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ー/ー



ってなわけで一匹倒したはいいけど、残りの連中がとにかくすばしっこくてもう!

つーか時間どれくらいだったのかな。コタローもジンも来てくれねーし、息も上がってきたしで流石に1人じゃ疲れた。

どのくらいこいつと戦ったろう。
緊張がピークになってきたからか、だんだんと頭の中が真っ白になってきた、けど毛に包まれた身体だから引っ掻き攻撃もほとんどダメージを与えてくれない。

ダメだ、やっぱりパンチやキックみたいな打撃しか通らないのかな……なんて考えずに無我夢中に繰り出して。
くそっ、そんなことしてるうちにだんだんと手に力が入らなくなってきた。必殺技(見よう見まね)がことごとく空振りに終わるんだもん。2Dの格ゲーだったら絶対に多段ヒットしてるのに。
その時、ふっと意識が脇にそれた時を狙って、イタチが体当たりしてきて、倒れた俺に覆い被さってきた! やべえ!
「わかった! ごめん! ちょっとタイム! 殴るのよして!」って俺は懸命に言い聞かせたけど、やっぱりこいつら動物なのだろうか、シャーという鋭い鳴き声だけで全く耳を貸す気もない。
「やめ……」何度も振りかざしてくる爪の攻撃を、俺はただひたすら腕で防ぐだけだった。
「たすけ……」言いかけたけど誰もいないし。

ヤバい、今度こそ俺やられちゃうの!?
嫌だ、そんなの嫌だ! ぜってーにこんなイタチのバケモノに倒されたくは……
「ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」
空いた右足で、俺はイタチの顔面にに思いきり蹴りを入れた……けど、不安定な体制からだから、ほとんど力なんてこもらないまま。

だけどその直後、イタチが突然白目をむいて、地面にポトリと倒れちゃったんだ。力なく大の字になっちゃって。
死んではいないっぽいかな。よかった。
さて、あと一匹!

……ってあれ、起き上がって見回したんだけど、三匹いたはずだよな? おかしい、最後のやつの気配が突然消えてたんだ。
ふと吹いてきた風に鼻をきかせて確かめてみても感じられない。ってことはコタローの方へ行っちゃったとかかな。

「動くな、ワーウルフ」
いきなりだった、俺とイタチ以外誰もいなかったはずの空き地なはずなのに、俺の背後から押し殺したような声が。
「見慣れないタイプのワーウルフだけど、どこから来た?」
答えようと思って振り向こうとしたら、顎の下に冷たい気配が。
恐るおそる見てみると……え、デカい刃物?
「えっと、俺をどうする気?」
「質問に答えろ。いや……その声、まだ大人ではないな」
当たってる。俺まだ小学生だし。まあ変身したことで身長はかなり大きくなってるけどね。
「お、俺も分からないんだ。気がついたらこんな姿になく変身できちゃって」
背中の声が一瞬「え?」と動揺した、いまだ!
横っ飛びで離れてすぐさま声の主を……ってオイ!
いなくなっちゃった……ウソだろ? たった今まで俺の首にでっけー刃物突きつけてたのに。
絶対幽霊とかじゃない、男か女かはイマイチ判別できなかったけど、結構若い声、しかも冷静な。
なんだったんだアイツ……
⭐︎⭐︎⭐︎
「すごいですねタケル。僕らの力借りなくても2匹倒しちゃっただなんて」
しばらくするとコタローとジンがやってきた。あちらも別の場所でイタチと戦っていたらしい。2人ともあちこち引っ掻かれたような傷があった。

それと……コタローは傷ついていたイタチの女の子を介抱していたんだって。手当てしたらすぐにいなくなっちゃったって話だけど、コタローって結構優しいところあるんだな。

「ふん、まあ褒めてやらねーこともないけどな」
振り向くとそこにはジンが、倒れたイタチの匂いをスンスン嗅いでいた。やっぱり死んだかどうか確かめているのかな?
「おいタケル。このイタチの顔面を踏んだか蹴り入れたりでもしたか?」
「え、蹴りってほどでもないけど……ね」
ジンはあきれた顔で「やっぱりな」って。
オイ……それってどーゆーことだよ! 説明しろ説明!

「ンじゃあ、いい言葉と悪い言葉、どっちを先に聞きたい?」
突然そんなことを俺に聞いてきた。どっかのドラマみたいな……
まあこういうのは心構えとしてだ「じゃあ悪い方から言ってよ」。


「このイタチ、お前の足の臭いで失神したっぽいぞ」
え、えええええええええええええええ!?
ウソだ! それで失神だなんてそんなことアリかよ!
いやいやそうじゃなくて、次にいい方教えて!

「こりゃあ、下手したらお前の必殺技になるかも知れねーぞ」

やめてくれよオイ! そんな恥ずかしいの必殺技にしたくねーし!

「わ、分かります……確かにタケルの足の臭いは汗臭いなんて生やさしいもんじゃないですもん。ツーンとした‪……‬‪もうあれは完全にお酢です。そこに使い古しの雑巾を加えた強烈な臭さをしてますしね」
「ああ、俺もそう感じた。確かにアレは一撃で失神……いや、死ぬんじゃないかと思えるほどの臭さだしな」

コタロー! そこで変な分析結果出すんじゃねえ!

