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第四話 使用人の心内

ー/ー



 私はムーンライト家使用人のルカ。
 先日生まれたお嬢様の専属使用人へと抜擢された。
 誇らしいばかりである。
 これも努力の積み重ねによる結果だろう。
 まさかあんな過去があるのに侯爵家令嬢の専属使用人に選ばれるとは。
 仕事内容はお嬢様の給仕、洗濯、部屋の管理、引率、監視?というか見張る感じ、などだ。
 私はお嬢様の様子を見にお嬢様の自室へと向かった。
 私が部屋に入ろうとドアノブを回すと、中からバタバタと音が聞こえてくる。
 何かあったのかと思い、急いで扉を開けてみると、本を持ってベッドにいるお嬢様が。
 お嬢様は本を隠そうと必死になっている。
 本当に赤ちゃんなのだろうか?
 本のタイトルは『世界の図鑑』?
 大人向けの本だ。
 絵本なら納得できるものの、図鑑や魔導書をこの子は読む。
 この時から私はお嬢様のことを気味悪がる様になったのだ。
 なぜかいつも理解しているかのように本を見る。
 私たち使用人にまで気を遣ってくれる。
 常に視線が彷徨っていて、夜以外はあまり寝ない。
 これだけ聞くと、良い子のように思えるが、そんなことはない。
 まだ生まれて間もないのにお嬢様はおかしい。
 そんな考えが覆されたのはある日のことだった。


⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 私がいつものようにお嬢様の給仕をしていると、お嬢様から受け取った哺乳瓶を落として割りそうになった。
「あっ!」
 その瞬間私の脳内には割れたものを掃除するという次の行動が示された。
 お嬢様はベビーベッドの上。
 安全だ。
 私は目を瞑り、頭を庇うように手で覆う。
 しかし音はいつまで経っても聞こえてこない。
 私は薄目を開けた。
 私が落ちてゆく哺乳瓶に目をやると、なんと哺乳瓶がゆっくりと落ちていっていたのだ。
 哺乳瓶の下から風が吹いているのを感じる。
 え?
「まさか……」
 お嬢様が魔法を使って助けてくれた?
 しかも無詠唱で?
 無詠唱で魔法が使えるなど世界にも100人くらいしか…。
 主神スキルの権能ならばおかしくはないけれど…。
 いつも魔法の本や地理の本を見ているので魔法が使えても不思議ではない。
 ただ、私はこれまで気味が悪いと思って扱っていたお嬢様に助けられたことが嬉しかった。
 素直に、純粋に。
 感動したのだ。
 私はお嬢様に対する考えを改めた。
「ありがとうございます」
 私はお嬢様にお礼を言う。
 お嬢様がきょとんとした顔をしているが、演技が上手いものだ。
 心の中では理解しているのだろう。
「………ジュヴザンプリ」
 妖精(エルフ)語!?
「ッ!?」
 お嬢様はやはり理解していた。
 常人では聞き取られぬほどの小さな声だったが。
 専属メイドたるこの私が聞き逃すわけにはいかないのだ。
 まさか、お嬢様は言語方面も才能があると言うのか?
 どれだけの天才となるのか楽しみだ。
「ふふ、いいんですよ、お嬢様」
 私は、お嬢様と共に人生を生きることを心に決めた。

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

ルナside
 本を読んでいるところを見られてしまった。
 怪しまれてる気がする。
 というかこの国にも妖精族(エルフ)っていたんだ。
 本に書いてあったことによると人族以外はあまり外国に出たがらないらしいのだが。
 それは、第一次世界大戦が影響している。
 今みたいに他種族が隔絶しているような環境じゃなく、種族が仲良くしていた頃。
 第二次世界大戦は人族同士で争い合った戦いであり、魔族は関与していない。
 魔族と人族の戦争で、他の種族は巻き込まれた。
 妖精族(エルフ)は売られ、炭鉱族(ドワーフ)は働かされ、精霊族(スピリッツ)は使役され。
 獣人族は捕まえられ、前線で戦わされた。
 魔族、人族両方がやったこと。
 だから、他種族はあまり人族や魔族の領域に足を踏み入れたがらない。
 今は一時休戦しているものの、戦争が再開された時にまたそのような被害を被る可能性が高いからだ。
 まあ、お金がないとか、売られて人族や魔族の領域に、などの理由でいることもある。
 ルカもなんからの事情があるんだろうな。
 あんなに可愛いのに。
 初妖精族(エルフ)ということで結構興奮している。
 本当に耳がとんがってる!
 すごーい。

