「〜〜♪」
私は機嫌よく部屋を闊歩していた。
デジャヴを感じるのは気のせいだろう。
三十秒ごとに時計を見ては部屋をぐるぐる。
行動がうるさい!そう言われそうな光景である。
実際うるさいのだが。
今日は待ちに待った街へ外出の日!
心臓はバクバクと音を鳴らしている。
「ま〜だっかな〜♪」
私は待ちきれなくて、家を出る時刻の一時間前から準備を始めた。
今は三十分前。
朝九時に出る予定である。
今はもう準備も終わり、手持ち無沙汰の状態となっているため、先ほどの、冒頭四行目の文の状態となるわけだ。
「ル、ルナ…?準備、できた?」
そう言って聞いてくるのはルカ。
私の友達だ。
いつもきているメイド服ではなく、無地のワンピースを着ている。
恐らくまだ慣れていないのだろう。
私を呼び捨てで呼ぶ時も若干のためらいがある。
まあ、次第に慣れてもらうしかない。
「準備万端!でもあと三十分もあるから暇なんだ〜」
と私が愚痴る。
するとルカは苦笑しながら
「そ、そんなに慌てなくてもお出かけは逃げないよ」
と言ってくれた。
「そうだね」
私はそれでも待ちきれない。
待ち時間をルカとお喋りをして過ごした。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
三十分後__
「行ってきまーす!!」
「い、行ってきます」
私たち二人は正面玄関に二人並んでそう叫んだ。
ルカは控えめだったけれど。
ガイアとエルメナは微笑んで
「「行ってらっしゃい」」
と優しく私たちを送り出した。
私たちは喋りながら領地の中で最も栄えている、領都リーヴェルへと移動した。
歩いて二十分程度でリーヴェルへ着いた。
屋敷に近く、栄えていることからこの街を選択したが、正解だったようだ。
「さぁ、行くぞ〜」
「う、うん!」
まず初めは洋服屋さん
二人ともお小遣いとして五万フィルを渡されている。
フィルというのはお金の単位で、まあわかりやすくいうと一フィルが一円みたいな感じだ。
多い気もするが、リーヴェルの物価は高いため、これで良いのだ。
昨日が誕生日だったこともあるだろう。
洋服屋さんで、お互いに似合いそうな服装をチョイスし、買った。
お互い相手からのプレゼントという認識だ。
一万フィルという結構な値段だった。
次は魔道具屋さん。
ルカとお揃いが良いな〜と思い、
「ルカ、一緒にこれ買わない?」
と提案した。
「う、うん。私もそれが良い」
と二人で同じものを買った。
それは、つけていると少しだけ魔力が上昇する、というもの。
これは三千フィルだった。
残り三万七千フィル
紫色に輝くネックレスだ。
次は
「そろそろお昼にしない?」
という私の言葉で街食堂のようなところに行くことになった。
「ここいいかも!」
私達は目に入った看板を頼りに食事処へと辿り着いた。
そこで私はうどん、ルカはピザを食べていた。
四千フィルかかった。
残り三万三千フィル。
ルカと私は疲れてカフェのようなところに入って休むことにした。
「楽しいね〜」
本当に楽しい。
前世を合わせても誰かと遊びに行くのは久しぶり。
人との関わりがこんなに楽しいものだとは思ってもいなかった。
やはり心の底では友達が欲しいな、とずっと思っていたのだろう。
「う、うん。私も楽しい」
とルカが言ってくれる。
そう言われると嬉しいな。
私は胸元に光るネックレスに目を向けた。
効果に期待しているわけではなく、お揃いにする時に何が良いかをデザインと値段を鑑みて決めたもの。
「ふふ」
ルカはお揃いだったことが嬉しいのか、ネックレスを手に持って笑っている。
そんなのを見るとこっちまで嬉しくなってくる。
楽しい時間はそこまでだった。
「お、おい!見ろよ、妖精族だぜ」
「マジだ、本物?」
「売ればいくらになるんだろう」
「いきなり攻撃してきたりしないよな?」
などという心許ない言葉が私たちに向けられる。
私たちに、というか、ルカに。
ルカはしゅんと悲しそうな顔をした。
こういうことはあるとは思っていたけれど…。
リーヴェルは治安が良いはずなのになぜこんな奴らがいるのか。
油断していた、私の責任だ。
「ルカ、こんなとこもう出よう」
と少し強めに提案すると、ルカもそれを感じていたのか
「う、うん、そうだね」
と了承した。
私はルカの手を引き、店から出る。
すると後ろから怒号が。
「逃すな!一攫千金だぞ!」
「追い詰めろ〜!」
私たちは走って逃げた。
でも初めて来た街。
地理なんて全く知らない。
対して相手はここに住んでいる住人達。
しかも大人。
私たちが負けるのも時間の問題だった。
「はぁ、はぁ」
私たちは必死に走って、走って、走った。
その先には…。
「え?行き止まりだ…」
ルカが絶望的な表情を浮かべる。
「早く引き返して別の道を…」
「逃がさねぇぞ!」
私の言葉に被せるようにそう言ったのはルカを追いかけていた人の一人。
その後ろからゾロゾロとルカを追いかけていた人たちが追いついてくる。
終わった。
「大人しくしとけば痛いことはしねぇ」
くっ。
あれ?でも正当防衛って使えるんじゃ?
