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でもってあのめちゃくちゃ口の悪いイタチの乱入から3日ほどして。あれ以来コタローは家には来ていない。なんかあいつと会わないのってこれほどまでに寂しい気持ちなのかな、なんてちょっと心の奥底で感じたりしてきた。
でもって俺はというと、あいつに教わった神速法をもっと極めなきゃと思って、毎夜駐車場でせっせと修行中。

この前突然出来たのは、俺としてもまぐれなんじゃないかと思ってるし。いわゆるビギナーズラック? それにコタローも「人間の状態で極めておけば、ワーウルフになった時も爆発的な速度を生み出せるはずです!」って豪語してたんだよね。
そう、この先きっと変なバケモノが、また俺やジンの前に現れるはず。
2人に恥じないためにも、俺は……

「あの……」
耳元で女の子の声がして、思わず飛び上がった!
けど、辺りを見回しても誰もいない。
え、つまりはもしかして、幽霊!?
「大丈夫ですか?」
「うひゃあ!」幽霊の声に俺はつい変な声出しちゃったし!
「え、あわわわ、あの、ごめんなさい! わたし襲う気はないですから!」
「え!?」その声がする足元をのぞき込むと……いた!
この前家に来たアニキよりひと回り小さな、くりっとした大きな目をしたメス……じゃないイタチの女の子だ。
おっとりした喋り方もそうだけど、左の耳に小さな花をアクセサリー代わりにさしている。なんかとってもかわいい。
なるほど、つまり彼女は!

「アケビ……ちゃん?」
「うわ、わたしの名前知っていたんですね、うれしい!」
そしてふわっと、風が身体に吹き付けるかのようにアケビは俺の身体を登り、瞬く間に左肩の上にちょこんと座ったんだ。
「兄さんから聞いたんです。えっと……お名前、足臭オオカミさんでいいんですよね?」

や め ろ。

「なんか……その名前はアレだから、タケルでいいよ」
そりゃそーだ。こんなかわいいイタチの女の子に足臭なんて呼ばれると、マジで心折れそうになる!

「いいんですかその名前で? 足臭オオカミさんの方が特徴をよく表していてカッコいいと思うんですけど……?」

全 然 カ ッ コ よ く ねーから!

「私たちの中では、名前を付けられること自体すごく名誉なんです。つまりタケルさんの通り名であり二つ名ですね、そう……」
アケビの顔、めっちゃ嬉しそうで俺ももう言い返せなかった。
「猛き足臭のオオカミ……うふふ、タケルさんのお名前を拝借しました。とっても素敵ですよ!」

あああああもう最悪! 疾風のオオカミとか電光とかイカズチとかそれこそカッコいい名前にしてもらいたかった……なんなんだよもう!

まあ気を取り直して、それはそうとなんでまた俺のところに来たんだ……?
「ここ、星降り川は私たちの縄張りなんです。今の時間になるとおなかがすいちゃうんで、木の実が落ちてないか探していたもので」
そっか、イタチは夜行性だったっけか。つまりは食事の時間も今なんだな。
「兄さんや弟は魚が好きなんですが、ちょっとわたしは苦手で……」
「そっか、だからアケビが大好きなんだね」
彼女はふふっと笑ってくれた。「ええ、大好きなんです。兄からは食べすぎると太るぞって注意されているんですけど」

つーかアケビってなんなのさ。今度姉貴にきいてみっかな。どう考えてもアワビの仲間じゃなさそうだし。
「それで……なんですが」
イタチの女の子のアケビは、肩から俺の手のひらへと駆け降りてきた、ほんと可愛いな。あいつとは大違いだ。

「猛き足臭のオオカミさんにぜひともお聞きしたいことがありまして……」なんだろ、急に申し訳なさそうな顔で聞いてきて。

「先日、お兄さんの目を覚ましてもらった時なのですが……」
ちょっと話は長くなる。ので要約。
そう、コタローがあの時話してくれた、傷ついたイタチ。あれは彼女のことだったんだ。
つまり……
「お礼がしたくって、その……コタロー様に!」
なるほどそういうことね。けなげなだなあアケビも。
けどコタローは普通に人間だぞ、この子に会ったところで俺みたく言葉が通じないとどーにもならないんじゃないかな。
てもこれほどまでにお願いされてるんだ、もちろん断るわけにはいかない。
だから彼女と一緒にコタローを捜索することとした。
「うれしい! ありがとうございます足臭オオカミさん!」

だからその呼び方はやめろおおおお!!!