 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

 いつものご飯の時間。
 哺乳瓶を使用人のルカから受け取る。
 少し恥ずかしいが、これが今の私の食事だ。
 哺乳瓶を咥えてチューチューする。
 ああ、お腹いっぱい。
 赤ちゃんのお腹は意外とすぐ膨れるのだ。
 私は使用人のルカ、、いや、メイドのルカか。
 ルカに哺乳瓶を返し、眠りにつこうとした。
 その時、ルカが手を滑らせてしまったのか、哺乳瓶は下に落ちていった。
 危ない!
 私は風魔法下級[微風(そよかぜ)]を使う。
 魔法はイメージ、魔法はイメージ。
 咄嗟のことだったので詠唱を破棄してしまったが…。
 ルカに無詠唱で魔法が使えることバレてないよね?
 私は哺乳瓶の下から床へと、床から哺乳瓶へと風を出す。
 私は最近覚えたばっかりの気づかれにくいであろう、風魔法の中で最も弱いと言われるものを使った。
 哺乳瓶はそのままゆっくり落ちていき、床に静止した。
「ありがとうございます」
と言われ、私はきょとんとした顔をした。
 なぜお礼を言われるのだろう。
 そんなに大層なことをしただろうか。
 大袈裟だなあ。
 でも、もらえる感謝は受け取っておこう。
 損はしない。
 私は[全言語理解]を持っている。
 つまり、
「………ジュヴザンプリ」
 妖精(エルフ)語も話せる、と言うことだ。
 傍から見たら変な言葉で、変な光景だろう。
 でも、私たちはこの時つながり合っていた。
 この事件を機に、ルカのそっけなさもなくなった気がする。
 なんだか可愛がられているような…。
 妖精族(エルフ)直々に可愛がってもらえるなんて、幸せだなぁ〜。


⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

メイド長エルナside
 ルカが最近お嬢様と打ち解けてらっしゃる。
 良いことだ。
 良いことなのだが…どうしても堪えきれない。
 私はエルナ。
 ムーンライト侯爵家に使えるメイド、その長であるメイド長である。
 お嬢様と呼ぶのが嫌になっているのはおそらく私だけだろう。
 できるならば…。
 いや、今そんなことを考えても仕方ない。
 私にできるのはルナ様…いえ、お嬢様を見守り、支えることだ。
 陰ながら支えられれば、と願いこうしてメイド長に就任し嬉しく思うと共に、責任重大なのも重々承知だ。
 微力ながら力になれているだろうか。
 ちゃんと私に懐いてくれているのだろうか。
 親のような……親が感じるような疑問が私の胸を不安にさせる。
 私は今日何回目かわからないため息をついた。
「エルナ様」
 後ろから呼ばれ、私はしまった、と思った。
 人がいることに気づかなかったのだ。
 私は後ろを振り向き、
「なんですか?」
とさも何でも無さそうな口調でそう言った。
 平常心、平常心。
「いえ、エルナ様が疲れてらっしゃるように感じたのでで」
 私が振り向いた先にいたのはメイドのルカだった。
「疲れてはいないのですが…ただ…」
 私は努めて平常に聞こえるように言った。
「ただ?」
 ルカが深掘りしてくる。
 妖精族(エルフ)は好奇心旺盛なのだ。
 いきなり私の中にある何かが決壊しそうになる。
 私は、その日、罪を犯した。
 約束を破るという大罪を。
 ムーンライト家を裏切るようなことを。
 神様がいるのなら許してくれる。
 私はそう願い、信じていた。
 ルカにはしっかりと口止めしておいた。
 妖精族(エルフ)は口が堅いのでも有名だ。
 誰かに話したことでスッキリしたな。
「さて、仕事頑張りますか」
 エルナは今日もメイド長として、ムーンライト家をまとめる。
 今日も、明日も、その先も。
 そう信じて疑わなかった。
 お嬢様の成長を…この目で見れるのだと。
 ルナ様の成長を…見続けられるのだと__

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

〈基本ステータス〉
 個体名:ルナ・ムーンライト
 二つ名:無し
 年齢 :0
 職業 :無職
 レベル:1
 筋力 :1
 敏捷力:1
 精神力:943
 体力 :1
 魔力 :2943
 耐性 :無し
 加護 :転生者の加護
 称号 :無し
 技能(アーツ) :無し
 使用可能魔法:無し
 主神スキル :[陰影(カゲノモト)]Level1
 主神権能  :[影纏(シャドウウェア)][影縫(シャドウソーイング)
 保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level2 [食事]Level4[思考加速]Level5[鑑定]Level3[魔力感知]Level5[魔力操作]Level5[聴力強化]Level2
 保持タイトル:無し


