ悶え苦しむもの。
 様々な人が入り混じり、逃げ惑う。
「不味い…」
 私は避難を助けるか、原因となっていたサラマンダーを倒すかの二択を迷った。
 サラマンダーがこちらを見る。
「お主、あの時逃げ仰せたという妖精族(エルフ)か?」
 ルカが横で震えている。
「お主にまだ追っ手がかかっていないのはお主の兄が俺が殺す!と言って聞かんから揉めている」
「ちょうど良い、我が組織の情報を知ってしまった二人に死を与えよう」
 私はさっき奪った説明書を見る。
 神獣部隊は…
神獣部隊








爪 

という階級に分かれていて、サラマンダーは尾に属しているらしい。
 一番弱い、ということか。
 尾のサラマンダーの中で一番強い、リーダーが私たちの目の前にいるコイツ、という事だろう。
 兵長クラス、とルカは話していた。
 さっきの男の何倍も強い…!
 私は残存魔力量を確認した。
 零⁉︎
 なぜ動けていた、というか生きていたかが不思議だ。
 魔力がなくなると普通は死ぬのに。
『ハァ…創造神からの贈呈(ギフト):魔力により、個体名:ルナ・ムーンライトは魔法を行使することが可能となり、生存も可能としていました』
 若干呆れが含まれているような神声を聞き、私はびっくりした。
 創造神が私に魔力を送ってくれてた⁉︎
 中級魔法は魔力を100消費するため、頻繁には打つことができない。
 私はルカにも魔力を送っていたため、零になったのだろう。
 ルカは魔力が少なすぎたのだ。
 ルカが回避に使った魔法でも、私の魔力を消費した。
 私はとりあえずサラマンダーを無視し、近くにあった薬屋にお金を置くと、魔力回復薬(マジックパワーリカバリーポーション)を私の魔力がマックスになるまで飲んだ。
 サラマンダーはそんなことお構いなしに、吐息(ブレス)を放つ準備をしている。
 ルカが必死に氷の能力を使い、それを阻止しているものの、時間の問題だ。
 私はルカのところへと戻る。
「ルカ、無理はしないで。時間を稼ごう」
 時間を稼げば、討伐者が来てくれる…!
 そう思い、時間が稼ぐことを目標にした。
「我が名はルース。主神スキルは[炎纏龍(サラマンダー)]。階級は神獣部隊〈尾〉サラマンダーの主席だ」
「私はルナ・ムーンライト。こっちはルカ」
 お互い名乗りを終え、決戦の火蓋が切って落とされる…‼︎
 まずは相手の弱点である、水で!
「水魔法中級[水車(ウォーターローター)]!」
 回転型の水の斬撃を複数繰り出す。
「ぬ…!中級魔法が使えるだと?」
「主神スキル[雪女(ユキオンナ)]発動![雪塊(スノーブロック)]」
 サラマンダーの頭上はるか五十メートルほどの距離に、サラマンダーの倍ほどの氷の塊が落ちてきた。
「ぬ…!なかなかにやるようだ。まああの下っ端悪魔がやられるのも無理がないのぅ」
 そう言い、サラマンダーは纏う炎の出力を上げた。
「ぬん!」
 一瞬で氷塊は溶けていく。
 でも、それで良い。
 水がサラマンダーを直撃した時、私たちは同時に二人合わせて一番強い攻撃を放った。
「地魔法中級[土槍(クレイスピア)・改]!」
 まず普通に槍を飛ばすのではなく下から生やすことで相手の動きを固定。
 そのせいで魔法は下級から中級に上がるが。
 ついでに二本普通の土槍を飛ばして視覚を奪う。
「[雪結晶(スノークリスタル)]!」
 そして固定したところを、雪の結晶に閉じ込める。
 一番時間稼ぎになるような魔法だ。
 休まず二人で氷を重ねがけしていく。
「「はぁ、はぁ」」
 私たちはその場に座り込んだ。
 そして捕まえたサラマンダーの方を見る。
「ん?」
 私はサラマンダーの周りの結晶がが割れているような気がした。
「ねぇルカ」
 そっぽをむいていたルカに喋りかける。
 恐らく復讐を果たした、と思って満足しているのだろう。
「結晶…」
 ルカがこちらを向いた時、結晶は割れた。
 パリン!
「あ…」
「お主ら、よくもやってくれたなぁ?」
 そこにはサラマンダーがさらに大きくなった姿が。
 もう家なんてサラマンダーの足の付け根くらいまでしかない。
 サラマンダーって小さいんじゃないの?
「これは我の第二形態。主神スキルが進化し続ければお主らも使えるようになろう…いや、お主らはもうここで死ぬのだから、進化もできぬか」
 私たちは咄嗟に攻撃を放ったものの、纏う炎を大きくし、その攻撃は蒸発する。
 立っている私たちのところまで熱さが伝わる。
 私は上着を脱ぎ捨てた。
 ルカは周りを冷気で覆い、涼んでいるようだ。
 ずるい。
「第二形態の吐息(ブレス)は一味違うぞ!喰らえ、[炎熱地獄吐息(フレイムインフェルノブレス)]!」
 地獄の業火が、私たちを焼き尽くさんと襲いかかる。
「地魔法中級[岩壁(ロックウォール)]ッ![魔力障壁(マジックパワーウォール)]!風魔法中級[風柱(ウィンドピラー)]」
 私は魔力障壁を五枚ほど、岩壁を一枚展開して一秒ほどブレスを防ぎ、最後は風柱でサラマンダーへと跳ね返した。
「ぬ⁉︎炎は…グギャアアアアアァァァァァァァァ!!!!!」
 跳ね返した炎はサラマンダーへと直撃し、その身を焼き焦がす。
 なぜ炎が効くのだろう?
 そうして、サラマンダーは倒れた。
 まだ息はある。
 もう一度ルカに結晶に閉じ込めてもらい、私たちは疲労でその場に倒れた。

