私は話を聞き終え、言葉を失った。
「…」
じゃああのラグナロクって組織、相当やばい組織なの?
「ルカにそんな過去が…」
私とルカは泣いた。
泣きながら歩いたため、どこを歩いているかも分からなくなったが、それでも泣いた。
気づくと、私たちは先ほど男達を殺したあの裏路地へと戻ってきてしまった。
「ルカ、今日はもう帰ろう」
「う、うん」
ルカは少し名残惜しそうにしていたが、時間も時間。
帰ることとなった。
帰ると言っても道がわからないのが現状。
どうしたものか。
「気づいてる?」
私はルカに確認をとる。
「う、うん」
そう、私たちの後をつけるようについてくる者が一人。
私は声を張り上げた。
この道を進めば広場。
「気づいてるわよ!出てきなさい!」
すると影から一人、男が出てきた。
「おうおう、威勢の良い嬢ちゃんじゃねぇーか。自分の置かれている立場がわかってねぇようだなぁ」
私とルカは臨戦体制をとった。
ルカの戦闘力が如何程なのかは分からない。
この男、
「強い…」
そう、この男は強い。
おそらく私達二人を合わせても私たちが少し劣る程度の強さ。
「あなた、ラグナロクなの⁉︎」
私は男に向けて問う。
「ん?ああ、ラグナロクだ。ラグナロクじゃ、名乗る必要があるって言ってたな…」
?
この男、あまりラグナロクについて知らない?
「俺はまだ入ったばかりでよ、あまりしらねぇんだ。ラグナロクでは、名前と階級、そして主神スキルを名乗るんだったか?」
独り言が大きい気がする。
主神スキルが相手と戦う前にわかるというのは大きい。
「俺に名前は、ない。名前があるほど強くはない。ラグナロク本隊悪魔団第十軍配属一等兵、主神スキルは[移動悪魔]。あの偉大なるセーレ様に使える騎士級の悪魔だ!」
どうやらこの男は主神スキルに乗っ取られているらしい。
一等兵って下から二番目じゃ?
私は背筋が寒くなる。
私とルカを足しても勝てないような相手が下から二番目の階級?
しかも悪魔団ってことは他にも団があって、第十軍ということは他にも団がある場合かなり多いことになる。
その中のほとんどに私は勝てない。
それじゃ、ダメだ。
私は、神を目指すんだから。
誰にも、いじめられないために。
私は、神に、成るんだから!
「私はルナ・ムーンライト。こっちがルカ」
私は一応名乗った。
主神スキルはまだどんな能力かも知らないので言わない。
ラグナロクに情報がバレたら不味い。
私はなんとなく、神になるためにラグナロクは倒さなければならない、と感じた。
「さあ、お命、頂戴する。上からの指令なんでな」
さっき私を勧誘してきたやつはこいつより遥かに強かった。
偉い人なのだろう。
私は魔力を体に巡らせた。
ルカも合わせた、三人の声が重なり、弾けた。
「「「いざ、尋常に、勝負!」」」
勝負というより、命の取り合いが始まった。
ルカがどのくらい戦えるかで、この勝敗は決する。
大体感じでわかるんだけど。
相手は敏捷力が高い感じ。
ヒットアンドアウェイで物理攻撃を繰り出してる。
でも、的が二つだからね〜。
私たちは二手に分かれる。
私は大きい魔法は当たらないと考え、
「氷魔法中級[氷拳]!」
魔法を纏った範囲型の物理攻撃に切り替えた。
相手はその高い敏捷力を駆使し、私の攻撃を巧みに擦り抜ける。
私は敵に余波のダメージしか与えられていない。
「くっ」
こんな時に主神スキルが使えたら…。
主神スキルにも種類がある。
日本系、エジプト系、中国系、ギリシャ系、北欧系、中南米系、クトゥルフ系。
私のものはまだ行き先が決まっていない主神スキル。
[剣士]とかもまだ何系になるか分からないため、一番のあたりスキルなんて言われていたりする。
その中で、特に日本や中国などだが、化物系と呼ばれるものが存在する。
日本だったら妖怪、中国だったら神獣とか呼ばれるやつ。
ルカの村を襲った、[炎纏龍]もそうだ。
ルカの主神スキルは、日本系の、妖怪だった。
「魔弾!」
相手から魔の塊が打ち出される。
ただ魔力の塊を飛ばしたのではなく、魔のオーラが纏われている。
主神スキルが天使だと聖属性、悪魔だと魔属性の魔法が使えるのだ。
「水魔法中級[水穿]ッ!」
私は一点集中の魔法を放った。
これは目眩しだ。
私も、中級魔法を連発できるわけではない。
早期決着が鍵となるだろう。
「水魔法中級[水撃]
私は威力を減らし、超範囲型にした一撃を打ち込んだ。
相手は一瞬動きを止める。
さっきからずっと攻撃しているのだが、地魔法の土の壁によって全て阻まれている。
魔力で障壁を作ることもできるが、地魔法だと魔法を行使し、しばらく経っても残るのだ。
だから地魔法を使った。
魔力は温存しておかねば。
「ふん、俺の動きを止めた程度で勝てたと思うなよ」
「ルカ!」
私は相手に気づかれないように背後に回っていたルカに合図を送る。
ルカはこの時まで戦いに関わっていない。
まだ相手は動けていない。
あと0.5秒程度!
