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第039話 おや?スライムたちが…

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サーシャとマコトの身に不思議なことが起きてから1カ月が経った後の、夜のギルド併設の食堂。
注文も終わり、皆が水で喉を潤そうとコップを口に付けた時、サーシャは一人立ち上がった。


「シロウさん。そろそろダンジョンに潜ってみたいのだけど」

その言葉に、皆の視線はサーシャに向いた。
シロウはコップをテーブルに置いてから口を開く。

「そうだな。そろそろいいかも知れない」

「やった!」

シロウの回答にサーシャは、両手に握りこぶしを作って喜んだ。

「とはいえ、ダンジョンで死ねば二度と生き返ることはないから、最初から下層には行かないよ」

「うん。分かってる、分かってる。ねぇねぇ、マコっちゃん。ダンジョンで最初に遭遇するモンスターを当てっこしよう…」

シロウの言葉に、サーシャは適当に相槌を打ちマコトとの会話に興じ始めていた。

「こやつ、右の耳から左の耳状態じゃぞ」

「完全に浮かれてますわね、この小娘は」

「実際、そこまで楽しい所じゃないんだけどなぁ」

以上、エリス、リリス、オフィーリアの発言である。

こうして、その日は特に何も変わったことは無く、次の日を迎えた。

場所は、町の郊外にある森を少しばかり進んだ先にあるダンジョンの入口。

「うわぁ…結構人がいるわねぇ………」

始めて来た事もあり、サーシャとマコトは驚嘆の声を上げた。

地下ダンジョンの入口を中心に周囲直径50mが柵で覆われており、どこからでも自由にアクセスする事は出来ない。
唯一、左右に大きな門扉のある柵の入口を除いて。

「ん?今日は見掛けない二人がいるな」

柵の入口にいる門番の一人がシロウに声を掛ける。

「あぁ、この二人は今日が初めてだからね」

「む…そうか………」

シロウの回答に、門番は少しばかり心配そうに二人に視線を送る。
無理もない、マコトは少しばかり強張った表情を浮かべているが、サーシャは完全に浮かれ気分のゆるい顔をしていたからだ。

門番は、そういう顔をして入って行ったきり二度とダンジョンから出てこなかった冒険者を数えきれないほど見て来ている。

「心配するでない。最初から危ない所には行かんからの」

エリスはそう言って、門番の腰を軽く叩いた。

こうして、パーティ一行はダンジョンの入口から地下へと降りていった。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