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎


『条件を満たしたことにより、魔法のレベルがそれぞれ4上がりました』
「ルナ!」
 その声で、私は目覚めた。
 目の前にはガイアが、涙を溜めて私の顔を覗き込んでいた。
 何でお父さん?
「サラマンダーは…」
「大丈夫だ、あとは討伐者の人に任せなさい」
 ラグナロクと戦うってことはその討伐者はS(ランク)以上?
 ぜひ見ておきたい。
「ルナ、まだ動かない方が…」
「お父さん、私あの人たちの戦いを見たい!」 
「ルナ…分かったけど、あんまり参考にならないぞ?」
 そう言ってお父さんは私をおんぶし、サラマンダーの方へと向けてくれた。
 そこには二人の人が立っていた。
 サラマンダーは結晶を溶かし、復活。
 生命力がすごいな。
 ゴキブリ並みだ。
 サラマンダーは二人に向けて吐息(ブレス)を放とうとしている。
「あの人たち何してるの?危ない!」
 吐息(ブレス)を吐いた瞬間、暗くてよくわからなかった討伐者たちが炎に照らされてよく見えた。
 二人がしていたのは、ジャンケンだった。
「あ〜あ、結局どっちが()るか決めてないじゃん」
「チッ、しょうがねぇな。今日だけはお前に譲るよ」
 そう言って片方の討伐者が下がると、もう片方の討伐者が、腕を振り抜いた。
「え?」
 すると、サラマンダーの体は縦にも横にも縦横無尽に切断され、ボタボタと肉片になって地面へと落ちた。
「ん〜最近〈尾〉は弱くなってきたな」
「それは俺らS級討伐者が狩りまくるからだろ」
 そう言いながら二人はこちらに近づいてくる。
「ルカは?」
 お父さんに聞くと、ルカは今病院らしい。
 初めてなのに主神スキルを使い過ぎたんだとか。
「嬢ちゃん、さっきの嬢ちゃんと一緒にこいつを閉じ込めたのか?」
 さっきサラマンダーを殺した男が肉片を指差し、そう聞いた。
「は、はい」
 ルカのような返答になってしまった。
 私なんかまだまだだ。
 あのサラマンダーを一瞬で…。
 神になるのは相当の努力が必要そうだ。
「すげぇな、この歳で。まだ主神スキルも使っちゃいけないだろうに。それによくサラマンダーの弱点が炎だって気が付いたな」
 サラマンダーは炎に弱い。
 炎を纏っていても防御にはならないからだ。
 全身にある炎を体から排出する器官に逆に炎を送り込むと、その器官が壊れて炎の防御もなくなり弱体化するんだとか。
 そして、私の胸に死の刻印が刻まれていることを教えてくれた。
 死の刻印を刻まれたら、討伐者が保護することになっているらしい。
 だけど、私の場合ガイアがA級討伐者、そして事情を知っているということで保護はされない。
 S級討伐者は基本的に神獣部隊の〈尾〉から〈爪〉。そして本隊の二等兵から伍長までしか戦うことを許されていない。
 それ以上は全て特級討伐者が行うらしい。
 特級討伐者と言っても強さはピンからキリまで。
 特級討伐者のラインをギリギリ超えたものもいるし、その逆もいる。
 ただ、まだティターンに対抗できるほどの強い特級討伐者が集まっていないんだとか。
 ラグナロクはティターン、つまり幹部をまだ戦いに出したことがなく、基本的に討伐、もしくは目撃記録があるのは神獣部隊の〈尾〉から〈爪〉、そして本体の二等兵から兵長。
 ティターンがいると分かったのは私が倒した二等兵のように説明書のようなものに書いてあったから。
 特級討伐者はまだラグナロクとは戦ったことがないらしい。
 意外と慎重派なんだな、ラグナロク。
 今日は通報が入り、一番近いS級討伐者がガイアを連れて急行したらしい。
 今日来たS級討伐者はS級討伐者の中でもトップクラス。
 だから兵長クラスを片手でやれたのか…。
「ま、恐らく国から褒美が出るだろうな。今日はゆっくり休んどきな」
 そう言って二人は消えた。
 目には追えない速さで移動し始めたのだ。
 ガイアは追えているようだった。
 私はそのままガイアにおぶられたまま家まで走り、家でぐっすり寝た。