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でもってあのめちゃくちゃ口の悪いイタチの乱入から3日ほどして。あれ以来コタローは家には来ていない。なんかあいつと会わないのってこれほどまでに寂しい気持ちなのかな、なんてちょっと心の奥底で感じたりしてきた。
でもって俺はというと、あいつに教わった神速法をもっと極めなきゃと思って、毎夜駐車場でせっせと修行中。
この前突然出来たのは、俺としてもまぐれなんじゃないかと思ってるし。いわゆるビギナーズラック? それにコタローも「人間の状態で極めておけば、ワーウルフになった時も爆発的な速度を生み出せるはずです!」って豪語してたんだよね。
そう、この先きっと変なバケモノが、また俺やジンの前に現れるはず。
2人に恥じないためにも、俺は……
「あの……」
耳元で女の子の声がして、思わず飛び上がった!
けど、辺りを見回しても誰もいない。
え、つまりはもしかして、幽霊!?
「大丈夫ですか?」
「うひゃあ!」幽霊の声に俺はつい変な声出しちゃったし!
「え、あわわわ、あの、ごめんなさい! わたし襲う気はないですから!」
「え!?」その声がする足元をのぞき込むと……いた!
この前家に来たアニキよりひと回り小さな、くりっとした大きな目をしたメス……じゃないイタチの女の子だ。
おっとりした喋り方もそうだけど、左の耳に小さな花をアクセサリー代わりにさしている。なんかとってもかわいい。
なるほど、つまり彼女は!
「アケビ……ちゃん?」
「うわ、わたしの名前知っていたんですね、うれしい!」
そしてふわっと、風が身体に吹き付けるかのようにアケビは俺の身体を登り、瞬く間に左肩の上にちょこんと座ったんだ。
「兄さんから聞いたんです。えっと……お名前、足臭オオカミさんでいいんですよね?」
や め ろ。
「なんか……その名前はアレだから、タケルでいいよ」
そりゃそーだ。こんなかわいいイタチの女の子に足臭なんて呼ばれると、マジで心折れそうになる!
「いいんですかその名前で? 足臭オオカミさんの方が特徴をよく表していてカッコいいと思うんですけど……?」
全 然 カ ッ コ よ く ねーから!
「私たちの中では、名前を付けられること自体すごく名誉なんです。つまりタケルさんの通り名であり二つ名ですね、そう……」
アケビの顔、めっちゃ嬉しそうで俺ももう言い返せなかった。
「猛き足臭のオオカミ……うふふ、タケルさんのお名前を拝借しました。とっても素敵ですよ!」
あああああもう最悪! 疾風のオオカミとか電光とかイカズチとかそれこそカッコいい名前にしてもらいたかった……なんなんだよもう!
まあ気を取り直して、それはそうとなんでまた俺のところに来たんだ……?
「ここ、星降り川は私たちの縄張りなんです。今の時間になるとおなかがすいちゃうんで、木の実が落ちてないか探していたもので」
そっか、イタチは夜行性だったっけか。つまりは食事の時間も今なんだな。
「兄さんや弟は魚が好きなんですが、ちょっとわたしは苦手で……」
「そっか、だからアケビが大好きなんだね」
彼女はふふっと笑ってくれた。「ええ、大好きなんです。兄からは食べすぎると太るぞって注意されているんですけど」
つーかアケビってなんなのさ。今度姉貴にきいてみっかな。どう考えてもアワビの仲間じゃなさそうだし。
「それで……なんですが」
イタチの女の子のアケビは、肩から俺の手のひらへと駆け降りてきた、ほんと可愛いな。あいつとは大違いだ。
「猛き足臭のオオカミさんにぜひともお聞きしたいことがありまして……」なんだろ、急に申し訳なさそうな顔で聞いてきて。
「先日、お兄さんの目を覚ましてもらった時なのですが……」
ちょっと話は長くなる。ので要約。
そう、コタローがあの時話してくれた、傷ついたイタチ。あれは彼女のことだったんだ。
つまり……
「お礼がしたくって、その……コタロー様に!」
なるほどそういうことね。けなげなだなあアケビも。
けどコタローは普通に人間だぞ、この子に会ったところで俺みたく言葉が通じないとどーにもならないんじゃないかな。
てもこれほどまでにお願いされてるんだ、もちろん断るわけにはいかない。
だから彼女と一緒にコタローを捜索することとした。
「うれしい! ありがとうございます足臭オオカミさん!」
だからその呼び方はやめろおおおお!!!