逢いたいが情、みたいが病Ⅳ Love longs , and longing aches.
ー/ー 初めて来たビストロは予想外に落ち着いた雰囲気で、隠れ家的なレストランじゃないか。
へぇー。
紅緒も興味深げに店内を見回している。
田中は常連のようで、そのお陰か予約なしでもテーブル席、それも良い席を案内してもらえた。
これはラッキーだ。
奥に紅緒が、続いて僕が席に座る。
紅緒の向かいに田中、僕の前に崇直が座った。
「おじゃましてまーす」
厨房に向かい田中が挨拶をする。カウンターからシェフらしき人が笑顔で応えていた。
異国感のある黒のコックコートに、フランス国旗色のネッカチーフ。
店内もフランスの香りが漂う飾り付けが施され、なかなかにお洒落な店だ。
これって、シェフの趣味かな。
早速ギャルソンがメニューを持って田中の左に立ち、今日のおすすめなんかを説明している。
合わせるならハウスワインらしい。
オーダーを済ませたのを見て、崇直が田中に予算内で大丈夫かと確認してる。
その様子を見てると、崇直らしいなぁと思わず顔がほころぶよ。
田中もそこは分かってるのか、自信満々に親指を立てて笑っていた。
ガルバンゾーとホタテのサラダが運ばれてきた。二種類のサラダって、良いセンスしてるなぁ。
「ガルバンゾーだ。べー、崇直、この豆美味しんだよ」
そう言ったら田中が嬉しそうにサーバーを手に、取り分けてくれた。
「フムスなんて最高だよね」
「みてみて、わーちゃん」
紅緒が取り分けられた皿を僕に見せる。
「このお豆、ホントぴーちゃんににてるよね」
右手にナイフ左手にフォークを握ったままだ。
食う気、満々だな。
サラダを食べ終わるタイミングでメインがやって来た。
子羊のロースト、骨付きラムラックだ。それに豚ロースの煮込み、ブイヤベース。
豚はトマト煮、ああプロバンズ風に仕上げてあるのか。
初夏って感じだな。
ブイヤベースはホウボウが贅沢に一匹入ってる。
僕はこのチョイスで、田中がとても好きになった。
貝好きな紅緒のために頼んだブイヤベース、腹減ってるだろう男性陣へは肉料理。
しかも女性受けの良いラム肉を選んだ辺り、本当に常連客なんだなと分かった。
ラムはなんてったて崇直の好物だしな。
あ、そうだった。田中は直樹の親友だったんだ。
変な勘ぐりして、ちょっと自己嫌悪だな、こりゃ。
直樹、ごめん。
「予算は一人二千円以内だぞ田中」
豪華なメニューに崇直が慌てたようだ。
「そんな心配しなさんなって。予算内に収まっているから」
「フランス料理なのに?」
「そうだよ、べーちゃん。ビストロだからね。そうそう、ここの子羊は絶品だから、ちょっと待って」
ラムラックを上手に切り分け、田中がサーブしてくれた。
もしかして、ここでバイト経験あるのかな。
卒なく人数分を取り分け、早速いただく。
あ、この味。
両親とフランス旅行先で食べたラムラックと同じ味だ。
フランスから取り寄せてるのかな。
それともたまたま手に入ったのか。
また、田中が残りの料理を取り分けてる。
この人、思った以上に世話焼きだなぁ。崇直といい勝負だ。
紅緒の皿にはアサリがてんこ盛りときた。
料理はどれも美味しくて、気がついたら全部食べていた。
お腹いっぱいで、幸せな気分になる。
思わず息が漏れるよ。
店内を見渡すとシェフがテーブルを回っていた。
「今夜はご来店ありがとうございます。お味はいかがですか」
紅緒がちょうど最後の一口を食べたところだ。
「美味しかったです。特にブイヤベース、アサリがいい出汁出てて、身も大きくて」
「ありがとうございます。アサリは昨日から砂抜きしてしっかり臭みも取りました。お口にあって良かったです」
シェフはそれぞれに柔和な笑顔で話しかけてくれた。
崇直が得意のスマイルで対応してる。
「全部美味しかったです」
「川崎さん、この笑顔のステキな彼が同期の笠神」
あはは、笑顔のステキな彼は受けるわ。田中、ナイスな紹介。
「笠神崇直です。豚ロース最高でした。柔らかくて、濃厚でコクがあって、そしてキレもあって」
おいおい崇直、それじゃ棒読みだよ。
「それは、ありがとうございます」
ほら、シェフも笑いこらえてるぞ。
「で、こちらの女性は俺の後輩庵野紅緒、そして奥が二人の友人日向くんだ」
「日向亘といいます。アニョーは、やはりフランス産の……」
え、何で急にみんな黙るの。
僕、変なこと訊いた?
