vol.9 音楽で夜が燃えた日
ー/ー いよいよ、ドラマ『コスモ・シンフォニー』の初回放送日。夜23時。
テレビの前に座る人々は、どんな物語が始まるのか、まだ知る由もなかった。
ドラマがスタートし、オープニング映像が流れ始めた。
『FIRE ON THE MERCURY』
燃え尽きる星に 孤独ひとりきりで
振り向けば昨日が 遠ざかる軌道
沈黙の夜は 祈りも届かず
胸の奥でだけ こだまする鼓動
宇宙の壮大な景色を背景に、流れるのは、今まで聞いたことのないような、それでいて壮大で浮遊感のある重厚なサウンドだった。
FIRE ON THE MERCURY
光と闇を裂いて 叫べ
絶望やみさえ焼き尽くす この炎で
孤独ひとりじゃない
星の彼方へ響け 疾はしる命で
夜空を焦がして 未来だけを信じるんだ
テレビを見ている誰もが、その音の圧倒的力強さに度肝を抜かれた。
「なんだこれ!?」 「何この曲!めちゃくちゃカッコいい!」 「ユーロビート……だけど、なんか違う!スケールがデカすぎる!」 「このサウンド、最高だろ!」
梓は、自宅のテレビの前で呆然としていた。まるで、魂に炎が灯り、今までの自分ではなくなったような衝撃。先日、CMで聴いた時の「なにこれ!」という感覚が、何倍にもなって押し寄せてくる。その圧倒的なサウンドに、梓は言葉を失っていた。
(この曲……!こんなの、今まで聴いたことない!)
彼女の頭の中では、公園で目撃したけんたろうの姿と、先日見た音楽室での彼の指の動きが、はっきりと繋がろうとしていた。まさか、本当に……。
♪ ♪ ♪
その頃、綾音は自宅でテレビにかじりつき、にやにやと口元を緩ませていた。
「ふふふ……どうですか、皆さん。これが、Synaptic Driveの、けんたろうくんの音楽ですよ!」
誇らしげな表情で、テレビ画面に映る『FIRE ON THE MERCURY』の文字を見つめる。これまで二人三脚で歩んできた彼女にとって、この瞬間は感無量だった。
♪ ♪ ♪
そして、静寂に包まれた一室でテレビを見ていた一条零は、その音が鳴り響いた瞬間、そっと目を閉じた。 感情の昂りはない。ただ、全身でその音を受け止めていた。 それは、探し求めていたパズルの最後のピースが、宇宙の果てから飛来して、寸分の狂いもなく心にはまったかのような、完璧な調和の感覚。
「……来た」
彼女は小さく、しかし確信に満ちて呟いた。
彼女の中で、何層もの静寂が崩れていく。
「遥かな時を超えて彷徨っていた魂が、ようやく還るべき場所を見つけた音…。これは音楽という形をとった、宇宙の“祈り”そのもの…。私の耳は、間違っていなかった」
彼女はそっと胸に手を当てた。そこでは、激しい喜びではなく、まるで神聖な儀式に臨むかのような、静かで荘厳な共鳴だけが起きていた。
「魂が、声を上げている。この音の前では、私もまた…ただの聴き手だ」
誰にも届かない、祈りのようなため息。
「──ようやく、出会えた」
彼女の瞳は、興奮と確信の色を宿していた。感情を露わにすることは滅多にない一条零が、明確に、そして力強く呟いた。
♪ ♪ ♪
オープニング曲の衝撃が覚めやらぬまま、ドラマは本編へ。
孤独な宇宙飛行士が、地球の恋人を想う胸焦がれる物語。
そして、物語の終わりには、さらに心を揺さぶるエンディング曲が流れた。
『UNIVERSE BOY』
I’m a UNIVERSE BOY ひび割れた空へ
誰にも見せない 炎で走る
“あの人”の光が 眩しすぎたから
今度は俺が 夜を焦がす番だ──Fly High!!
