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第四部 80話 進軍

ー/ー



 俺たちは『ドワーフの大空洞』を歩き始めた。
 最低限の明かりだけを灯しながら進んでいく。

 岩肌で囲まれた通路は良く音が反響する。
 できる限り、声は出さないようにしていた。

 暗闇の中、特に活躍したのナタリーとアリスだった。
 アリスが風で索敵を行い、ナタリーがピノを先行させて経路を決める。

 黙って作業している限り、二人とも非常に有能だった。
 他のメンバーも目を丸くしていたほどである。

 グレイに至っては首を傾げていた。
 連合での様子を見ていたからだろう。

 ……本当、ずっと黙ってれば良いのに。



 途中で何度か休憩を挟みながら、着実に進んでいく。
 どのくらい歩いたのか、大きな広場に出た。

「うん、今日はここまでにしよう。アリス」
「……分かった」

 ナタリーの言葉にアリスが頷く。
 すると、すぐにアリスは風の魔法を使った。

「ふう……皆、今は声を出しても良いよ」
「うん、この広場から音が漏れることはないから大丈夫」

 ナタリーがそう言うと、アリスが頷いた。
 どうやら風の魔法で消音しているようだ。

 言いながら、ナタリーとアリスはすでに横になって寝ようとしている。
 ふと目を向ければ、ミアも同じだった。流石は師匠と弟子なのか。

 ピノは「緊張感がない!」と怒るように、ナタリーの頭に乗って足蹴にしたり翼でぺしぺしと叩いている。当然、ナタリーは気にしていない。

「……なるほどです」
「やめなさい」

 俺の隣で座っていたティアナが三人の様子をまじまじと見て、呟いた。
 真似るようにこてん、と倒れようとしたところを俺は捕まえる。

 本当、教育に悪いからやめてほしい。
 ティアナも「こういうものなんですね」じゃない。

「A級冒険者は皆こうするのか……?」
「……キースもこうなる?」
「他のA級冒険者に失礼だろ」

 グレイが考え込むように言うと、セシルは俺を見た。
 俺が返すと、小さく笑う。

 実際は三人とも、何かあれば必ず起きるんだけどさ。

「うーん、今は連合との国境近く……王国側の森辺りだと思う。
 ちょうど、半分を過ぎたくらいかな。師匠はどう見る?」

「……大体合ってるっすね。
 あたしの感覚でも白鬼との距離はそんなもんっすよ」

 ナタリーの質問に対して、ミアが頷いた。
 どうやら予定通りに進んでいるらしい。

「なら、明日は出口付近でもう一泊ってところかな。
 それからピノに調査させて……戦いになるだろうね」

「敵は? ゼノは当然だけど……」

 さらにナタリーが今後の予定についても口にする。
 そうなると、敵の戦力が気になって、俺も口を出した。

「白鬼と黒鬼かな。他の主力は王都に行ってるはず。
 それと、ここまでの様子だと……赤鬼はいないと思う」

「なるほどな……」

 俺の読みとほとんど同じだった。
 となれば、赤鬼はあれが最後だったのか。

 あと、ナタリーも分かっているだろうが、おそらく青鬼も戻ってくるだろう。
 だからこそ、青鬼は王都にいるという予想なのだ。

 交代で見張りをしながら、夜を明かす。
 時間の感覚が狂っている気はするが、襲われるようなことはなかった。



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 俺たちは『ドワーフの大空洞』を歩き始めた。
 最低限の明かりだけを灯しながら進んでいく。
 岩肌で囲まれた通路は良く音が反響する。
 できる限り、声は出さないようにしていた。
 暗闇の中、特に活躍したのナタリーとアリスだった。
 アリスが風で索敵を行い、ナタリーがピノを先行させて経路を決める。
 黙って作業している限り、二人とも非常に有能だった。
 他のメンバーも目を丸くしていたほどである。
 グレイに至っては首を傾げていた。
 連合での様子を見ていたからだろう。
 ……本当、ずっと黙ってれば良いのに。
 途中で何度か休憩を挟みながら、着実に進んでいく。
 どのくらい歩いたのか、大きな広場に出た。
「うん、今日はここまでにしよう。アリス」
「……分かった」
 ナタリーの言葉にアリスが頷く。
 すると、すぐにアリスは風の魔法を使った。
「ふう……皆、今は声を出しても良いよ」
「うん、この広場から音が漏れることはないから大丈夫」
 ナタリーがそう言うと、アリスが頷いた。
 どうやら風の魔法で消音しているようだ。
 言いながら、ナタリーとアリスはすでに横になって寝ようとしている。
 ふと目を向ければ、ミアも同じだった。流石は師匠と弟子なのか。
 ピノは「緊張感がない!」と怒るように、ナタリーの頭に乗って足蹴にしたり翼でぺしぺしと叩いている。当然、ナタリーは気にしていない。
「……なるほどです」
「やめなさい」
 俺の隣で座っていたティアナが三人の様子をまじまじと見て、呟いた。
 真似るようにこてん、と倒れようとしたところを俺は捕まえる。
 本当、教育に悪いからやめてほしい。
 ティアナも「こういうものなんですね」じゃない。
「A級冒険者は皆こうするのか……?」
「……キースもこうなる?」
「他のA級冒険者に失礼だろ」
 グレイが考え込むように言うと、セシルは俺を見た。
 俺が返すと、小さく笑う。
 実際は三人とも、何かあれば必ず起きるんだけどさ。
「うーん、今は連合との国境近く……王国側の森辺りだと思う。
 ちょうど、半分を過ぎたくらいかな。師匠はどう見る?」
「……大体合ってるっすね。
 あたしの感覚でも白鬼との距離はそんなもんっすよ」
 ナタリーの質問に対して、ミアが頷いた。
 どうやら予定通りに進んでいるらしい。
「なら、明日は出口付近でもう一泊ってところかな。
 それからピノに調査させて……戦いになるだろうね」
「敵は? ゼノは当然だけど……」
 さらにナタリーが今後の予定についても口にする。
 そうなると、敵の戦力が気になって、俺も口を出した。
「白鬼と黒鬼かな。他の主力は王都に行ってるはず。
 それと、ここまでの様子だと……赤鬼はいないと思う」
「なるほどな……」
 俺の読みとほとんど同じだった。
 となれば、赤鬼はあれが最後だったのか。
 あと、ナタリーも分かっているだろうが、おそらく青鬼も戻ってくるだろう。
 だからこそ、青鬼は王都にいるという予想なのだ。
 交代で見張りをしながら、夜を明かす。
 時間の感覚が狂っている気はするが、襲われるようなことはなかった。