「もう一度言う。僕らの組織“ラグナロク”に入らないか?」
その名前を聞いた途端ルカは絶望的な表情をした。
どうしたのだろう?
私は驚いた。
“ラグナロク”とは主神スキルに乗っ取られた人や主神スキルを悪用しようとする人たちの総称だったからだ。
それをわざわざその組織の名前にしている、と言うことは…。
「キミ達に拒否権はn…」
「嫌です」
男の言葉を遮ってはっきりとそう言ったのは、私ではなかった。
「ルカ…?」
そう、ルカだったのだ。
「私を助けてくれた人をそんな怪しい組織に入れたくありません。嫌です」
理由を述べる様は神々しい天使のようだった。
銀髪碧眼のその天使は、私をみて微笑んだ。
「ルナ、行くよ」
「う、うん」
今度は私が手を引っ張られる番だった。
ずんずん進んでいくルカに私は疑問を覚えた。
「ルカ?」
私は心配になって名前を呼ぶ。
すると、ルカはこう語り出した。
「昔ね、私たちは妖精族の村に住んでたの」
…たち?
「そしたら、人間が攻めてきた。おかしいんだよ、だってそこは妖精族の国に住んでいたんだから」
亜大陸にある国のことだ。
「聞いてくれる……?」
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私はルカ。
双子の妹のミカや、兄のアデス、母、父と仲良く暮らしていた。
森の中にある妖精族の村には、百人ほどの妖精族が共に暮らす。
「「アディ兄アディ兄!」」
私とミカは、兄のアデスをアディ兄と呼んで慕い、いつも仲良く暮らしていた。
「「アディ兄、見て見て!花冠作ったんだよ!」」
ミカは紫色の眼、私は水色の目を輝かせてアデスに構ってアピールをした。
森は私たちの家であり、故郷だった。
二人は一つずつ花冠を掲げる。
ゴロゴロゴロゴロと雷がなると、ミカはびくりと体を震わせた。
小さいころ雷に打たれたミカはそれ以来雷の音を聞くだけで震え上がるようになってしまった。
「「アディ兄、こわ〜い」」
そう言ってミカと私はアデスにくっついた。
「も〜、二人とも、アデスを邪魔しないの」
私より五百歳年上の仲良しの女の子、ミルネが私たちを止める。
「「え〜!」」
私たちは揃って頬をぷくーっと膨らませ、理由をとうた。
「アデスは昨日で1600歳!成人したの。大人は働くのが仕事よ」
ミルネは時々よわからないことを言う。
「「大人とか子供とかかんけーないじゃん!」」
ミルネはいつも聡明だった。
私たちは正論で叩きのめされ、笑って仲直りをする仲だ。
「でも、子供は遊ぶのが仕事!」
そう言って私とミカ、そしてミルネの三人でいつも遊んでいた。
そんなある日、事件は起こった。
ことの発端は、事件が起こった日から一週間ほど前の日に起こった__。
私たち三人は村から少し離れた森の中で追いかけっこをして遊んでいた。
「待て〜!」
ミルネが鬼だ。
「「きゃ〜」」
私とミカは一緒に逃げていた。
その時、何かに躓いた。
ゴツン!