「UNIVERSE BOY」の歌詞が、ドラマの物語と深くリンクし、視聴者の心を掴んだ。Synaptic Driveの音楽は、一夜にして多くの人々にその存在を知らしめることとなった。
【ネット民の反応】
「ドラマやばかった!内容もだけど、OPとEDがマジで神曲!!」
「何あのOP!『FIRE ON THE MERCURY』ってタイトルもやばいし、曲の疾走感が半端ない!」
「EDの『UNIVERSE BOY』も最高すぎた……歌詞が泣ける……」
「Synaptic Driveって初めて聞いたけど、こんなすごいバンドがいたのか!?」
「あのキーボード、けんたろうって誰だよ!? 天才か!?」
「一瞬で心奪われた。これは間違いなくブレイクする!」
「こんなクオリティの曲を2曲も提供するとか、どんだけ才能あるんだよ…!」
「Midnight Verdictファンだけど、Synaptic Driveもめちゃくちゃ良いな。これはユーロビートブーム来るぞ!」
「これってMidnight Verdictの二番煎じじゃね?」
「確かにMidnight Verdictとは方向性違うけど、どっちもアツい!もうユーロビートしか勝たん」
「一条零さんが言ってた『気になる作曲家』って、もしかしてこのけんたろうのことだったりして?」
「え、ありえる! 零さんがここまで絶賛するなら、納得のクオリティだわ」
【メディアの反応】
「ドラマ『コスモ・シンフォニー』、主題歌にSynaptic Drive抜擢で大ヒットの予感!」 (TVウォッチャー) 本日放送開始されたドラマ『コスモ・シンフォニー』のオープニングテーマ『FIRE ON THE MERCURY』とエンディングテーマ『UNIVERSE BOY』を手掛けた新人バンドSynaptic Driveが、放送直後から大きな反響を呼んでいる。その革新的なユーロビートサウンドは、視聴者を瞬く間に魅了し、早くも音楽チャートでの躍進が期待されている。
「一条零、その予言が的中か!? 彼女が語った『気になる作曲家』はSynaptic Driveの『けんたろう』だったのか」 (週刊エンタメExpress)
先日、一条零がテレビ番組で言及した「気になる作曲家」について、ドラマ『コスモ・シンフォニー』の主題歌を担当したSynaptic Driveの「けんたろう」である可能性が浮上している。もしこれが事実であれば、一条零の音楽的審美眼の高さが改めて証明される形となる。二人の間に今後どのような関係が生まれるのか、注目される。
♪ ♪ ♪
一条零の元に、真壁から電話が入った。
「零、聴いたか。面白いじゃないか、あの音は。荒削りだが、今のシーンに媚びていない。本物の衝動がある」
「ええ。私が言った通りでしょう?」
静かながらも、零の声には揺るぎない自信が宿っていた。
「ああ。お前の耳は確かだ。…ところで、俺がプロデュースしている音楽特番、もう一枠、彼らをねじ込んでみようか」
真壁の言葉に、零は何も言わなかった。
だが、それが答えだと知っているように、真壁は続けた。
「お前が“魂の対話”をしてみたいと言うのなら、舞台を整えるのが俺の仕事だ」
零「──彼と同じ舞台で?」
真壁「“偶然”じゃない。必然が動いている。」
「……ありがとうございます、真壁さん」
零は静かに笑みを浮かべた。
「ようやく――“音楽”が対話できる時が来た、ということですね」
「礼には及ばん。俺も見てみたいんでな。予測不能な二つの星が衝突した時、一体どんな光が生まれるのかをな」
テレビの前に座る人々は、どんな物語が始まるのか、まだ知る由もなかった。
ドラマがスタートし、オープニング映像が流れ始めた。
『FIRE ON THE MERCURY』
燃え尽きる星に 孤独ひとりきりで
振り向けば昨日が 遠ざかる軌道
沈黙の夜は 祈りも届かず
胸の奥でだけ こだまする鼓動
宇宙の壮大な景色を背景に、流れるのは、今まで聞いたことのないような、それでいて壮大で浮遊感のある重厚なサウンドだった。
FIRE ON THE MERCURY
光と闇を裂いて 叫べ
絶望やみさえ焼き尽くす この炎で
孤独ひとりじゃない
星の彼方へ響け 疾はしる命で
夜空を焦がして 未来だけを信じるんだ
テレビを見ている誰もが、その音の圧倒的力強さに度肝を抜かれた。
「なんだこれ!?」 「何この曲!めちゃくちゃカッコいい!」 「ユーロビート……だけど、なんか違う!スケールがデカすぎる!」 「このサウンド、最高だろ!」
梓は、自宅のテレビの前で呆然としていた。まるで、魂に炎が灯り、今までの自分ではなくなったような衝撃。先日、CMで聴いた時の「なにこれ!」という感覚が、何倍にもなって押し寄せてくる。その圧倒的なサウンドに、梓は言葉を失っていた。
(この曲……!こんなの、今まで聴いたことない!)
