一つの部屋がある。六畳ほどの広さで、東側にドアが設けられている。向かいの壁に窓が一つ、机が一つ、書棚が一台。よくわからない学術書ばかりだ。
南の壁に沿うようにシングルベッドが一つ置かれ、ベッドの足元にはクローゼットがある。ベッドは病院のもののような清潔感があり、クローゼットは持て余し気味だ。
ドアの横に照明のボタンがある。夜が来るとすぐに電気が消えた。
一つの部屋がある。部屋の真ん中には小さなテーブルが一つ。かわいらしい短い足が付いている。丁寧にニスが塗られた柾目の天板は、つやつやと輝いていた。
書棚にはよくわからない学術書と、数冊の小説。メルヴィル、ヘミングウェイ、デフォー。
ベッドには黒のシックな掛布団。クローゼットの中には似たような服が二、三着と、小洒落た洋服が一着。
朝の陽ざしがゆっくりと部屋を明るくしていく。
一つの部屋がある。部屋の真ん中のテーブルには、綺麗な刺繍が施された白いクロスが掛けられている。
机の上にはかわいらしいアンスリウムの鉢が一つ。隣の書棚には、よくわからない学術書と数冊の小説、そして流行りの漫画本。
ベッドの向かいには二人掛けのソファが一台。腰かけると深く沈む。
クローゼットには似た服が二着、小洒落た服が数着。服の入るスペースは少なくなった。
昼の太陽が部屋の中を燃やしている。
一つの部屋がある。テーブルにはチェックのクロス。その上にマグカップが二つ。
机の上には仕舞い忘れた小説が積み重ねられている。川端、太宰、カフカ。ゼラニウムの鉢が一つ。
ベッドには雑に畳まれた紺の掛布団。ソファの上にはクローゼットから溢れた服。
少し西に傾いた太陽が、部屋に濃い影をつくる。
一つの部屋がある。白いクロスの掛かったテーブルが一つ。窓が一つ。書棚が一つ。机が一つ。ベッドが一つ。ソファが一つ。クローゼットが一つ。
窓の外にはアネモネがびっしりと咲いている。
西日が部屋の中を赤く濡らす。
一つの部屋がある。窓が一つ。