だって、ラムラックってそういうもんでしょ?
「ええ、ブレス産のお肉を使ってます」
やっぱり。
あの時と同じ味だったから確かめたかっただけなんだが、そこ突っ込んじゃダメだったのか?
崇直が睨んできた。
へぇー。
紅緒も興味深げに店内を見回している。
田中は常連のようで、そのお陰か予約なしでもテーブル席、それも良い席を案内してもらえた。
これはラッキーだ。
奥に紅緒が、続いて僕が席に座る。
紅緒の向かいに田中、僕の前に崇直が座った。
「おじゃましてまーす」
厨房に向かい田中が挨拶をする。カウンターからシェフらしき人が笑顔で応えていた。
異国感のある黒のコックコートに、フランス国旗色のネッカチーフ。
店内もフランスの香りが漂う飾り付けが施され、なかなかにお洒落な店だ。
これって、シェフの趣味かな。
早速ギャルソンがメニューを持って田中の左に立ち、今日のおすすめなんかを説明している。
合わせるならハウスワインらしい。
オーダーを済ませたのを見て、崇直が田中に予算内で大丈夫かと確認してる。
その様子を見てると、崇直らしいなぁと思わず顔がほころぶよ。
田中もそこは分かってるのか、自信満々に親指を立てて笑っていた。
ガルバンゾーとホタテのサラダが運ばれてきた。二種類のサラダって、良いセンスしてるなぁ。
「ガルバンゾーだ。べー、崇直、この豆美味しんだよ」
そう言ったら田中が嬉しそうにサーバーを手に、取り分けてくれた。
「フムスなんて最高だよね」
「みてみて、わーちゃん」
紅緒が取り分けられた皿を僕に見せる。
「このお豆、ホントぴーちゃんににてるよね」
右手にナイフ左手にフォークを握ったままだ。
食う気、満々だな。
サラダを食べ終わるタイミングでメインがやって来た。
子羊のロースト、骨付きラムラックだ。それに豚ロースの煮込み、ブイヤベース。
豚はトマト煮、ああプロバンズ風に仕上げてあるのか。
初夏って感じだな。
ブイヤベースはホウボウが贅沢に一匹入ってる。
僕はこのチョイスで、田中がとても好きになった。
貝好きな紅緒のために頼んだブイヤベース、腹減ってるだろう男性陣へは肉料理。
しかも女性受けの良いラム肉を選んだ辺り、本当に常連客なんだなと分かった。
ラムはなんてったて崇直の好物だしな。
あ、そうだった。田中は直樹の親友だったんだ。
変な勘ぐりして、ちょっと自己嫌悪だな、こりゃ。
直樹、ごめん。
「予算は一人二千円以内だぞ田中」
豪華なメニューに崇直が慌てたようだ。
「そんな心配しなさんなって。予算内に収まっているから」
「フランス料理なのに?」
「そうだよ、べーちゃん。ビストロだからね。そうそう、ここの子羊は絶品だから、ちょっと待って」
ラムラックを上手に切り分け、田中がサーブしてくれた。
もしかして、ここでバイト経験あるのかな。
卒なく人数分を取り分け、早速いただく。
あ、この味。
両親とフランス旅行先で食べたラムラックと同じ味だ。
フランスから取り寄せてるのかな。
それともたまたま手に入ったのか。
また、田中が残りの料理を取り分けてる。
この人、思った以上に世話焼きだなぁ。崇直といい勝負だ。
紅緒の皿にはアサリがてんこ盛りときた。
料理はどれも美味しくて、気がついたら全部食べていた。
お腹いっぱいで、幸せな気分になる。
思わず息が漏れるよ。
店内を見渡すとシェフがテーブルを回っていた。
「今夜はご来店ありがとうございます。お味はいかがですか」
紅緒がちょうど最後の一口を食べたところだ。
「美味しかったです。特にブイヤベース、アサリがいい出汁出てて、身も大きくて」
「ありがとうございます。アサリは昨日から砂抜きしてしっかり臭みも取りました。お口にあって良かったです」
シェフはそれぞれに柔和な笑顔で話しかけてくれた。
崇直が得意のスマイルで対応してる。
「全部美味しかったです」
「川崎さん、この笑顔のステキな彼が同期の笠神」
あはは、笑顔のステキな彼は受けるわ。田中、ナイスな紹介。
「笠神崇直です。豚ロース最高でした。柔らかくて、濃厚でコクがあって、そしてキレもあって」
おいおい崇直、それじゃ棒読みだよ。
「それは、ありがとうございます」
ほら、シェフも笑いこらえてるぞ。
「で、こちらの女性は俺の後輩庵野紅緒、そして奥が二人の友人日向くんだ」
「日向亘といいます。アニョーは、やはりフランス産の……」
え、何で急にみんな黙るの。
僕、変なこと訊いた?