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 私はムーンライト家使用人のルカ。
 先日生まれたお嬢様の専属使用人へと抜擢された。
 誇らしいばかりである。
 これも努力の積み重ねによる結果だろう。
 まさかあんな過去があるのに侯爵家令嬢の専属使用人に選ばれるとは。
 仕事内容はお嬢様の給仕、洗濯、部屋の管理、引率、監視?というか見張る感じ、などだ。
 私はお嬢様の様子を見にお嬢様の自室へと向かった。
 私が部屋に入ろうとドアノブを回すと、中からバタバタと音が聞こえてくる。
 何かあったのかと思い、急いで扉を開けてみると、本を持ってベッドにいるお嬢様が。
 お嬢様は本を隠そうと必死になっている。
 本当に赤ちゃんなのだろうか?
 本のタイトルは『世界の図鑑』?
 大人向けの本だ。
 絵本なら納得できるものの、図鑑や魔導書をこの子は読む。
 この時から私はお嬢様のことを気味悪がる様になったのだ。
 なぜかいつも理解しているかのように本を見る。
 私たち使用人にまで気を遣ってくれる。
 常に視線が彷徨っていて、夜以外はあまり寝ない。
 これだけ聞くと、良い子のように思えるが、そんなことはない。
 まだ生まれて間もないのにお嬢様はおかしい。
 そんな考えが覆されたのはある日のことだった。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
 私がいつものようにお嬢様の給仕をしていると、お嬢様から受け取った哺乳瓶を落として割りそうになった。
「あっ!」
 その瞬間私の脳内には割れたものを掃除するという次の行動が示された。
 お嬢様はベビーベッドの上。
 安全だ。
 私は目を瞑り、頭を庇うように手で覆う。
 しかし音はいつまで経っても聞こえてこない。
 私は薄目を開けた。
 私が落ちてゆく哺乳瓶に目をやると、なんと哺乳瓶がゆっくりと落ちていっていたのだ。
 哺乳瓶の下から風が吹いているのを感じる。
 え?
「まさか……」
 お嬢様が魔法を使って助けてくれた?
 しかも無詠唱で?
 無詠唱で魔法が使えるなど世界にも100人くらいしか…。
 主神スキルの権能ならばおかしくはないけれど…。
 いつも魔法の本や地理の本を見ているので魔法が使えても不思議ではない。
 ただ、私はこれまで気味が悪いと思って扱っていたお嬢様に助けられたことが嬉しかった。
 素直に、純粋に。
 感動したのだ。
 私はお嬢様に対する考えを改めた。
「ありがとうございます」
 私はお嬢様にお礼を言う。
 お嬢様がきょとんとした顔をしているが、演技が上手いものだ。
 心の中では理解しているのだろう。
「………ジュヴザンプリ」
 |妖精《エルフ》語!?
「ッ!?」
 お嬢様はやはり理解していた。
 常人では聞き取られぬほどの小さな声だったが。
 専属メイドたるこの私が聞き逃すわけにはいかないのだ。
 まさか、お嬢様は言語方面も才能があると言うのか?
 どれだけの天才となるのか楽しみだ。
「ふふ、いいんですよ、お嬢様」
 私は、お嬢様と共に人生を生きることを心に決めた。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
ルナside
 本を読んでいるところを見られてしまった。
 怪しまれてる気がする。
 というかこの国にも|妖精族《エルフ》っていたんだ。
 本に書いてあったことによると人族以外はあまり外国に出たがらないらしいのだが。
 それは、第一次世界大戦が影響している。
 今みたいに他種族が隔絶しているような環境じゃなく、種族が仲良くしていた頃。
 第二次世界大戦は人族同士で争い合った戦いであり、魔族は関与していない。
 魔族と人族の戦争で、他の種族は巻き込まれた。
 |妖精族《エルフ》は売られ、|炭鉱族《ドワーフ》は働かされ、|精霊族《スピリッツ》は使役され。
 獣人族は捕まえられ、前線で戦わされた。
 魔族、人族両方がやったこと。
 だから、他種族はあまり人族や魔族の領域に足を踏み入れたがらない。
 今は一時休戦しているものの、戦争が再開された時にまたそのような被害を被る可能性が高いからだ。
 まあ、お金がないとか、売られて人族や魔族の領域に、などの理由でいることもある。
 ルカもなんからの事情があるんだろうな。
 あんなに可愛いのに。
 初|妖精族《エルフ》ということで結構興奮している。
 本当に耳がとんがってる!
 すごーい。
 ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