はぁ……初めて倒せたと思ったのにな。


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ってなわけで一匹倒したはいいけど、残りの連中がとにかくすばしっこくてもう!
つーか時間どれくらいだったのかな。コタローもジンも来てくれねーし、息も上がってきたしで流石に1人じゃ疲れた。
どのくらいこいつと戦ったろう。
緊張がピークになってきたからか、だんだんと頭の中が真っ白になってきた、けど毛に包まれた身体だから引っ掻き攻撃もほとんどダメージを与えてくれない。
ダメだ、やっぱりパンチやキックみたいな打撃しか通らないのかな……なんて考えずに無我夢中に繰り出して。
くそっ、そんなことしてるうちにだんだんと手に力が入らなくなってきた。必殺技(見よう見まね)がことごとく空振りに終わるんだもん。2Dの格ゲーだったら絶対に多段ヒットしてるのに。
その時、ふっと意識が脇にそれた時を狙って、イタチが体当たりしてきて、倒れた俺に覆い被さってきた! やべえ!
「わかった! ごめん! ちょっとタイム! 殴るのよして!」って俺は懸命に言い聞かせたけど、やっぱりこいつら動物なのだろうか、シャーという鋭い鳴き声だけで全く耳を貸す気もない。
「やめ……」何度も振りかざしてくる爪の攻撃を、俺はただひたすら腕で防ぐだけだった。
「たすけ……」言いかけたけど誰もいないし。
ヤバい、今度こそ俺やられちゃうの!?
嫌だ、そんなの嫌だ! ぜってーにこんなイタチのバケモノに倒されたくは……
「ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」
空いた右足で、俺はイタチの顔面にに思いきり蹴りを入れた……けど、不安定な体制からだから、ほとんど力なんてこもらないまま。
だけどその直後、イタチが突然白目をむいて、地面にポトリと倒れちゃったんだ。力なく大の字になっちゃって。
死んではいないっぽいかな。よかった。
さて、あと一匹!
……ってあれ、起き上がって見回したんだけど、三匹いたはずだよな? おかしい、最後のやつの気配が突然消えてたんだ。
ふと吹いてきた風に鼻をきかせて確かめてみても感じられない。ってことはコタローの方へ行っちゃったとかかな。
「動くな、ワーウルフ」
いきなりだった、俺とイタチ以外誰もいなかったはずの空き地なはずなのに、俺の背後から押し殺したような声が。
「見慣れないタイプのワーウルフだけど、どこから来た?」
答えようと思って振り向こうとしたら、顎の下に冷たい気配が。
恐るおそる見てみると……え、デカい刃物?
「えっと、俺をどうする気?」
「質問に答えろ。いや……その声、まだ大人ではないな」
当たってる。俺まだ小学生だし。まあ変身したことで身長はかなり大きくなってるけどね。
「お、俺も分からないんだ。気がついたらこんな姿になく変身できちゃって」
背中の声が一瞬「え?」と動揺した、いまだ!
横っ飛びで離れてすぐさま声の主を……ってオイ!
いなくなっちゃった……ウソだろ? たった今まで俺の首にでっけー刃物突きつけてたのに。
絶対幽霊とかじゃない、男か女かはイマイチ判別できなかったけど、結構若い声、しかも冷静な。
なんだったんだアイツ……
⭐︎⭐︎⭐︎
「すごいですねタケル。僕らの力借りなくても2匹倒しちゃっただなんて」
しばらくするとコタローとジンがやってきた。あちらも別の場所でイタチと戦っていたらしい。2人ともあちこち引っ掻かれたような傷があった。
それと……コタローは傷ついていたイタチの女の子を介抱していたんだって。手当てしたらすぐにいなくなっちゃったって話だけど、コタローって結構優しいところあるんだな。
「ふん、まあ褒めてやらねーこともないけどな」
振り向くとそこにはジンが、倒れたイタチの匂いをスンスン嗅いでいた。やっぱり死んだかどうか確かめているのかな?
「おいタケル。このイタチの顔面を踏んだか蹴り入れたりでもしたか?」
「え、蹴りってほどでもないけど……ね」
ジンはあきれた顔で「やっぱりな」って。
オイ……それってどーゆーことだよ! 説明しろ説明!
「ンじゃあ、いい言葉と悪い言葉、どっちを先に聞きたい?」
突然そんなことを俺に聞いてきた。どっかのドラマみたいな……
まあこういうのは心構えとしてだ「じゃあ悪い方から言ってよ」。
「このイタチ、お前の足の臭いで失神したっぽいぞ」
え、えええええええええええええええ!?
ウソだ! それで失神だなんてそんなことアリかよ!
いやいやそうじゃなくて、次にいい方教えて!
「こりゃあ、下手したらお前の必殺技になるかも知れねーぞ」
やめてくれよオイ! そんな恥ずかしいの必殺技にしたくねーし!
「わ、分かります……確かにタケルの足の臭いは汗臭いなんて生やさしいもんじゃないですもん。ツーンとした‪……‬‪もうあれは完全にお酢です。そこに使い古しの雑巾を加えた強烈な臭さをしてますしね」
「ああ、俺もそう感じた。確かにアレは一撃で失神……いや、死ぬんじゃないかと思えるほどの臭さだしな」
コタロー! そこで変な分析結果出すんじゃねえ!
はぁ……初めて倒せたと思ったのにな。