だって、ラムラックってそういうもんでしょ?
「ええ、ブレス産のお肉を使ってます」
やっぱり。
あの時と同じ味だったから確かめたかっただけなんだが、そこ突っ込んじゃダメだったのか?
崇直が睨んできた。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
初めて来たビストロは予想外に落ち着いた雰囲気で、隠れ家的なレストランじゃないか。
へぇー。
紅緒も興味深げに店内を見回している。
へぇー。
紅緒も興味深げに店内を見回している。
田中は常連のようで、そのお陰か予約なしでもテーブル席、それも良い席を案内してもらえた。
これはラッキーだ。
奥に紅緒が、続いて僕が席に座る。
紅緒の向かいに田中、僕の前に崇直が座った。
これはラッキーだ。
奥に紅緒が、続いて僕が席に座る。
紅緒の向かいに田中、僕の前に崇直が座った。
「おじゃましてまーす」
厨房に向かい田中が挨拶をする。カウンターからシェフらしき人が笑顔で応えていた。
異国感のある黒のコックコートに、フランス国旗色のネッカチーフ。
店内もフランスの香りが漂う飾り付けが施され、なかなかにお洒落な店だ。
これって、シェフの趣味かな。
異国感のある黒のコックコートに、フランス国旗色のネッカチーフ。
店内もフランスの香りが漂う飾り付けが施され、なかなかにお洒落な店だ。
これって、シェフの趣味かな。
早速ギャルソンがメニューを持って田中の左に立ち、今日のおすすめなんかを説明している。
合わせるならハウスワインらしい。
合わせるならハウスワインらしい。
オーダーを済ませたのを見て、崇直が田中に予算内で大丈夫かと確認してる。
その様子を見てると、崇直らしいなぁと思わず顔がほころぶよ。
田中もそこは分かってるのか、自信満々に親指を立てて笑っていた。
その様子を見てると、崇直らしいなぁと思わず顔がほころぶよ。
田中もそこは分かってるのか、自信満々に親指を立てて笑っていた。
|ガルバンゾー《ひよこ豆》とホタテのサラダが運ばれてきた。二種類のサラダって、良いセンスしてるなぁ。
「ガルバンゾーだ。べー、崇直、この豆美味しんだよ」
そう言ったら田中が嬉しそうにサーバーを手に、取り分けてくれた。
「フムスなんて最高だよね」
「みてみて、わーちゃん」
紅緒が取り分けられた皿を僕に見せる。
「このお豆、ホントぴーちゃんににてるよね」
右手にナイフ左手にフォークを握ったままだ。
食う気、満々だな。
食う気、満々だな。
サラダを食べ終わるタイミングでメインがやって来た。
子羊のロースト、骨付き|ラムラック《子羊の背肉》だ。それに豚ロースの煮込み、ブイヤベース。
豚はトマト煮、ああプロバンズ風に仕上げてあるのか。
初夏って感じだな。
ブイヤベースはホウボウが贅沢に一匹入ってる。
子羊のロースト、骨付き|ラムラック《子羊の背肉》だ。それに豚ロースの煮込み、ブイヤベース。
豚はトマト煮、ああプロバンズ風に仕上げてあるのか。
初夏って感じだな。
ブイヤベースはホウボウが贅沢に一匹入ってる。
僕はこのチョイスで、田中がとても好きになった。
貝好きな紅緒のために頼んだブイヤベース、腹減ってるだろう男性陣へは肉料理。
しかも女性受けの良いラム肉を選んだ辺り、本当に常連客なんだなと分かった。
ラムはなんてったて崇直の好物だしな。
