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落花情あれども流水意なし6 The love to no avail.

ー/ー



「わーちゃんお代わり。ぴっかレモンがあったからレモン水にした」

 とーとつに割り込むなぁ、紅緒は。
 おまえ、それ以上かがむと中身見えるぞ。
 可愛らしい膝小僧出して、亘の隣りに座るんだ。
 だったらよく見ろ。
 亘の野郎むちゃ焦ってるの、気付かないのか。

「ああ、ごめん。倒れた拍子にお酒被っちゃって。勝手に借りちゃった。風呂場に畳んであったから」

 馬鹿みたいに口開けてんじゃないよ、亘は。何処見てんだよ、このスケベ野郎が。

「じーちゃんが嵩ちゃん呼んでくれたのよ。ちょうどこっちに用があって来てるはずだからって」

 正確には行く予定でした。ま、アポの相手はそれを忘れて寝てましたけどね。

「紅緒一人じゃ連れて帰れないだろ。樹じゃ役に立たんし。お前、でかすぎるから。まー爺はあの後別件で出かける用があって、お鉢がオレに回ってきた」

「そりゃ、すまなかった。紅緒も、迷惑かけて悪かったな」

 そんなに恐縮しなくても、いいんだけどさ。ま、そりゃ恥ずかしいよな。

「いいよ。わたしも何だかテンション上がっちゃって飛びついたから、ごめん」

 おっと、紅緒に肩で小突かれただけでまぁ、亘くんったら、何顔赤くしてるんだい。
 (うぶ)ですねぇ。
 そんなお楽しみのところ申し訳ないが。

「そろそろ樹が迎えに来るな」

 わざとらしく腕時計を見ると、亘が急に立ち上り頭を下げた。
 酔って潰れたのはこれが始めてじゃないが、紅緒が居たらそりゃバツが悪いか。
 コイツは平川さんの相手ができるウワバミ級だから、気にしても仕方ないんだが。

「今日はすまなかった。世話になったな、二人とも。ありがとう」

 亘がそう言ってオレたちを帰そうとする。樹も呼んで、一服とか無いんかーい。

「えーっ。もう追い出す気。ひっどーい」

 もっと言ってやれ紅緒。なんならお泊りもいいぞ。

「ベーは、泊まっていくか?」

「いくいくーっ」

 鳩が豆鉄砲食らったような顔って、正に今のおまえの顔だな亘。
 笑えるわ。

 もう少し虐めてやろうかと思ったら、タイミング悪く樹が来たようで呼び出し音が鳴った。

「ほら、迎えが来たぞ」

 何だ、シラケるな。ホッとしたような顔しやがって。

「忘れ物すんなよ〜」 

 渋々と言った体で、紅緒が服を入れたゴミ袋を引っ提げる。

「ゴミ袋Ⅰ枚もらったよ」


「それ、置いてけ。クリーニング僕が出すから」

「いーよ。どうせ他も出すから」

 莫迦か亘、おまえ。その中にはストッキングとか下着類も入ってんだよ。そんなもん渡せるか。
 つーか、おまえに見せるかオレが止めるわ。
 
 おっと、荷物持ったまま片足あげっから。
 紅緒の二の腕を掴んでバランスを取ってやる。

 ん?

