1日目 1987年 10/21 加渡《かわたり》恵那《えな》 15歳 雨 体調 異常なし
部屋の状況:
家族の希望により、遊具と人形を多数設置。
職員より:
鉛筆、ボールペンなど先の尖ったものは置かないでください。
彼女がそれを望んでも渡さないでください。
所感:
慣れない場所で落ち着かないものの、睡眠剤を与えて10時には就寝。
2日目 ~略~ 雨 体調 異常なし
部屋の状況:
変化なし。
職員より:
引き続き観察をお願いします。
本部より医師が参りますが、契約書にもありました通り本部社員とパートの対話は禁止されています。
話さないでください。
所感の欄、もう少し具体的にお願いします。
所感:
日記を書きたいと鉛筆を所望してきたが渡せないと説明。不機嫌になったが、優しい性格で不満は漏らさず。
夕食の際は規定通り桜井《さくらい》が食べさせてあげたところ、美味しいと嬉しそうな感情表現。
桜井のことを気に入っていたのか、桜井退室の際に引き留める様子。
3日目 略 晴れ 異常なし
部屋:
変化なし。
職員より:
引き続き観察をお願いします。
所感:
すみません。
どうしてもペンが欲しいと言われたため、桜井同行の下で貸出。以下、彼女の文章を記述。
「私は雨が好きですよ。雨音が好きなんですよ。お父さんが雨男で、旅行を行くときはいつも雨が降っていたからですね。
外に幽霊が見えますね。たぶん。
げんかく?
こっちに来てますね
んんああって言ってますね」
職員へ質問
この治験は本当に麻薬接種者の更生ですか?
4日目 略 雨 異常あり「頭痛」
部屋:
変化なし。
職員より:
ペン、鉛筆でも鋭利な物は同行者があっても譲渡しないでください。
所感に質問は書かないでください。
本日より入浴を禁止します。水の近くには近寄らせないでください。
室内にある冷蔵庫から水を全て取り出し、麦茶に変えてください。
所感:
申し訳ございません。
昼過ぎから頭痛を訴えるためロキソニンを投薬。対話したところ、文章を書きたいとペンを所望。
渡せないと説得するのに二時間近く要する。
以下、長文失礼
桜井が対話した時、幽霊は見えなくなったと言っていました。これは室内にあるラジオの影響ですか? 医師の方が毎回操作していきます。今日はそれを操作した時、恵那ちゃんがすごく安心した様子を見せていました。
すみません、これは本当にそもそも「治験」ですか? この質問に答えられなければ私と桜井は辞職します。
5日目 略 雨 異常なし
部屋:
変化あり。
三面鏡がおかしい。
職員より:
本日より監視を強化してください。
所感:
被験者の要望により、桜井が代筆。
「強いクマが好きなのはお花だよ。次に好きなのは車で、でも本当に好きなのは人間だよ。本当は誰でもいいんだと思うんですね。みんな同じだから」
「私が好きなのは猫だよ。可愛いから。だから猫が来てくれるとすごく嬉しい、昨日は猫がたくさん来てくれた」
ここで桜井、今日は何がいるの? と質問。
「お父さん」
体調、精神ともに問題なし。カメラによる映像にて、三面鏡が割れるところが映るも実際に見てみたら変化はなかった。
カメラ側の不具合か? 確認求む。
6日目 略 晴れ 異常あり
部屋:
変化あり。
血痕を確認。
職員より:
映像を確認したところ、異常は確認できませんでした。
本郷さん、桜井さん。本日医師より精神安定剤を渡されますので、指示に従って服薬をお願いします。
また、本日より室内への立ち入りを禁止します。
所感:
被験体の様子に変化あり。マイク越しに話しかけても反応は一切せず、カメラ越しにこちらを見るだけ。
水色のパジャマに血痕を確認。二人体制で交互に監視していたが、自傷行為は見れず。
また、医師も様子に異変。室内で自殺しようとしたところ、本部職員により連れ出される。
希望
これは質問ではなく希望です。私たちの安全を保障してください。
7日目 晴れ 異常なし
部屋:
変化あり。
被験体、ラジオを破壊。
職員より:
引き続き、監視をお願いします。
所感:
ふざけないでください。
説明を求めます。これはなんの実験ですか? ここにいたくありません。私たちまでおかしくなる。
帰宅後、訴訟も考えています。されたくなければ全て説明してください。
8日目 晴れ 異常なし
部屋:
記述不可
職員より:
被験体3名の監視をお願いします。