青木たちが帰ってくる頃にはすでに、伊沢たちも本部に帰ってきていた。そして青木たちが帰ってくるとさっそく、彼らは六人で集まって話し合いの場を設けた。
「えっとみなさん、お久しぶりです」一番初めに、青木は言った。
「こうして無事にみんなで、伊賀さん以外はですけど、集まれてよかったです。これも麻奈の予言があって、ちゃんとあらかじめ動きを決めてあったからだと思います」
彼らは、事前に京都に災害が起きた日の動きを決めていたのだ。京都に住む堀田がまず結界を強化する。そして他のメンバーはなるべくはやく京都にかけつける。そのための段取りも何もかも全部事前に組んであった。それもこれもすべて、麻奈の予言があったからこそできたことだった。
「本当は正確な日付を予言できればよかったんだけど」麻奈は言う。
「いや、それはしょうがないでしょ。だって、日付を予言したら、予言が変わるんでしょ?」
「そう。あれはすごく気持ち悪かった。私が7月5日にそれが起こるって予言してからもう一度未来を視たら、今度は日付が8月8日とかになってて。まるで、災害が予言から逃げてるみたいだった」
「しょうがなかったと思うよ。たぶんあれでしょ、麻奈とおんなじような能力を持った人間が結界を壊したやつらの中にいたんでしょ」
「それしか考えられないんだけど、でも今でもちょっと信じられない。なんであんなことが起きたんだろう」どうやら彼女にも、何が起きていたのかわからないようだった。
そこで、高田が部屋に入ってくる。
「やあみなさん、おそろいでしたか」高田は言った。
高田は椅子に腰を下ろすと、「ちょっと私も、話し合いにまぜていただけますか? もちろん、必要なことだけ話したらすぐ退室しますので。私には聞かせられない話もあるでしょうから」
「ちょうど高田さんにも言わなきゃいけないことがあったと思うので、いてもらうと助かります。
えっとまず、堀田さん。あの結界のコーティングなんですけど、あれどれくらいもちます?」青木は尋ねた。
「長くて1か月くらいですね。それもぴったりではないと思います。プラスマイナス3日くらいの誤差を見込んでもらえれば、間違いはないと思います」
「1か月しかもたないんですか?」高田は聞き返す。
「コーティングのほうは1か月です。結界本体は、600年とかはもつんじゃないんでしょうか。なにしろ、数百人単位で張った強力なものですから。
ただ、コーティングがないと悪鬼が近づきやすくなったりして、むりやり突破されるリスクが出てくるので、コーティングなしだと悪鬼を閉じ込めるのは無理でしょうね」彼は説明した。
「なるほど。つまりは、1か月以内にこの問題を解決するか、あるいは1か月以内に結界のコーティングとやらをし直すかすれば、1か月後も被害は拡大せずに済む、ということでいいんでしょうか?」高田は尋ねた。
「そうです」
「なるほど。あ、ちなみになんですが、生きている京都市民は全員、結界の外へ避難しました。上空から確認できた限りでは、ですが。
あれから、みなさんが悪鬼を倒して通れるようにしてくれた道から、ちらほらと歩いて逃げ出されるかたがいらっしゃって。我々でその人たちを保護しました。これもみなさんのおかげです。ありがとうございます」
高田の報告を聞いた6人は安堵の表情を見せる。
「それで、これからみなさんはどうされるんですか? やはり、悪鬼の討伐をされるんですか?」
「はい。それはもうすでに前の話し合いで決まっていて、これから悪鬼を一掃していくつもりです」青木は答えた。
「なるほど。わかりました。聞きたかったのはそれだけです。突然お邪魔してすみませんでした。私はこれで失礼します」
高田は席を立つと、立ち去った。
「じゃあ、次に明日の動きなんですけど、何人にわかれて動いていったほうがいいとか、こうしたほうがいいんじゃないかっていうような意見とか、なんかありますか?」
少しのあいだ沈黙が続いたあと、村山が「二人組で分かれたほうがいいと、思います。安全性と効率を考えたらそれぐらいがいいんじゃないかなって」
「うん。俺も村山君と同意見で、二人組のがいいかなって思ってるんだけど、他に意見のある人はいますか?」
「二人で分かれるとして、伊賀さん含めると7人なので、最後が一人になるか、3人組になるかっていうところなんですけど、そこはどうしますか?」堀田は尋ねた。
「それはどこかの組を3人組にしたほうがいいと思います。さすがに一人は危ないと思うんで」小野田は言う。
「うん、小野田ちゃんの言う通りだと思う。ただまあ、誰と誰を組ませるか決めるのは、まだちょっと伊賀さんがいないから、明日決めるほうがいいなって思うんだよね。その日のみんなの調子とかもあると思うから」
全員がうなずくのを見ると、「じゃあ今日はこれで解散で。みなさん、お疲れさまでした」と青木は言った。