 いつものご飯の時間。
 哺乳瓶を使用人のルカから受け取る。
 少し恥ずかしいが、これが今の私の食事だ。
 哺乳瓶を咥えてチューチューする。
 ああ、お腹いっぱい。
 赤ちゃんのお腹は意外とすぐ膨れるのだ。
 私は使用人のルカ、、いや、メイドのルカか。
 ルカに哺乳瓶を返し、眠りにつこうとした。
 その時、ルカが手を滑らせてしまったのか、哺乳瓶は下に落ちていった。
 危ない!
 私は風魔法下級[|微風《そよかぜ》]を使う。
 魔法はイメージ、魔法はイメージ。
 咄嗟のことだったので詠唱を破棄してしまったが…。
 ルカに無詠唱で魔法が使えることバレてないよね?
 私は哺乳瓶の下から床へと、床から哺乳瓶へと風を出す。
 私は最近覚えたばっかりの気づかれにくいであろう、風魔法の中で最も弱いと言われるものを使った。
 哺乳瓶はそのままゆっくり落ちていき、床に静止した。
「ありがとうございます」
と言われ、私はきょとんとした顔をした。
 なぜお礼を言われるのだろう。
 そんなに大層なことをしただろうか。
 大袈裟だなあ。
 でも、もらえる感謝は受け取っておこう。
 損はしない。
 私は[全言語理解]を持っている。
 つまり、
「………ジュヴザンプリ」
 |妖精《エルフ》語も話せる、と言うことだ。
 傍から見たら変な言葉で、変な光景だろう。
 でも、私たちはこの時つながり合っていた。
 この事件を機に、ルカのそっけなさもなくなった気がする。
 なんだか可愛がられているような…。
 |妖精族《エルフ》直々に可愛がってもらえるなんて、幸せだなぁ〜。
⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎
メイド長エルナside
 ルカが最近お嬢様と打ち解けてらっしゃる。
 良いことだ。
 良いことなのだが…どうしても堪えきれない。
 私はエルナ。
 ムーンライト侯爵家に使えるメイド、その長であるメイド長である。
 お嬢様と呼ぶのが嫌になっているのはおそらく私だけだろう。
 できるならば…。
 いや、今そんなことを考えても仕方ない。
 私にできるのはルナ様…いえ、お嬢様を見守り、支えることだ。
 陰ながら支えられれば、と願いこうしてメイド長に就任し嬉しく思うと共に、責任重大なのも重々承知だ。
 微力ながら力になれているだろうか。
 ちゃんと私に懐いてくれているのだろうか。
 親のような……親が感じるような疑問が私の胸を不安にさせる。
 私は今日何回目かわからないため息をついた。
「エルナ様」
 後ろから呼ばれ、私はしまった、と思った。
 人がいることに気づかなかったのだ。
 私は後ろを振り向き、
「なんですか?」
とさも何でも無さそうな口調でそう言った。
 平常心、平常心。
「いえ、エルナ様が疲れてらっしゃるように感じたのでで」
 私が振り向いた先にいたのはメイドのルカだった。
「疲れてはいないのですが…ただ…」
 私は努めて平常に聞こえるように言った。
「ただ?」
 ルカが深掘りしてくる。
 |妖精族《エルフ》は好奇心旺盛なのだ。
 いきなり私の中にある何かが決壊しそうになる。
 私は、その日、罪を犯した。
 約束を破るという大罪を。
 ムーンライト家を裏切るようなことを。
 神様がいるのなら許してくれる。
 私はそう願い、信じていた。
 ルカにはしっかりと口止めしておいた。
 |妖精族《エルフ》は口が堅いのでも有名だ。
 誰かに話したことでスッキリしたな。
「さて、仕事頑張りますか」
 エルナは今日もメイド長として、ムーンライト家をまとめる。
 今日も、明日も、その先も。
 そう信じて疑わなかった。
 お嬢様の成長を…この目で見れるのだと。
 ルナ様の成長を…見続けられるのだと__
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇
〈基本ステータス〉
 個体名:ルナ・ムーンライト
 二つ名:無し
 年齢 :0
 職業 :無職
 レベル:1
 筋力 :1
 敏捷力:1
 精神力:943
 体力 :1
 魔力 :2943
 耐性 :無し
 加護 :転生者の加護
 称号 :無し
 |技能《アーツ》 :無し
 使用可能魔法:無し
 主神スキル :[|陰影《カゲノモト》]Level1
 主神権能  :[|影纏《シャドウウェア》][|影縫《シャドウソーイング》]
 保持スキル :[全言語理解][能力奪取][経験値増加]Level2 [食事]Level4[思考加速]Level5[鑑定]Level3[魔力感知]Level5[魔力操作]Level5[聴力強化]Level2
 保持タイトル:無し