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第二百二十三話

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 あの山梨の一件から一日後。――支部、その拠点内にて。善吉と群馬支部支部長が、その場で共に煙草を吸っていた。しかし、群馬支部支部長の表情は実に暗いものであった。
「――どうした、関東地方最強の支部長が聞いて呆れる。こうした大人の付き合いというものに慣れ親しんでいないのかな?」
「――バァカ、単純にお前が大嫌いなんだよ。人のことを何とも思ってねえ、外道の極みたるお前をエスコートしろっつった、ウチの教祖と同じくらいにお前は嫌いだ」
 隣で一服する人物に対して、心の底からの嫌悪感を示すと、善吉は酷くやりづらそうにしていた。
「……それによ、本当の最強は待田の爺さんじゃあねえか。亡くなった存在への敬意も無しかよ。少なくともあの爺さんのフルパワー喰らったらお前一分持たずに死ぬだろうに」
「別に。私は過去ばかりを見て過ごしている訳じゃあない。それに……君におべっかを使って、コネを作っておいた方がマシなような気がしてね」
「馬鹿か、お前とはこれっきりだ」
 多くの人が行き交う中、喫煙所にて一服をする二人。一般人と一緒にいても違和感のない風貌であるため、よほど重要な話をしない限り人の目線を集めることはない。とはいえ、人というものは他人に興味を抱かない存在である。自分の横でテロ計画を話している様など、ただの絵空事だとして脳内にて無害に処理するだろう。
「――じゃあ、俺はここでお暇する。一か月後と言わずとも、お前が早々に無残に死ぬことを望んでいるよ」
「まさか。私はここでは終わらないさ。第二、第三の五斂子社を創っていくとも。ご期待に沿えず申し訳ないね」
 お互いに睨みつけると、煙草を灰皿に投げ捨てその場を後にする支部長。
 しかし、善吉はその場で歪んだ笑みを浮かべる。それもそのはず、その拠点内にある人物を呼んでいるのだ。この状況下、英雄学園陣営に最も精神的ダメージを負わせるには誰が効果的か。頭を捻ればすぐに浮かぶ人物である。それも、二人。
 喫煙所から外に出ると、呼び出した二人が善吉の到来をその場で待ちわびていた。実に、手持ち無沙汰にしながら。
「――すまないね、二人とも。計画に参加してくれて……何よりだよ」
 一人は無表情であったが、一人は不本意と言わんばかりの苦悶の表情。
「では、英雄陣営を滅ぼすべく、新生・山梨支部の設立の時だ。精一杯、尽力してくれたまえ」
 絶望の時まで、残り『???』。タイムリミットは、無情にも時を刻み続けるのみである。



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 あの山梨の一件から一日後。――支部、その拠点内にて。善吉と群馬支部支部長が、その場で共に煙草を吸っていた。しかし、群馬支部支部長の表情は実に暗いものであった。
「――どうした、関東地方最強の支部長が聞いて呆れる。こうした大人の付き合いというものに慣れ親しんでいないのかな?」
「――バァカ、単純にお前が大嫌いなんだよ。人のことを何とも思ってねえ、外道の極みたるお前をエスコートしろっつった、ウチの教祖と同じくらいにお前は嫌いだ」
 隣で一服する人物に対して、心の底からの嫌悪感を示すと、善吉は酷くやりづらそうにしていた。
「……それによ、本当の最強は待田の爺さんじゃあねえか。亡くなった存在への敬意も無しかよ。少なくともあの爺さんのフルパワー喰らったらお前一分持たずに死ぬだろうに」
「別に。私は過去ばかりを見て過ごしている訳じゃあない。それに……君におべっかを使って、コネを作っておいた方がマシなような気がしてね」
「馬鹿か、お前とはこれっきりだ」
 多くの人が行き交う中、喫煙所にて一服をする二人。一般人と一緒にいても違和感のない風貌であるため、よほど重要な話をしない限り人の目線を集めることはない。とはいえ、人というものは他人に興味を抱かない存在である。自分の横でテロ計画を話している様など、ただの絵空事だとして脳内にて無害に処理するだろう。
「――じゃあ、俺はここでお暇する。一か月後と言わずとも、お前が早々に無残に死ぬことを望んでいるよ」
「まさか。私はここでは終わらないさ。第二、第三の五斂子社を創っていくとも。ご期待に沿えず申し訳ないね」
 お互いに睨みつけると、煙草を灰皿に投げ捨てその場を後にする支部長。
 しかし、善吉はその場で歪んだ笑みを浮かべる。それもそのはず、その拠点内にある人物を呼んでいるのだ。この状況下、英雄学園陣営に最も精神的ダメージを負わせるには誰が効果的か。頭を捻ればすぐに浮かぶ人物である。それも、二人。
 喫煙所から外に出ると、呼び出した二人が善吉の到来をその場で待ちわびていた。実に、手持ち無沙汰にしながら。
「――すまないね、二人とも。計画に参加してくれて……何よりだよ」
 一人は無表情であったが、一人は不本意と言わんばかりの苦悶の表情。
「では、英雄陣営を滅ぼすべく、新生・山梨支部の設立の時だ。精一杯、尽力してくれたまえ」
 絶望の時まで、残り『???』。タイムリミットは、無情にも時を刻み続けるのみである。