そう思い私は相手を鑑定してみた。
鑑定!
〈基本ステータス〉
個体名:ベルリー
二つ名:無し
年齢 :32
職業 :無職
レベル:4
筋力 :13
敏捷力:5
精神力:3
体力 :11
魔力 :2
耐性 :心労耐性Level8
加護 :無し
称号 :無し
技能 :[機嫌取]
使用可能魔法:無し
主神スキル :無し
主神権能 :無し
保持スキル :[平伏]Level10[弱者虐待]Level10
保持タイトル:無し
…あれ?勝てる相手じゃない?
私は他の人たちも鑑定してみるが、二十人ほどいた彼らのステータスは似たり寄ったり。
主神スキルが与えられていない残念な人たちばかりであった。
それに魔法も使えない、スキルも屑ばかり。
「ルカ、目を瞑ってて」
「え、?」
私はルカの目を覆い、男達に言った。
「あんた達、ルカに酷いこと言って。わかってんでしょうね?」
と。
凄んで見せてもやはり三歳など怖くないということだろうか。
「お前みたいなチビじゃなくてそっちの妖精族に用があんだよ」
「その妖精族以外はいらねぇ。売るぞ?帰れ、チビ」
流石に私だってここまで言われたら腹が立つ。
ルカを商品のように言いやがって。
「ふざけるな…」
私は体内で魔力を練る。
え〜っと人を攫おうとした時の正当防衛は…。
この国では確か、殺す、まではOKだったよね?
そいつの家や家族に手を出さなければ。
「雷魔法中級[冷気!!]
私は自分の体から氷属性の魔力を放出する。
「うわぁ、寒すぎて動けねぇ」
「てンめぇ、何しやがった!」
「やめ、ぶへぇ〜〜!」
放射状に広がるそれを私は操り、ルカに当たらないように調節する。
「トドメだ」
「や、やめ…」
「火魔法中級[業火]ッ!」
私はうねる炎を二十余人に向けて放つ。
ジュウッ!という音がして、辺りが静まり返る。
人の肌が焼ける匂いが鼻をつく。
ともかくこれは正当防衛なので憲兵に届けよう。
私は風魔法を駆使して悪漢どもを浮かばせ、憲兵に引き渡した。
その間もルカは目を瞑ったままだ。
「ルカ、目を開けて良いよ」
「う、うん」
ルカは安堵したようだ。
さ、帰ろうと思い私たちは歩き出す。
すると後ろから声をかけられた。
「ねぇキミ」
と。
「何ですか?」
私達が振り向くと、そこには戦闘服のようなものを着た男が立っていた。
「さっきの戦い見てたんだけど…。才能の原石だ…。キミ達、僕の組織に入らないか?」
え、見られてた?
私が中級魔法を使ったこともバレれている?
なんで助けてくれなかったのだろう。
男は真剣な顔をして私たちに向けてこう問いかけた。
「もう一度言う。僕らの組織“ラグナロク”に入らないか?」
と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
〈基本ステータス〉
個体名:ルナ・ムーンライト
二つ名:無し
年齢 :3
職業 :無職
レベル:1
筋力 :1
敏捷力:1
精神力:943
体力 :1
魔力 :2943
耐性 :無し
加護 :転生者の加護
称号 :無し
技能 :無し
使用可能魔法:氷魔法中級Level6、地魔法中級Level5、火魔法中級Level4、水魔法中級Level4、毒魔法中級Level1
主神スキル :[陰影]Level1
主神権能 :[影纏][影縫]
保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level6[食事]Level5[思考加速]Level5[鑑定]Level4[魔力感知]Level5[魔力操作]Level5[聴力強化]Level3[視力強化]Level3[嗅覚強化]Level1[触覚強化]Level3
保持タイトル:無し