 しゃがんだ紅緒の何処を見てるんだ。あ゙ぁ゙?
 残念ながら、そっちからじゃ中身は見えませーん。

「わーちゃん、明日休みでしょ。トールちゃんが言ってた」

「平川先輩は」 

 おお、やっと思い出してきたか。お前さんの上司だろ。

「平川さんなら、まー爺に連れられて出かけていったよ。心配ご無用って伝言頼まれてた」

「なんで……」

 オレと平川さんが知り合いって知らなかったのか。
 へぇー。

「樹と卒業まであそこでバイトしてたんだ。蝶タイ結んで、兄弟仲良くな」

「嵩ちゃんって、女性会員の人気すごかったのよ。じいちゃんは女性目当てで『オレの孫ハンサムだろう』って喜んで連れ回してた」

 お姉さんたちと握手するのがまー爺の若さの秘訣だからな。
 さて、エントランスに出たらさっさと紅緒を帰して、と。
 
「ここで、いいよ」

 どうぜオレは戻ってくるし。エレベータまでで充分。

「下まで行くよ」

「ここで良いって。じゃ、また」

「わーちゃん、また明日」

 名残惜しそうな顔しやがって、待ってろや。
 オレ様が戻ってきてやるから。 




みんなのリアクション

「わーちゃんお代わり。ぴっかレモンがあったからレモン水にした」
 とーとつに割り込むなぁ、紅緒は。
 おまえ、それ以上かがむと中身見えるぞ。
 可愛らしい膝小僧出して、亘の隣りに座るんだ。
 だったらよく見ろ。
 亘の野郎むちゃ焦ってるの、気付かないのか。
「ああ、ごめん。倒れた拍子にお酒被っちゃって。勝手に借りちゃった。風呂場に畳んであったから」
 馬鹿みたいに口開けてんじゃないよ、亘は。何処見てんだよ、このスケベ野郎が。
「じーちゃんが嵩ちゃん呼んでくれたのよ。ちょうどこっちに用があって来てるはずだからって」
 正確には行く予定でした。ま、アポの相手はそれを忘れて寝てましたけどね。
「紅緒一人じゃ連れて帰れないだろ。樹じゃ役に立たんし。お前、でかすぎるから。まー爺はあの後別件で出かける用があって、お鉢がオレに回ってきた」
「そりゃ、すまなかった。紅緒も、迷惑かけて悪かったな」
 そんなに恐縮しなくても、いいんだけどさ。ま、そりゃ恥ずかしいよな。
「いいよ。わたしも何だかテンション上がっちゃって飛びついたから、ごめん」
 おっと、紅緒に肩で小突かれただけでまぁ、亘くんったら、何顔赤くしてるんだい。
 |初《うぶ》ですねぇ。
 そんなお楽しみのところ申し訳ないが。
「そろそろ樹が迎えに来るな」
 わざとらしく腕時計を見ると、亘が急に立ち上り頭を下げた。
 酔って潰れたのはこれが始めてじゃないが、紅緒が居たらそりゃバツが悪いか。
 コイツは平川さんの相手ができるウワバミ級だから、気にしても仕方ないんだが。
「今日はすまなかった。世話になったな、二人とも。ありがとう」
 亘がそう言ってオレたちを帰そうとする。樹も呼んで、一服とか無いんかーい。
「えーっ。もう追い出す気。ひっどーい」
 もっと言ってやれ紅緒。なんならお泊りもいいぞ。
「ベーは、泊まっていくか?」
「いくいくーっ」
 鳩が豆鉄砲食らったような顔って、正に今のおまえの顔だな亘。
 笑えるわ。
 もう少し虐めてやろうかと思ったら、タイミング悪く樹が来たようで呼び出し音が鳴った。
「ほら、迎えが来たぞ」
 何だ、シラケるな。ホッとしたような顔しやがって。
「忘れ物すんなよ〜」 
 渋々と言った体で、紅緒が服を入れたゴミ袋を引っ提げる。
「ゴミ袋Ⅰ枚もらったよ」
「それ、置いてけ。クリーニング僕が出すから」
「いーよ。どうせ他も出すから」
 莫迦か亘、おまえ。その中にはストッキングとか下着類も入ってんだよ。そんなもん渡せるか。
 つーか、おまえに見せるかオレが止めるわ。
 おっと、荷物持ったまま片足あげっから。
 紅緒の二の腕を掴んでバランスを取ってやる。
 ん?
 しゃがんだ紅緒の何処を見てるんだ。あ゙ぁ゙?
 残念ながら、そっちからじゃ中身は見えませーん。
「わーちゃん、明日休みでしょ。トールちゃんが言ってた」
「平川先輩は」 
 おお、やっと思い出してきたか。お前さんの上司だろ。
「平川さんなら、まー爺に連れられて出かけていったよ。心配ご無用って伝言頼まれてた」
「なんで……」
 オレと平川さんが知り合いって知らなかったのか。
 へぇー。
「樹と卒業まであそこでバイトしてたんだ。蝶タイ結んで、兄弟仲良くな」
「嵩ちゃんって、女性会員の人気すごかったのよ。じいちゃんは女性目当てで『オレの孫ハンサムだろう』って喜んで連れ回してた」
 お姉さんたちと握手するのがまー爺の若さの秘訣だからな。
 さて、エントランスに出たらさっさと紅緒を帰して、と。
「ここで、いいよ」
 どうぜオレは戻ってくるし。エレベータまでで充分。
「下まで行くよ」
「ここで良いって。じゃ、また」
「わーちゃん、また明日」
 名残惜しそうな顔しやがって、待ってろや。
 オレ様が戻ってきてやるから。