彼女の頭の中では、公園で目撃したけんたろうの姿と、先日見た音楽室での彼の指の動きが、はっきりと繋がろうとしていた。まさか、本当に……。
♪ ♪ ♪
その頃、綾音は自宅でテレビにかじりつき、にやにやと口元を緩ませていた。
「ふふふ……どうですか、皆さん。これが、Synaptic Driveの、けんたろうくんの音楽ですよ!」
誇らしげな表情で、テレビ画面に映る『FIRE ON THE MERCURY』の文字を見つめる。これまで二人三脚で歩んできた彼女にとって、この瞬間は感無量だった。
♪ ♪ ♪
そして、静寂に包まれた一室でテレビを見ていた一条零は、その音が鳴り響いた瞬間、そっと目を閉じた。 感情の昂りはない。ただ、全身でその音を受け止めていた。 それは、探し求めていたパズルの最後のピースが、宇宙の果てから飛来して、寸分の狂いもなく心にはまったかのような、完璧な調和の感覚。
「……来た」
彼女は小さく、しかし確信に満ちて呟いた。
彼女の中で、何層もの静寂が崩れていく。
「遥かな時を超えて彷徨っていた魂が、ようやく還るべき場所を見つけた音…。これは音楽という形をとった、宇宙の“祈り”そのもの…。私の耳は、間違っていなかった」
彼女はそっと胸に手を当てた。そこでは、激しい喜びではなく、まるで神聖な儀式に臨むかのような、静かで荘厳な共鳴だけが起きていた。
「魂が、声を上げている。この音の前では、私もまた…ただの聴き手だ」
誰にも届かない、祈りのようなため息。
「──ようやく、出会えた」
彼女の瞳は、興奮と確信の色を宿していた。感情を露わにすることは滅多にない一条零が、明確に、そして力強く呟いた。
♪ ♪ ♪
オープニング曲の衝撃が覚めやらぬまま、ドラマは本編へ。
孤独な宇宙飛行士が、地球の恋人を想う胸焦がれる物語。
そして、物語の終わりには、さらに心を揺さぶるエンディング曲が流れた。
『UNIVERSE BOY』
I’m a UNIVERSE BOY ひび割れた空へ
誰にも見せない 炎で走る
“あの人”の光が 眩しすぎたから
今度は俺が 夜を焦がす番だ──Fly High!!
「UNIVERSE BOY」の歌詞が、ドラマの物語と深くリンクし、視聴者の心を掴んだ。Synaptic Driveの音楽は、一夜にして多くの人々にその存在を知らしめることとなった。
【ネット民の反応】
「ドラマやばかった!内容もだけど、OPとEDがマジで神曲!!」
「何あのOP!『FIRE ON THE MERCURY』ってタイトルもやばいし、曲の疾走感が半端ない!」
「EDの『UNIVERSE BOY』も最高すぎた……歌詞が泣ける……」
「Synaptic Driveって初めて聞いたけど、こんなすごいバンドがいたのか!?」
「あのキーボード、けんたろうって誰だよ!? 天才か!?」
「一瞬で心奪われた。これは間違いなくブレイクする!」
「こんなクオリティの曲を2曲も提供するとか、どんだけ才能あるんだよ…!」
「Midnight Verdictファンだけど、Synaptic Driveもめちゃくちゃ良いな。これはユーロビートブーム来るぞ!」
「これってMidnight Verdictの二番煎じじゃね?」
「確かにMidnight Verdictとは方向性違うけど、どっちもアツい!もうユーロビートしか勝たん」
「一条零さんが言ってた『気になる作曲家』って、もしかしてこのけんたろうのことだったりして?」
「え、ありえる! 零さんがここまで絶賛するなら、納得のクオリティだわ」
【メディアの反応】
「ドラマ『コスモ・シンフォニー』、主題歌にSynaptic Drive抜擢で大ヒットの予感!」 (TVウォッチャー) 本日放送開始されたドラマ『コスモ・シンフォニー』のオープニングテーマ『FIRE ON THE MERCURY』とエンディングテーマ『UNIVERSE BOY』を手掛けた新人バンドSynaptic Driveが、放送直後から大きな反響を呼んでいる。その革新的なユーロビートサウンドは、視聴者を瞬く間に魅了し、早くも音楽チャートでの躍進が期待されている。
「一条零、その予言が的中か!? 彼女が語った『気になる作曲家』はSynaptic Driveの『けんたろう』だったのか」 (週刊エンタメExpress)
先日、一条零がテレビ番組で言及した「気になる作曲家」について、ドラマ『コスモ・シンフォニー』の主題歌を担当したSynaptic Driveの「けんたろう」である可能性が浮上している。もしこれが事実であれば、一条零の音楽的審美眼の高さが改めて証明される形となる。二人の間に今後どのような関係が生まれるのか、注目される。
♪ ♪ ♪
一条零の元に、真壁から電話が入った。
「零、聴いたか。面白いじゃないか、あの音は。荒削りだが、今のシーンに媚びていない。本物の衝動がある」
「ええ。私が言った通りでしょう?」
静かながらも、零の声には揺るぎない自信が宿っていた。
「ああ。お前の耳は確かだ。…ところで、俺がプロデュースしている音楽特番、もう一枠、彼らをねじ込んでみようか」
真壁の言葉に、零は何も言わなかった。
だが、それが答えだと知っているように、真壁は続けた。
「お前が“魂の対話”をしてみたいと言うのなら、舞台を整えるのが俺の仕事だ」
零「──彼と同じ舞台で?」
真壁「“偶然”じゃない。必然が動いている。」
「……ありがとうございます、真壁さん」
零は静かに笑みを浮かべた。
「ようやく――“音楽”が対話できる時が来た、ということですね」
「礼には及ばん。俺も見てみたいんでな。予測不能な二つの星が衝突した時、一体どんな光が生まれるのかをな」
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