「主神スキル[雪女]発動![猛吹雪]!!」
範囲型で、ダメージがかなり高い、必殺の一撃。
その一撃は、悪魔に直撃した!
悪魔はその場に崩れ落ちた。
「…見事、だった」
そう言い残し、悪魔は死んだ。
「…」
ルカは自分の魔法で人を殺してしまったことがショックなのか、黙ってしまった。
人ではなく悪魔なのだが。
外見が人だったからなぁ。
「ルカ、これは正当防衛だから。悲しむことじゃないよ」
今倒したのが一等兵だとすると、ルカの村を襲ったサラマンダーは兵長。
二つ上の階級だ。
私は敵の衣服を探り、あるものを見つけた。
ラグナロクの階級全てが記されているものを。
私はおそらくこの悪魔は入ったばかりだったためこういう説明書のようなものを持っている、と踏んだのだ。
その説明書によると、ラグナロクは
主
首脳
副首脳
参謀
参謀補助
団長
副団長
軍長
副軍長
大将
中将
少将
大佐
中佐
少佐
大尉
中尉
少尉
准尉
曹長
軍曹
伍長
兵長
上等兵
一等兵
二等兵
このような階級で成立しているらしい。
私達が仕留めたのは一等兵。
めちゃくちゃ下っ端だ。
説明書によると軍長までの組織を軍といい、その軍が十ある中の総称として団長までを団。
そして、その上からは幹部的な存在らしい。
団と違ってその上の幹部達は少ないようだ。
団は、悪魔、天使、ケルト、クトゥルフ、エジプト、インド、中国、オリエント、ギリシャの九つ。
それぞれの団が十の軍を有している。
ケルトとクトゥルフは例外的に五の軍らしい。
軍には大体二百人ほど。
つまりラグナロクの構成員は一万六千人程度ということだ。
私は改めてどんなに大きい組織なのかを知った。
そして、勧誘を断ったら情報を断つため、殺すらしい。
誰かが殺されたら、まずその軍が動き、それでも対処しきれない場合は、団が動く。
それでも無理だった場合、他の団との協力。
そして、それでも倒せない場合は、幹部達が直々に殺す、と書いてあった。
つまり、私たちはまず、悪魔団第十軍というもの達と戦わねばならないようだ。
「ルカ、疲れたよね。帰ろう」
私は疲れてさっさと帰りたかった。
ルカも疲れているはずなので、一緒に帰ろう、と促したのだ。
『条件を満たしたことにより、魔法のレベルがそれぞれ3上がりました』
私は、神声に頼み事をしてみた。
氷魔法を中級Level1にして良いので、その分地魔法を成長させてくれ、と。
『わがまま…了承しました。氷魔法を生贄として、地魔法に捧げます』
氷系統はルカの方が強いので、私は氷魔法を最低限のラインまで落とし、自分の中で二番目に得意であった地魔法を成長させたのだ。
私たちは広場に出る。
人気が多く、私たちは一瞬安堵する。
ただ、その後すぐにどん底に落とされることとなる。
そこで見たものは…。
一人の男がどんどん膨らみ、怪物、サラマンダーへと変わる様だった__
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
〈基本ステータス〉
個体名:ルナ・ムーンライト
二つ名:無し
年齢 :3
職業 :無職
レベル:1
筋力 :1
敏捷力:1
精神力:943
体力 :1
魔力 :2943
耐性 :無し
加護 :転生者の加護
称号 :無し
技能 :無し
使用可能魔法:地魔法上級Level5、火魔法中級Level7、水魔法中級Level7、毒魔法中級Level4、氷魔法中級Level1
主神スキル :[陰影]Level1
主神権能 :[影纏][影縫]
保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level16[食事]Level5[思考加速]Level6[鑑定]Level5[魔力感知]Level6[魔力操作]Level6[聴力強化]Level3[視力強化]Level3[嗅覚強化]Level1[触覚強化]Level3
保持タイトル:無し