貝好きな紅緒のために頼んだブイヤベース、腹減ってるだろう男性陣へは肉料理。
しかも女性受けの良いラム肉を選んだ辺り、本当に常連客なんだなと分かった。
ラムはなんてったて崇直の好物だしな。
あ、そうだった。田中は直樹の親友だったんだ。
変な勘ぐりして、ちょっと自己嫌悪だな、こりゃ。
直樹、ごめん。
変な勘ぐりして、ちょっと自己嫌悪だな、こりゃ。
直樹、ごめん。
「予算は一人二千円以内だぞ田中」
豪華なメニューに崇直が慌てたようだ。
「そんな心配しなさんなって。予算内に収まっているから」
「フランス料理なのに?」
「そうだよ、べーちゃん。ビストロだからね。そうそう、ここの子羊は絶品だから、ちょっと待って」
ラムラックを上手に切り分け、田中がサーブしてくれた。
もしかして、ここでバイト経験あるのかな。
卒なく人数分を取り分け、早速いただく。
もしかして、ここでバイト経験あるのかな。
卒なく人数分を取り分け、早速いただく。
あ、この味。
両親とフランス旅行先で食べたラムラックと同じ味だ。
フランスから取り寄せてるのかな。
それともたまたま手に入ったのか。
両親とフランス旅行先で食べたラムラックと同じ味だ。
フランスから取り寄せてるのかな。
それともたまたま手に入ったのか。
また、田中が残りの料理を取り分けてる。
この人、思った以上に世話焼きだなぁ。崇直といい勝負だ。
紅緒の皿にはアサリがてんこ盛りときた。
この人、思った以上に世話焼きだなぁ。崇直といい勝負だ。
紅緒の皿にはアサリがてんこ盛りときた。
料理はどれも美味しくて、気がついたら全部食べていた。
お腹いっぱいで、幸せな気分になる。
思わず息が漏れるよ。
お腹いっぱいで、幸せな気分になる。
思わず息が漏れるよ。
店内を見渡すとシェフがテーブルを回っていた。
「今夜はご来店ありがとうございます。お味はいかがですか」
紅緒がちょうど最後の一口を食べたところだ。
「美味しかったです。特にブイヤベース、アサリがいい出汁出てて、身も大きくて」
「ありがとうございます。アサリは昨日から砂抜きしてしっかり臭みも取りました。お口にあって良かったです」
シェフはそれぞれに柔和な笑顔で話しかけてくれた。
崇直が得意のスマイルで対応してる。
「全部美味しかったです」
「川崎さん、この笑顔のステキな彼が同期の笠神」
あはは、笑顔のステキな彼は受けるわ。田中、ナイスな紹介。
「笠神崇直です。豚ロース最高でした。柔らかくて、濃厚でコクがあって、そしてキレもあって」
おいおい崇直、それじゃ棒読みだよ。
「それは、ありがとうございます」
ほら、シェフも笑いこらえてるぞ。
「で、こちらの女性は俺の後輩庵野紅緒、そして奥が二人の友人日向くんだ」
「日向亘といいます。|アニョー《子羊》は、やはりフランス産の……」
え、何で急にみんな黙るの。
僕、変なこと訊いた?
だって、ラムラックってそういうもんでしょ?
僕、変なこと訊いた?
だって、ラムラックってそういうもんでしょ?
「ええ、ブレス産のお肉を使ってます」
やっぱり。
あの時と同じ味だったから確かめたかっただけなんだが、そこ突っ込んじゃダメだったのか?
崇直が睨んできた。
あの時と同じ味だったから確かめたかっただけなんだが、そこ突っ込んじゃダメだったのか?
崇直が睨んできた。