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マジかよ、なんかこれってお見合いみたいじゃねーか!
「タケルには雨風をしのげる軒先に、おいしいご飯を作ってもらってます。それに年齢もほとんど一緒ですし、共に物怪を退治してもらってます。好きとか……そういった物差しではもう言い表せないほどですから」
固まった……コタロー以外全員。
アケビに至っては全身の力が一気に抜けちゃったみたいに、ヘナヘナと腰から崩れ落ちちゃったし。
つーか俺男だぞ! そんなことで好きとかいわれても困るし。スマホゲーとかマンガのコーナーにあるみたいな……BLみたいなことされてもなあ。
いや、一緒に風呂も入ったけどね。さっきパンツも貸したけどね。

すると突然アケビは「ならば!」と勢いよく立ち上がったんだ。やべーよリベンジかよ!
「足臭オオカミさん、私と勝負してください!」
「え……はい?」予想通りの展開かなとは思ったけど、勝負ってどういうこと? もしや……
「勝った方がコタローさんと結婚するのです……ってきゃっ!」
アケビの頭の上に飛び乗ったアニキが、そのままアケビの頭にゲンコツを見舞ったんだ。そりゃアニキは小さいままだから、全然威力なかったけどね。
「バッキャロー! ずっとガマンして聞いてりゃ暴走しまくりやがって!」
「お兄ちゃんはだまって……ってきゃぁぁあ!」すげえ、ぽかぽか連打してくるし。
コタローがやめてくださいって止めてようやく収まったけど、その……俺はどうすりゃいいのか迷うばかり。
「分かってンだろ! 俺たちは人間の手を逃れてここまで来たんだってことを。それが逆に人間に惚れちまってどうするんだ? 少なくともお前は、アケビは……」

頭の上で、アニキもひざからガクッと崩れ落ちちゃった。
「いい生活力のある強いオトコと結ばれて、元気な子供をたくさん作って、また故郷を栄えさせるって俺たちと約束したじゃねえか……」
アニキ、いやアケビもそれほどまでに故郷を想ってるんだな。だけど……彼女の方はそうじゃなかった。
「離れて!」手にした鵼斬りが、鞘の中でカタカタと震え出してたんだ。

「ドウシテ……ドウシテ」
はっきりと見えた。アケビの身体の周りから粘り気のような、重い気が発せられていることに。
そして瞳も真っ赤に染まってきた。そうだ、血のように赤黒く!
「なゼ、ここマでこたろーサマを好きニなってしマッタノニ、みんナ邪魔をスルの!?」
アケビの声で窓ガラスがビリビリ震え出す。どうしちゃったんだよ!
「ミンナ……ミんナ大嫌いだ……」
「アケビ落ち着け、お前は間違ってる、もう一度話し合おう!」
「話しアッテどうなルノダ! 貴様はもウこの姿にナルことも出来ナイではないカ!」
だんだん口調もヤバくなってきた。
「アケビさん、お兄さんの言うとおりです。結婚はできなくとも、みんなで仲良く共に生きること。それこそが僕とあなたとの理想の姿なのではないでしょうか?」
「こたろー……我は貴様トヒトツになりタかっタのだ!」
「僕は、あなたを斬りたくない!」
なんてこった……もうコタローの説得まで受け入れられなくなっちゃったのかよ! どうすりゃいいんだ。
アケビの口が大きく裂け、鋭く長い牙がたくさん生えてきた……さっきまであんなにかわいい姿してたのに。

「なあアケビ。その姿、怖いからさ……元に戻ってよ。みんなドン引きしちゃってるじゃん。ね?」
「ケッ、足ガ臭いだけでなんノ取リ柄モないクソ狼ガ! 貴様コソ黙っテいろ!」

おいこらアケビ、一言余計だろーが!


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マジかよ、なんかこれってお見合いみたいじゃねーか!
「タケルには雨風をしのげる軒先に、おいしいご飯を作ってもらってます。それに年齢もほとんど一緒ですし、共に物怪を退治してもらってます。好きとか……そういった物差しではもう言い表せないほどですから」
固まった……コタロー以外全員。
アケビに至っては全身の力が一気に抜けちゃったみたいに、ヘナヘナと腰から崩れ落ちちゃったし。
つーか俺男だぞ! そんなことで好きとかいわれても困るし。スマホゲーとかマンガのコーナーにあるみたいな……BLみたいなことされてもなあ。
いや、一緒に風呂も入ったけどね。さっきパンツも貸したけどね。
すると突然アケビは「ならば!」と勢いよく立ち上がったんだ。やべーよリベンジかよ!
「足臭オオカミさん、私と勝負してください!」
「え……はい?」予想通りの展開かなとは思ったけど、勝負ってどういうこと? もしや……
「勝った方がコタローさんと結婚するのです……ってきゃっ!」
アケビの頭の上に飛び乗ったアニキが、そのままアケビの頭にゲンコツを見舞ったんだ。そりゃアニキは小さいままだから、全然威力なかったけどね。
「バッキャロー! ずっとガマンして聞いてりゃ暴走しまくりやがって!」
「お兄ちゃんはだまって……ってきゃぁぁあ!」すげえ、ぽかぽか連打してくるし。
コタローがやめてくださいって止めてようやく収まったけど、その……俺はどうすりゃいいのか迷うばかり。
「分かってンだろ! 俺たちは人間の手を逃れてここまで来たんだってことを。それが逆に人間に惚れちまってどうするんだ? 少なくともお前は、アケビは……」
頭の上で、アニキもひざからガクッと崩れ落ちちゃった。
「いい生活力のある強いオトコと結ばれて、元気な子供をたくさん作って、また故郷を栄えさせるって俺たちと約束したじゃねえか……」
アニキ、いやアケビもそれほどまでに故郷を想ってるんだな。だけど……彼女の方はそうじゃなかった。
「離れて!」手にした鵼斬りが、鞘の中でカタカタと震え出してたんだ。
「ドウシテ……ドウシテ」
はっきりと見えた。アケビの身体の周りから粘り気のような、重い気が発せられていることに。
そして瞳も真っ赤に染まってきた。そうだ、血のように赤黒く!
「なゼ、ここマでこたろーサマを好きニなってしマッタノニ、みんナ邪魔をスルの!?」
アケビの声で窓ガラスがビリビリ震え出す。どうしちゃったんだよ!
「ミンナ……ミんナ大嫌いだ……」
「アケビ落ち着け、お前は間違ってる、もう一度話し合おう!」
「話しアッテどうなルノダ! 貴様はもウこの姿にナルことも出来ナイではないカ!」
だんだん口調もヤバくなってきた。
「アケビさん、お兄さんの言うとおりです。結婚はできなくとも、みんなで仲良く共に生きること。それこそが僕とあなたとの理想の姿なのではないでしょうか?」
「こたろー……我は貴様トヒトツになりタかっタのだ!」
「僕は、あなたを斬りたくない!」
なんてこった……もうコタローの説得まで受け入れられなくなっちゃったのかよ! どうすりゃいいんだ。
アケビの口が大きく裂け、鋭く長い牙がたくさん生えてきた……さっきまであんなにかわいい姿してたのに。
「なあアケビ。その姿、怖いからさ……元に戻ってよ。みんなドン引きしちゃってるじゃん。ね?」
「ケッ、足ガ臭いだけでなんノ取リ柄モないクソ狼ガ! 貴様コソ黙っテいろ!」
おいこらアケビ、一言余計だろーが!