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇


〈基本ステータス〉
 個体名:ルナ・ムーンライト
 二つ名:無し
 年齢 :3
 職業 :無職
 レベル:1
 筋力 :1
 敏捷力:1
 精神力:943
 体力 :1
 魔力 :2943
 耐性 :無し
 加護 :転生者の加護
 称号 :無し
 技能(アーツ) :無し
 使用可能魔法:地魔法上級Level9、火魔法上級Level1、水魔法上級Level1、風魔法中級Level9、毒魔法中級Level8、氷魔法中級Level5
 主神スキル :[陰影(カゲノモト)]Level1
 主神権能  :[影纏(シャドウウェア)][影縫(シャドウソーイング)
 保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level16[食事]Level5[思考加速]Level6[鑑定]Level5[魔力感知]Level6[魔力操作]Level6[聴力強化]Level3[視力強化]Level3[嗅覚強化]Level1[触覚強化]Level3
 保持タイトル:無し


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 突然広場で、男が炎を纏った龍へと変貌した。
「サラマンダー…」
 ルカが瞳に憎悪の炎を灯し、サラマンダーを睨みつける。
 私たちに向けられた刺客はどうやら一人だけではなかったらしい。
「キャアアァァァ!!!!」
「怪物だ!討伐者に通報を!!」
「だすげてぇ〜!」
 怯えて逃げるもの、冷静に討伐者本部へと通報するもの、炎に焼かれ悶え苦しむもの。
 様々な人が入り混じり、逃げ惑う。
「不味い…」
 私は避難を助けるか、原因となっていたサラマンダーを倒すかの二択を迷った。
 サラマンダーがこちらを見る。
「お主、あの時逃げ仰せたという|妖精族《エルフ》か?」
 ルカが横で震えている。
「お主にまだ追っ手がかかっていないのはお主の兄が俺が殺す!と言って聞かんから揉めている」
「ちょうど良い、我が組織の情報を知ってしまった二人に死を与えよう」
 私はさっき奪った説明書を見る。
 神獣部隊は…
神獣部隊