‥‥‥。


「うへぇ…結構歩いたわね………」


地下1階にようやく下りたサーシャの言葉がそれだった。

「この程度の階段でへばって、この小娘は全く……先が思いやられますわ」

リリスはやれやれと言わんばかりに肩をすくめる。

「だって、103段もあったのよ……てか、これ帰りは登るのよね……」

「ははは、そのうち慣れるさ」

げんなりしながら階段から薄っすらと見える外の光を見ながらのサーシャの言葉に、シロウは呑気に笑いながら答えた。

「お、流石にマコトくんは大丈夫そうだな」

「はい。一応戦士職なので」

「うんうん、よしよし。じゃあ、とりあえずはあそこに行くか」

そう言って、シロウは階段を下りて左の方向を指差して歩みを進めた。

程なく、パーティ一行の前に扉が現れる。
扉は左右に開閉できるようになっており、その高さは3m程あるだろうか。

「んじゃ、わしとオフィーリアが先陣を切って開けるぞい」

そう言うと、二人は重い扉を開け入り、二人の後に続いてシロウ、リリス、サーシャと続き、最後に殿のマコトが入った。

「うわぁ、中も広いわね……」

サーシャは部屋の中を見渡すが、全てを視認する事が出来ないほど部屋は広かった。

「む、来るぞ。構えよ!」

エリスの言葉に、一同は身構える。

『ふよんふよんふよんふよん』

そんな言葉?と共に現れたのは、青いスライム10体と灰色のスライム1体の計11体であった。

「どうやら、まだ奴らはわしらに気付いておらぬようじゃ」

「つまり、先制ってやつね」

エリスの言葉にサーシャは言う。

そんな二人の会話の中、スライムは奇妙な行動に移った。

青いスライムたちが、灰色のスライムに群がり始めたのだ。

「おっ!これはまさかの合体してキン〇スライム化するってやつ!?」

興奮気味にサーシャは言う。

「いや…あれはただの共食い……まぁ、何でもええわい。チャンスじゃサーシャ」

「そうね!合体される前にやっちゃうわ」
「食らうがいい、私のメラ〇ーマ級のメ〇(火球)を!」

直後に放った火の玉は、スライムの集団を直撃して炎が広がる。

「ふっ、またつまらぬ者を焼いてしまった」

サーシャは杖を刀のように鞘に入れる仕草をする。

そして、炎が完全に消え去った頃、青いスライムは消し炭になっていた‥‥‥が、灰色のスライムは生き残っていた。

「えっ!?うっそ、あの炎で死ななかったの?」

「あぁ…あの灰色のスライムは……ま、それはともかく丁度いい。灰色のスライムはマコトくんに……」

「待ってシロウさん!あれは、まさかっ!!!」

シロウが言い終わる前に、サーシャは叫ぶ。

「どしたんだい?サーシャくん」

「あれは間違いないわっ!『仲間になりたそうにこちらを見ている』…だわっ!」


次のエピソードへ進む 第040話 スライムが仲魔になった


みんなのリアクション

サーシャとマコトの身に不思議なことが起きてから1カ月が経った後の、夜のギルド併設の食堂。
注文も終わり、皆が水で喉を潤そうとコップを口に付けた時、サーシャは一人立ち上がった。
「シロウさん。そろそろダンジョンに潜ってみたいのだけど」
その言葉に、皆の視線はサーシャに向いた。
シロウはコップをテーブルに置いてから口を開く。
「そうだな。そろそろいいかも知れない」
「やった!」
シロウの回答にサーシャは、両手に握りこぶしを作って喜んだ。
「とはいえ、ダンジョンで死ねば二度と生き返ることはないから、最初から下層には行かないよ」
「うん。分かってる、分かってる。ねぇねぇ、マコっちゃん。ダンジョンで最初に遭遇するモンスターを当てっこしよう…」
シロウの言葉に、サーシャは適当に相槌を打ちマコトとの会話に興じ始めていた。
「こやつ、右の耳から左の耳状態じゃぞ」
「完全に浮かれてますわね、この小娘は」
「実際、そこまで楽しい所じゃないんだけどなぁ」
以上、エリス、リリス、オフィーリアの発言である。
こうして、その日は特に何も変わったことは無く、次の日を迎えた。
場所は、町の郊外にある森を少しばかり進んだ先にあるダンジョンの入口。
「うわぁ…結構人がいるわねぇ………」
始めて来た事もあり、サーシャとマコトは驚嘆の声を上げた。
地下ダンジョンの入口を中心に周囲直径50mが柵で覆われており、どこからでも自由にアクセスする事は出来ない。
唯一、左右に大きな門扉のある柵の入口を除いて。
「ん?今日は見掛けない二人がいるな」
柵の入口にいる門番の一人がシロウに声を掛ける。
「あぁ、この二人は今日が初めてだからね」
「む…そうか………」
シロウの回答に、門番は少しばかり心配そうに二人に視線を送る。
無理もない、マコトは少しばかり強張った表情を浮かべているが、サーシャは完全に浮かれ気分のゆるい顔をしていたからだ。
門番は、そういう顔をして入って行ったきり二度とダンジョンから出てこなかった冒険者を数えきれないほど見て来ている。
「心配するでない。最初から危ない所には行かんからの」
エリスはそう言って、門番の腰を軽く叩いた。
こうして、パーティ一行はダンジョンの入口から地下へと降りていった。
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「うへぇ…結構歩いたわね………」
地下1階にようやく下りたサーシャの言葉がそれだった。
「この程度の階段でへばって、この小娘は全く……先が思いやられますわ」
リリスはやれやれと言わんばかりに肩をすくめる。
「だって、103段もあったのよ……てか、これ帰りは登るのよね……」
「ははは、そのうち慣れるさ」
げんなりしながら階段から薄っすらと見える外の光を見ながらのサーシャの言葉に、シロウは呑気に笑いながら答えた。
「お、流石にマコトくんは大丈夫そうだな」
「はい。一応戦士職なので」
「うんうん、よしよし。じゃあ、とりあえずはあそこに行くか」
そう言って、シロウは階段を下りて左の方向を指差して歩みを進めた。
程なく、パーティ一行の前に扉が現れる。
扉は左右に開閉できるようになっており、その高さは3m程あるだろうか。
「んじゃ、わしとオフィーリアが先陣を切って開けるぞい」
そう言うと、二人は重い扉を開け入り、二人の後に続いてシロウ、リリス、サーシャと続き、最後に殿のマコトが入った。
「うわぁ、中も広いわね……」
サーシャは部屋の中を見渡すが、全てを視認する事が出来ないほど部屋は広かった。
「む、来るぞ。構えよ!」
エリスの言葉に、一同は身構える。
『ふよんふよんふよんふよん』
そんな言葉?と共に現れたのは、青いスライム10体と灰色のスライム1体の計11体であった。
「どうやら、まだ奴らはわしらに気付いておらぬようじゃ」
「つまり、先制ってやつね」
エリスの言葉にサーシャは言う。
そんな二人の会話の中、スライムは奇妙な行動に移った。
青いスライムたちが、灰色のスライムに群がり始めたのだ。
「おっ!これはまさかの合体してキン〇スライム化するってやつ!?」
興奮気味にサーシャは言う。
「いや…あれはただの共食い……まぁ、何でもええわい。チャンスじゃサーシャ」
「そうね!合体される前にやっちゃうわ」
「食らうがいい、私のメラ〇ーマ級の|メ〇《火球》を!」
直後に放った火の玉は、スライムの集団を直撃して炎が広がる。
「ふっ、またつまらぬ者を焼いてしまった」
サーシャは杖を刀のように鞘に入れる仕草をする。
そして、炎が完全に消え去った頃、青いスライムは消し炭になっていた‥‥‥が、灰色のスライムは生き残っていた。
「えっ!?うっそ、あの炎で死ななかったの?」
「あぁ…あの灰色のスライムは……ま、それはともかく丁度いい。灰色のスライムはマコトくんに……」
「待ってシロウさん!あれは、まさかっ!!!」
シロウが言い終わる前に、サーシャは叫ぶ。
「どしたんだい?サーシャくん」
「あれは間違いないわっ!『仲間になりたそうにこちらを見ている』…だわっ!」