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黒潮の流れに乗って北上するカツオを追う美しきゾンビのプリンセス・ストーリー

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「ウェ~イ、カツオ喰いたきゃあ、そりゃあ、高知においで~え~え、旨い脂の~の~のう~そりゃあ、初ガ~ツゥ~ゥ~ゥ~オ~ッ! 土佐~あ~あ~あのう~う~う~海ぃぃぃぃぃッ!」
 自慢の咽喉を披露してくれたのは、異世界の土佐の海で操業するカツオ漁船に乗り組む佐藤さん。この歌は佐藤さんが作詞作曲した完全オリジナル作品だ。実は佐藤さん、シンガーソングライターでもある。
「民謡歌手になりたくって、ポップでメロウな楽曲を作っては赤坂や六本木の盛り場でギターを弾いて歌っていました(笑い)」
 しかし、なかなか芽が出ない。もっと目立たないとレコード会社からスカウトなんて来るわけがない! と思い立ち、歌いながら火の輪くぐりをやったら、これが完全に裏目。
「火事になっちゃったんです」
 佐藤さんが原因の大火事で、赤坂から六本木にかけての一帯が焼失した。幸い死者は出なかったものの、被害額は途轍もないものとなった。
「もののあわれってな心境でした。もののあわれが何なのか、知りませんけど(笑い)」
 その弁済のため都内某所の地下深くにある秘密鉱山で十数年にわたり奴隷のように働かされたが、いつまで経っても借金は減らない。むしろ、増えた。
「博打に手を出しまして(笑い)」
 それで、もっと良い給与が出る働き口を紹介された。
「その職場が高知県の沖でカツオを獲る漁船だったんです」
 ただし、その海は常夜の国(常世の表記もあり)ノロイカツオ・ワールドへつながる危険水域だった。報酬は高いが危険な異世界につながる海で働く人間には、それなりの理由がある。
「カツオ漁船の漁労長はゾンビ姫という仇名のオッサンでしてね。元は高校の教師だったそうですが、新入生の女子生徒を好きになってしまって、交際を申し込んだら通報されて、懲戒免職になって、人生に絶望して自殺を図ったら、異世界に転生して、しかもゾンビのお姫様になっていたという(笑い)」
 ゾンビならノロイカツオ・ワールドから稀に現れるモンスターと互角に戦えるだろうと雇われた元高校教師のゾンビ・プリンセスは、今のところ海の怪物と戦う機会に恵まれていないが、カツオを釣り上げるというダイナミックな仕事で抜群の働きを見せている。春、黒潮の流れに乗って北上してきたカツオの群れが高知沖の海に姿を現す。初鰹と呼ばれ、珍重される旬のカツオを追って、黒潮の海流を進む土佐カツオ漁船に乗り組むゾンビ姫と愉快な仲間たちの物語は、千字を越えたので、もう書かなくていいや(おいおい)。




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「ウェ~イ、カツオ喰いたきゃあ、そりゃあ、高知においで~え~え、旨い脂の~の~のう~そりゃあ、初ガ~ツゥ~ゥ~ゥ~オ~ッ! 土佐~あ~あ~あのう~う~う~海ぃぃぃぃぃッ!」
 自慢の咽喉を披露してくれたのは、異世界の土佐の海で操業するカツオ漁船に乗り組む佐藤さん。この歌は佐藤さんが作詞作曲した完全オリジナル作品だ。実は佐藤さん、シンガーソングライターでもある。
「民謡歌手になりたくって、ポップでメロウな楽曲を作っては赤坂や六本木の盛り場でギターを弾いて歌っていました(笑い)」
 しかし、なかなか芽が出ない。もっと目立たないとレコード会社からスカウトなんて来るわけがない! と思い立ち、歌いながら火の輪くぐりをやったら、これが完全に裏目。
「火事になっちゃったんです」
 佐藤さんが原因の大火事で、赤坂から六本木にかけての一帯が焼失した。幸い死者は出なかったものの、被害額は途轍もないものとなった。
「もののあわれってな心境でした。もののあわれが何なのか、知りませんけど(笑い)」
 その弁済のため都内某所の地下深くにある秘密鉱山で十数年にわたり奴隷のように働かされたが、いつまで経っても借金は減らない。むしろ、増えた。
「博打に手を出しまして(笑い)」
 それで、もっと良い給与が出る働き口を紹介された。
「その職場が高知県の沖でカツオを獲る漁船だったんです」
 ただし、その海は常夜の国(常世の表記もあり)ノロイカツオ・ワールドへつながる危険水域だった。報酬は高いが危険な異世界につながる海で働く人間には、それなりの理由がある。
「カツオ漁船の漁労長はゾンビ姫という仇名のオッサンでしてね。元は高校の教師だったそうですが、新入生の女子生徒を好きになってしまって、交際を申し込んだら通報されて、懲戒免職になって、人生に絶望して自殺を図ったら、異世界に転生して、しかもゾンビのお姫様になっていたという(笑い)」
 ゾンビならノロイカツオ・ワールドから稀に現れるモンスターと互角に戦えるだろうと雇われた元高校教師のゾンビ・プリンセスは、今のところ海の怪物と戦う機会に恵まれていないが、カツオを釣り上げるというダイナミックな仕事で抜群の働きを見せている。春、黒潮の流れに乗って北上してきたカツオの群れが高知沖の海に姿を現す。初鰹と呼ばれ、珍重される旬のカツオを追って、黒潮の海流を進む土佐カツオ漁船に乗り組むゾンビ姫と愉快な仲間たちの物語は、千字を越えたので、もう書かなくていいや(おいおい)。


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