爪 

という階級に分かれていて、サラマンダーは尾に属しているらしい。
 一番弱い、ということか。
 尾のサラマンダーの中で一番強い、リーダーが私たちの目の前にいるコイツ、という事だろう。
 兵長クラス、とルカは話していた。
 さっきの男の何倍も強い…!
 私は残存魔力量を確認した。
 零⁉︎
 なぜ動けていた、というか生きていたかが不思議だ。
 魔力がなくなると普通は死ぬのに。
『ハァ…創造神からの|贈呈《ギフト》:魔力により、個体名:ルナ・ムーンライトは魔法を行使することが可能となり、生存も可能としていました』
 若干呆れが含まれているような神声を聞き、私はびっくりした。
 創造神が私に魔力を送ってくれてた⁉︎
 中級魔法は魔力を100消費するため、頻繁には打つことができない。
 私はルカにも魔力を送っていたため、零になったのだろう。
 ルカは魔力が少なすぎたのだ。
 ルカが回避に使った魔法でも、私の魔力を消費した。
 私はとりあえずサラマンダーを無視し、近くにあった薬屋にお金を置くと、|魔力回復薬《マジックパワーリカバリーポーション》を私の魔力がマックスになるまで飲んだ。
 サラマンダーはそんなことお構いなしに、|吐息《ブレス》を放つ準備をしている。
 ルカが必死に氷の能力を使い、それを阻止しているものの、時間の問題だ。
 私はルカのところへと戻る。
「ルカ、無理はしないで。時間を稼ごう」
 時間を稼げば、討伐者が来てくれる…!
 そう思い、時間が稼ぐことを目標にした。
「我が名はルース。主神スキルは[|炎纏龍《サラマンダー》]。階級は神獣部隊〈尾〉サラマンダーの主席だ」
「私はルナ・ムーンライト。こっちはルカ」
 お互い名乗りを終え、決戦の火蓋が切って落とされる…‼︎
 まずは相手の弱点である、水で!
「水魔法中級[|水車《ウォーターローター》]!」
 回転型の水の斬撃を複数繰り出す。
「ぬ…!中級魔法が使えるだと?」
「主神スキル[|雪女《ユキオンナ》]発動![|雪塊《スノーブロック》]」
 サラマンダーの頭上はるか五十メートルほどの距離に、サラマンダーの倍ほどの氷の塊が落ちてきた。
「ぬ…!なかなかにやるようだ。まああの下っ端悪魔がやられるのも無理がないのぅ」
 そう言い、サラマンダーは纏う炎の出力を上げた。
「ぬん!」
 一瞬で氷塊は溶けていく。
 でも、それで良い。
 水がサラマンダーを直撃した時、私たちは同時に二人合わせて一番強い攻撃を放った。
「地魔法中級[|土槍《クレイスピア》・改]!」
 まず普通に槍を飛ばすのではなく下から生やすことで相手の動きを固定。
 そのせいで魔法は下級から中級に上がるが。
 ついでに二本普通の土槍を飛ばして視覚を奪う。
「[|雪結晶《スノークリスタル》]!」
 そして固定したところを、雪の結晶に閉じ込める。
 一番時間稼ぎになるような魔法だ。
 休まず二人で氷を重ねがけしていく。
「「はぁ、はぁ」」
 私たちはその場に座り込んだ。
 そして捕まえたサラマンダーの方を見る。
「ん?」
 私はサラマンダーの周りの結晶がが割れているような気がした。
「ねぇルカ」
 そっぽをむいていたルカに喋りかける。
 恐らく復讐を果たした、と思って満足しているのだろう。
「結晶…」
 ルカがこちらを向いた時、結晶は割れた。
 パリン!
「あ…」
「お主ら、よくもやってくれたなぁ?」
 そこにはサラマンダーがさらに大きくなった姿が。
 もう家なんてサラマンダーの足の付け根くらいまでしかない。
 サラマンダーって小さいんじゃないの?
「これは我の第二形態。主神スキルが進化し続ければお主らも使えるようになろう…いや、お主らはもうここで死ぬのだから、進化もできぬか」
 私たちは咄嗟に攻撃を放ったものの、纏う炎を大きくし、その攻撃は蒸発する。
 立っている私たちのところまで熱さが伝わる。
 私は上着を脱ぎ捨てた。
 ルカは周りを冷気で覆い、涼んでいるようだ。
 ずるい。
「第二形態の|吐息《ブレス》は一味違うぞ!喰らえ、[|炎熱地獄吐息《フレイムインフェルノブレス》]!」
 地獄の業火が、私たちを焼き尽くさんと襲いかかる。
「地魔法中級[|岩壁《ロックウォール》]ッ![|魔力障壁《マジックパワーウォール》]!風魔法中級[|風柱《ウィンドピラー》]」
 私は魔力障壁を五枚ほど、岩壁を一枚展開して一秒ほどブレスを防ぎ、最後は風柱でサラマンダーへと跳ね返した。
「ぬ⁉︎炎は…グギャアアアアアァァァァァァァァ!!!!!」
 跳ね返した炎はサラマンダーへと直撃し、その身を焼き焦がす。
 なぜ炎が効くのだろう?
 そうして、サラマンダーは倒れた。
 まだ息はある。
 もう一度ルカに結晶に閉じ込めてもらい、私たちは疲労でその場に倒れた。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
『条件を満たしたことにより、魔法のレベルがそれぞれ4上がりました』
「ルナ!」
 その声で、私は目覚めた。
