それが写った理由
ー/ー ご依頼者様の中には、心霊写真を持って相談に来る方がいらっしゃいます。写真といえど、写り込んだ霊の性質によってはたいへん危険なものになる場合もあります。
今回お話しするご依頼者様も、心霊写真を持ってきてくださった方でした。髪をセミロングにしている、小柄な若い女性の方でした。
僕
「具体的にどのようなことが起こったかお話いただけますか? そのお話を聞いて、伊沢が霊視をいたしますので」
伊沢さんは、人の話を聞いているだけで霊視ができます。なんでも、勝手に頭の中にイメージが浮かんでくるのだそうです。そのほかにも、写真を見たり、動画を見たり、はてはその人の顔を見たりすることでも、霊視することができるそうです。
Kさん(写真を持ってきた女性)
「いえ、なんかが起こったってわけじゃないんですけど。その写真っていうのが、うちの弟が撮ってきたやつで。あの〇〇ホテルっていう有名な心霊スポットに弟が友達と行ってきたときに、心霊写真が撮れたらしいんですね。
それを心霊写真が撮れたって言って、送ってきたんですよ。ほぼ真っ黒の写真で、何を撮ったのかもわからないっていうような写真だったんですけど、暗いところで見てみろって言われて見てみて、ああなるほどってなりまして。
私もすごいってなってたんですけど、ある時弟が、消せって言い出して。俺はもう消した姉貴も消したほうがいい、とか言い出して。なんでって聞いたんですけど、なんかヤバい気がするから、とかしか言わなくて。絶対なんか隠してるって思ったんですけど、何回見ても何がやばいのかがわからなくて。そこでちょっと、本当にやばいかどうかを見てほしくて持ってきたんです」
僕
「なるほど。お写真を見せていただいてもよろしいでしょうか?」
Kさん
「わかりました。これなんですけど」
Kさんはスマホを取り出すと、写真を画面に映し出しました。
ぱっと見、画面が真っ黒になっているようにしか見えませんでした。心霊写真と思えるような要素は一つも見当たりません。
Kさん
「部屋を真っ暗にすれば、写っているものが見えると思います」
彼女のその言葉をうけて、僕は部屋の明かりを消しました。そして再度、写真を見てみました。
それでようやく、その写真に写っていたものが見えました。白い壁と思われるものが背景にあって、そこにぼんやりと人の顔のようなものが三つ写っているのです。
黒い髪のところや目や口の輪郭があまりにもはっきりと写っているので、本当は壁に書いてあった落書きなのではないか、と勘違いしそうになります。しかしもしそうであれば、誰もこれが心霊写真だなどというわけがありませんから、やはりなかったはずのものが写ったということなのでしょう。
伊沢さん
「村山君、明かりをつけてくれる?」
僕は暗闇の中を手さぐりで進んで電源スイッチのあるところまで行って、明かりをつけました。
僕が席に戻ったところで、伊沢さんは話し始めました。
伊沢さん
「この写真を誰か他の人に送ったりしましたか?」
Kさん
「え? 送りましたけど、まずかったですか?」
伊沢さん
「はい。まず先に言うと、これは心霊写真です。写っている顔はどれも悪霊のものです。すみません、ちょっとそのスマホを貸してもらえますか?」
Kさんが差し出したスマホを受け取ると、彼女はじっと写真を見つめました。しばらくして、彼女はスマホをKさんに返しました。
伊沢さん
「Kさんの弟さんは、この写真を撮る前に女の人の声を聞いたようです。それで何かがいると思ってシャッターをきりました。そして四体の悪霊はあえて、自分の姿が写真に写るようにしました」
四体ではなく三体ではないか、と僕は思いました。しかし話の腰を折ってまで、ささいな言い間違いを指摘しても意味がないと思って、この時は何も言いませんでした。
伊沢
「これらがなぜ写真に写ろうとしたのか。それは、この写真を入口にして、Kさんの周りの人のところへ行こうとしたからです」
Kさん
「写真を入口にって、どういうことですか?」
伊沢さん
「そのまんまの意味です。写真に写っている悪霊が、写真の中から持ち主のもとへ飛んでくるんです。
Kさんの弟さんが写真を周りに送り付けたのも、全部向こうの狙い通りなんです。そうやって拡散した写真を通して、いろんな人のところに行って、獲物を探そうとしていたんです。
悪霊はもともとは四体でした。でも今は、一体誰かのもとへ飛んだので、三体しか写ってないんです。弟さんは写真が変化してるってことに気づいて、怖くなって消したんですよ。でも一方で、そんなことあるわけがないとも思っていたから、黙ってたんです」
Kさん
「それって、私もやばいってことですか?」
伊沢さん
「Kさんに関しては、写真を消すだけで問題ありません。悪霊も憑いてませんので、まだ心配ありません。ただ、このまま残すようだと安全は保障できません」
Kさん
「わかりました。今すぐ消します」
Kさんはその場でスマホを操作して、心霊写真を削除しました。
Kさん
「これで大丈夫なんですよね?」
伊沢さん
「はい。ただ、写真を送られた人でまだ保存している人たちがいるはずなので、それも全部削除しないといけません。あと、ある一人のもとへは確実に悪霊が飛んでいってしまっているので、その人はお祓いを受けないとだめです」
Kさん
「お祓いって、伊沢さんのところへ連れてくればいいですか?」
伊沢さん
「それでもいいですし、私のほうからそちらへ出向かせていただくこともできます。もし都合が合わない、ということであれば近所にある神社やお寺でお祓いを受けてもいいです。とにかく、なるべく早く対処してください」
Kさん
「わかりました。すぐに送った人たちに連絡します。ありがとうございました」
今これを書いている時点で、彼女がそう言った日からもう一週間が経っています。しかし未だにあの写真のことで連絡してきた人は一人もいません。
このお話を読んだ方で、もし心霊写真を持っているという人がいれば、できれば消してください。たとえこのお話に出てくるものでなくても、です。
そして、写真を消してもおかしな現象が続くという方。その場合はもうすでに、あなたの元に霊が来てしまっている可能性が高いです。すぐにお祓いを受けるようにしてください。
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