「「い、痛い」」
私たちは揃って何かに躓き、一緒に転けてしまったのだ。
後ろを振り向くと、ブルブル震えているミルネの姿。
「「どうしたの?」」
私たちはミルネの様子がおかしいと気づき、そう聞いた。
ミルネは、震える指で私たちの後ろを指差した。
「「ん?」」
私たちは今さっき自分が躓いたものを見た。
それは…
「「堕妖精…⁉︎」」
ボロボロになった女の堕妖精だった。
私たちは少し興奮して堕妖精に問いかけた。
「どこから来たの?なんでそんなにボロボロなの?」
堕妖精はまだ言葉を発さない。
気を失っているらしかった。
ミナスは心底恐ろしいと言う顔をして、
「堕妖精がしたこと、知らないの⁉︎」
と私たちに言った。
私たちは何も知らなかった。
「堕妖精は、第一次世界大戦の時に私たち妖精族を裏切って人間の側に味方した、最低最悪の裏切り者なのよ‼︎」
そう、堕妖精は九千年前に起きた第一次世界大戦の時に妖精を逆に捕まえ、人間に引き渡したのだ。
人間はそのは褒美として子々孫々肌が黒くなるという呪いをかけた。
史上最低最悪の呪いである。
生命力の強い妖精族でなかったら即死という呪いだ。
そのため堕妖精の寿命は五千年ほど。
当時の堕妖精たちは誰一人として生きていない。
「「私たち、長老に言ってくる!」」
私とミカは同時に走り出し、同じ速さで長老の家へと向かった。
我々妖精族は木の上で生活している。
「私はこの堕妖精を監視してるわ」
そう言いながらミルネは堕妖精を介抱している。
私たちは長老に堕妖精が森で倒れていた、と話をした。
長老は九千年前に一度堕妖精によって人間に捕まっている。
「なんと…今すぐわしの家に連れてくるんじゃ!」
長老はそう言い、何かの準備をし始めた。
私たちはミルネとともに、堕妖精を長老の家まで運んだ。
長老が用意していたのは布団だった。
長老は医者だ。
聞くと、長老が治療するらしい。
長老は堕妖精を寝かせ、服を脱がせた。
すると植物や木の皮などで作られた下着姿となる。
「「「っ!!」」」
私とミカ、そしてミルネは驚いた。
堕妖精の体が傷だらけだったからだ。
ただ、長老が驚いたのは別の理由だった。
ミルネと視線を交わし、長老は頷く。
「不味い、この刻印は…」
胸の上にあった黒の髑髏に羽根がついたようなマークに雷が落ちている刺青のようなものを指さして言った。
そして近くにいた大人に
「全員必要最低限の荷物を持っていますぐ逃げるぞ」
と言い、大人は指示に従った。
村全体が避難しようとしている時、ルカやミカ、ミルネは不安でいっぱいだった。
大人は理由を知っているらしいが、全くわからない。
そして、ついに避難が始まった。
結局理由は分からずに。
ミルネは難しい顔をして何かぶつぶつ言っている。
村人全員が荷物を持ち、走り出す。
人間よりも体力がある妖精族は移動する時歩く、ではなく大体走る。
子供も例外なく。
妖精族たちが避難を開始したその瞬間、前方から強烈な光が瞬いた。
「グルオオオオオオ」
叫び声とも唸り声ともつかない大きい声が聞こえ、見るとそこには炎を噛んでいるような真っ赤な龍が。
俗に言うサラマンダーである。
ルカやミカは逃げた。
反対方向へ。
妖精族の大人は必死に弓を使い、サラマンダーを止めようとするものの、サラマンダーに近づいた矢は全て燃えてサラマンダーに当たるのは煤ばかり。
ルカとミカ、そしてミルネがサラマンダーの射程範囲から逃れた時、サラマンダーは口を開いた。
「我が名は[炎纏龍]。上からの命令でな、お前らを殺さねばならぬ」
そして大きく口を開けたと思った時、サラマンダーからめちゃくちゃな炎が発せられ、周りの木々はもえ、妖精族も燃え始める。
「さらばだ」
そう言うと同時に、サラマンダーは炎息を放った__
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
〈基本ステータス〉
個体名:ルナ・ムーンライト
二つ名:無し
年齢 :3
職業 :無職
レベル:1
筋力 :1
敏捷力:1
精神力:943
体力 :1
魔力 :2943
耐性 :無し
加護 :転生者の加護
称号 :無し
技能 :無し
使用可能魔法:氷魔法中級Level6、地魔法中級Level5、火魔法中級Level4、水魔法中級Level4、毒魔法中級Level1
主神スキル :[陰影]Level1
主神権能 :[影纏][影縫]
保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level16[食事]Level5[思考加速]Level5[鑑定]Level4[魔力感知]Level5[魔力操作]Level5[聴力強化]Level3[視力強化]Level3[嗅覚強化]Level1[触覚強化]Level3
保持タイトル:無し