5

ー/ー



空を見上げてみると、だいぶ明るくなってきている。腕時計持ってきてないから何時かはわからないけど、俺のいつもの経験からしてもう4時は過ぎたんじゃないかって思うんだ。
さっき持ち上げた時はそれほど重くなかったリュックが、今ではもう方に食い込んで痛くなるくらいに感じられる。
ヤバイな、もしかして人間の姿に戻り始めてきてるのかな、なんてヒヤヒヤしつつ、俺はガードレール脇にあるミラーをのぞき込んだり、顔とか触ってみたり、手足を確認してみた。
うん大丈夫、まだ戻ってない。
とはいうものの、あの時折れたような右足首がさっきより太くなってきているような気がするんだ、しかも痛みは全然引かない、むしろ増してきてる感じがする。
無理もないか、何十キロもあるリュック背負って、どうにか歩いてるんだもんな……

こんな時だっていうのに、走ることができないのは致命的に辛かった。コンビニまで一気に走って行って、レジカウンターにリュックを置いて帰る……それが一番スマートなやり方だってのに、これじゃスマートでも何でもない。

もう一時間くらい歩いてるだろうか、もうそろそろコンビニまで着けそうだ。
道路を通る車にも、人にも出くわさず戻れたのが唯一の幸いだった。ヒーローは正体がバレちゃいけないもんね。ちょっとかっこ悪い終わり方だったけど、これで一件落着って思ったんだ、ついさっきまで。俺はどうにかなるだろと信じてた。

遠くに小さく見えるコンビニの脇に、赤く点滅するライトが1つ、2つ……
これって、もしかしなくてもパトカーと救急車!?
そうだ、俺が警察呼んだんだ、俺が犯人追ってる間に来ちゃったんだ!

背中に冷たい汗がすうっと流れていくのが分かった。どうしよう、つーかどうすりゃいいんだ!
俺はまだ人間の姿に戻れてない、こんな格好でお金返したりでもしたら、俺が犯人扱いされちまう。
いや、その辺にお金放って帰っちゃおうか……その方がいいか、ギリギリ近い場所に置いとけば、すぐに見つかるだろうし、俺はとりあえずここから逃げる方法だけどうにかすればいいし。
うん、そうしよう。なんかヒーローっぽくないけど、コソコソやるのは俺の性分に合わないけど、今はしょうがない。
俺は痛みを我慢して、歩道の脇からコンビニの裏口までどうにか歩いて行った。もう十分かな、ここにリュックをこっそり置いとけば…

ジャラジャラっ!

裏口のドアの前に置こうとしたら、一気にリュックが軽くなったんだ、ものすごい音とともに。
持ってるリュックの底から、百円、十円の小銭がドバっと下にばら撒かれた。穴が、それも大きな破れた穴が開いて、そこからお金が全て落っこちていった。
ヤバいヤバいヤバい!
これじゃもうどうしようもない、逃げようかとしたその時、目が合っちゃったんだ。

警察の人が、お金の音を聞いて表から飛び出してきて……
俺の姿、見られた。
俺は固まった。でもお巡りさんはそれ以上に、すっげぇ驚いた顔で固まってた。
もうヤバいどころの話じゃない……よな。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 6


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



空を見上げてみると、だいぶ明るくなってきている。腕時計持ってきてないから何時かはわからないけど、俺のいつもの経験からしてもう4時は過ぎたんじゃないかって思うんだ。
さっき持ち上げた時はそれほど重くなかったリュックが、今ではもう方に食い込んで痛くなるくらいに感じられる。
ヤバイな、もしかして人間の姿に戻り始めてきてるのかな、なんてヒヤヒヤしつつ、俺はガードレール脇にあるミラーをのぞき込んだり、顔とか触ってみたり、手足を確認してみた。
うん大丈夫、まだ戻ってない。
とはいうものの、あの時折れたような右足首がさっきより太くなってきているような気がするんだ、しかも痛みは全然引かない、むしろ増してきてる感じがする。
無理もないか、何十キロもあるリュック背負って、どうにか歩いてるんだもんな……
こんな時だっていうのに、走ることができないのは致命的に辛かった。コンビニまで一気に走って行って、レジカウンターにリュックを置いて帰る……それが一番スマートなやり方だってのに、これじゃスマートでも何でもない。
もう一時間くらい歩いてるだろうか、もうそろそろコンビニまで着けそうだ。
道路を通る車にも、人にも出くわさず戻れたのが唯一の幸いだった。ヒーローは正体がバレちゃいけないもんね。ちょっとかっこ悪い終わり方だったけど、これで一件落着って思ったんだ、ついさっきまで。俺はどうにかなるだろと信じてた。
遠くに小さく見えるコンビニの脇に、赤く点滅するライトが1つ、2つ……
これって、もしかしなくてもパトカーと救急車!?
そうだ、俺が警察呼んだんだ、俺が犯人追ってる間に来ちゃったんだ!
背中に冷たい汗がすうっと流れていくのが分かった。どうしよう、つーかどうすりゃいいんだ!
俺はまだ人間の姿に戻れてない、こんな格好でお金返したりでもしたら、俺が犯人扱いされちまう。
いや、その辺にお金放って帰っちゃおうか……その方がいいか、ギリギリ近い場所に置いとけば、すぐに見つかるだろうし、俺はとりあえずここから逃げる方法だけどうにかすればいいし。
うん、そうしよう。なんかヒーローっぽくないけど、コソコソやるのは俺の性分に合わないけど、今はしょうがない。
俺は痛みを我慢して、歩道の脇からコンビニの裏口までどうにか歩いて行った。もう十分かな、ここにリュックをこっそり置いとけば…
ジャラジャラっ!
裏口のドアの前に置こうとしたら、一気にリュックが軽くなったんだ、ものすごい音とともに。
持ってるリュックの底から、百円、十円の小銭がドバっと下にばら撒かれた。穴が、それも大きな破れた穴が開いて、そこからお金が全て落っこちていった。
ヤバいヤバいヤバい!
これじゃもうどうしようもない、逃げようかとしたその時、目が合っちゃったんだ。
警察の人が、お金の音を聞いて表から飛び出してきて……
俺の姿、見られた。
俺は固まった。でもお巡りさんはそれ以上に、すっげぇ驚いた顔で固まってた。
もうヤバいどころの話じゃない……よな。