 目の前にはガイアが、涙を溜めて私の顔を覗き込んでいた。
 何でお父さん?
「サラマンダーは…」
「大丈夫だ、あとは討伐者の人に任せなさい」
 ラグナロクと戦うってことはその討伐者はS|級《ランク》以上?
 ぜひ見ておきたい。
「ルナ、まだ動かない方が…」
「お父さん、私あの人たちの戦いを見たい!」 
「ルナ…分かったけど、あんまり参考にならないぞ?」
 そう言ってお父さんは私をおんぶし、サラマンダーの方へと向けてくれた。
 そこには二人の人が立っていた。
 サラマンダーは結晶を溶かし、復活。
 生命力がすごいな。
 ゴキブリ並みだ。
 サラマンダーは二人に向けて|吐息《ブレス》を放とうとしている。
「あの人たち何してるの?危ない!」
 |吐息《ブレス》を吐いた瞬間、暗くてよくわからなかった討伐者たちが炎に照らされてよく見えた。
 二人がしていたのは、ジャンケンだった。
「あ〜あ、結局どっちが|殺《ヤ》るか決めてないじゃん」
「チッ、しょうがねぇな。今日だけはお前に譲るよ」
 そう言って片方の討伐者が下がると、もう片方の討伐者が、腕を振り抜いた。
「え?」
 すると、サラマンダーの体は縦にも横にも縦横無尽に切断され、ボタボタと肉片になって地面へと落ちた。
「ん〜最近〈尾〉は弱くなってきたな」
「それは俺らS級討伐者が狩りまくるからだろ」
 そう言いながら二人はこちらに近づいてくる。
「ルカは?」
 お父さんに聞くと、ルカは今病院らしい。
 初めてなのに主神スキルを使い過ぎたんだとか。
「嬢ちゃん、さっきの嬢ちゃんと一緒にこいつを閉じ込めたのか?」
 さっきサラマンダーを殺した男が肉片を指差し、そう聞いた。
「は、はい」
 ルカのような返答になってしまった。
 私なんかまだまだだ。
 あのサラマンダーを一瞬で…。
 神になるのは相当の努力が必要そうだ。
「すげぇな、この歳で。まだ主神スキルも使っちゃいけないだろうに。それによくサラマンダーの弱点が炎だって気が付いたな」
 サラマンダーは炎に弱い。
 炎を纏っていても防御にはならないからだ。
 全身にある炎を体から排出する器官に逆に炎を送り込むと、その器官が壊れて炎の防御もなくなり弱体化するんだとか。
 そして、私の胸に死の刻印が刻まれていることを教えてくれた。
 死の刻印を刻まれたら、討伐者が保護することになっているらしい。
 だけど、私の場合ガイアがA級討伐者、そして事情を知っているということで保護はされない。
 S級討伐者は基本的に神獣部隊の〈尾〉から〈爪〉。そして本隊の二等兵から伍長までしか戦うことを許されていない。
 それ以上は全て特級討伐者が行うらしい。
 特級討伐者と言っても強さはピンからキリまで。
 特級討伐者のラインをギリギリ超えたものもいるし、その逆もいる。
 ただ、まだティターンに対抗できるほどの強い特級討伐者が集まっていないんだとか。
 ラグナロクはティターン、つまり幹部をまだ戦いに出したことがなく、基本的に討伐、もしくは目撃記録があるのは神獣部隊の〈尾〉から〈爪〉、そして本体の二等兵から兵長。
 ティターンがいると分かったのは私が倒した二等兵のように説明書のようなものに書いてあったから。
 特級討伐者はまだラグナロクとは戦ったことがないらしい。
 意外と慎重派なんだな、ラグナロク。
 今日は通報が入り、一番近いS級討伐者がガイアを連れて急行したらしい。
 今日来たS級討伐者はS級討伐者の中でもトップクラス。
 だから兵長クラスを片手でやれたのか…。
「ま、恐らく国から褒美が出るだろうな。今日はゆっくり休んどきな」
 そう言って二人は消えた。
 目には追えない速さで移動し始めたのだ。
 ガイアは追えているようだった。
 私はそのままガイアにおぶられたまま家まで走り、家でぐっすり寝た。
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇
〈基本ステータス〉
 個体名:ルナ・ムーンライト
 二つ名:無し
 年齢 :3
 職業 :無職
 レベル:1
 筋力 :1
 敏捷力:1
 精神力:943
 体力 :1
 魔力 :2943
 耐性 :無し
 加護 :転生者の加護
 称号 :無し
 |技能《アーツ》 :無し
 使用可能魔法:地魔法上級Level9、火魔法上級Level1、水魔法上級Level1、風魔法中級Level9、毒魔法中級Level8、氷魔法中級Level5
 主神スキル :[|陰影《カゲノモト》]Level1
 主神権能  :[|影纏《シャドウウェア》][|影縫《シャドウソーイング》]
 保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level16[食事]Level5[思考加速]Level6[鑑定]Level5[魔力感知]Level6[魔力操作]Level6[聴力強化]Level3[視力強化]Level3[嗅覚強化]Level1[触覚強化]Level3
 保持タイトル:無し